紙の本
読了後は満腹
2017/08/20 22:03
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
文庫本になった平松洋子の食べ物エッセイである。私にとっては3冊目である。ついにここまで来てしまった。今までは平松が編集者との食べ歩きが中心であった。場所も地方が多く、地方の名店を訪れることが多かった。もちろん、東京も含まれているが、地方へ行くと、どちらかと言えば食というよりは、酒のエッセイとなってしまう。
本書に関して言えば、店もさることながら、メニューが並べられ、そのメニューに関しての話題を実際の店に行った経験を中心に展開するという構成78篇となっている。したがって、メニューの数は多く、種類も何でもござれというスタイルである。
こういう構成なので、読者は自分に興味のないメニューをどんどん飛ばして読むことができる。言わば、辞書のようなスタイルなのである。地方の店の紹介も少なくないのだが、やはり行ったことがない、店名を知らない、居酒屋である、得意料理に興味がないなどの理由で私自身はかなり飛ばして読まざるを得なかった。
まあ、しかし、ここまで食についてのトピックスを提供するということは、恐るべき蓄積のたまものであると思われる。文春文庫から出されている平松のエッセイ、残るは『ひさしぶりの海苔弁』だけである。さすがにこれは遠慮したくなる。海苔弁だけで一冊は耐えられそうもない。ちなみに、タイトルとなっている『あじフライを有楽町で』は、有楽町の交通会館にある洋食店のメニューに魅力を感じた平松の短いエッセイであった。
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週刊文春連載のエッセイをまとめた一冊。食については含蓄豊富で楽しめる作品。亡き安西水丸氏との共作もこれが最後か。
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【安西水丸画伯との最後の饗宴】由緒正しき牛鍋屋、「くじらのお宿」の鯨食べ比べに悶絶、パリのにんじんサラダの深さ、濃さ。どこまでも美味しい世界にご招待!
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あじは、刺身、タタキ、シメ、一夜干し、塩焼き、フライ、ムニエル・・・、どんな料理も美味しいですね(^-^) 平松洋子さんの「あじフライを有楽町で」、2017.6発行、78篇の食のエッセイです。内容は、ありきたりか? 単なる食事、食堂の説明みたい。平松洋子さんらしい「キレ」が感じられなかったです。もしかしたら、期待し過ぎたからか・・・。あるいは、平松さんのエッセイを読み過ぎて、慣れてしまったのか・・・。
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平松氏の本にはいつも驚きと発見があるのですが今回も素晴らしかったです。何点か挑戦してみたい品もあり、行ってみたい所もありましたが「おばちゃんの実力」が衝撃的でした!こんなおばちゃん達になりたい...。
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ミスマッチのような、ベストマッチのようなユニークな題名にまず魅かれた。
食を巡る78編のエッセイ。
どの単元を読んでいても、口中に唾がたまり、よだれも出るかと思えるほど。
食べること、生きることに意欲がわいてくる。
ただ、空腹時に読むことはお勧めできません。
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平松さんの食のエッセイは、何冊か読ませていただいている。
しかし、かぶっている、とか、デジャヴ、みたいなことが一つもない。
毎回新しい発見なのだ。
毎日、ごはんとお味噌汁の食事でも、その時のちょっとした加減や、自分の心持で、一度として同じ食事は無い…みたいなものだろうか。
この本で、アッと言わされたというか、長年生きていれば自分でも気付いていたはずなのに、初めて気付かされたと思ったのは、“鴨南蛮”
そうね~、その辺のお蕎麦屋さんで、鴨なんて入ってないけど、誰も偽装だ嘘だ、と怒ったりしませんよね。
落語の演目にちなんだ鰻料理、自分では食べられないので、お話を聞く(読む)だけでも素敵な味わい。
“海苔弁”に関する、アンケートのみの潔さ。
あらゆる“知人”から、あらゆる到来物が平松さんの元に届けられ、それらを誠心誠意をもって料理する様子。
映画に登場する料理、料理屋を描いた絵画…
話題の多様性が、驚くばかりに無限だ。
気がついたら、前作『ステーキを下町で』、手元に買ってあったのに、まで読んでいなかった…不覚!!
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食べ物についてのエッセイ集。個人的に言えば、若干味の指向性が異なるところがあるようで、ほんの少しだけど「この料理なら、僕はそれほど美味しいとは思わないなあ」と感じるものがあった(実は香味野菜的なものがやや苦手である)。それでも、読んでいるうちに「だまされたと思って食べてみようかな」と思うくらい、それぞれの食べ物たちが魅力的に見えてきて、今まであまり口にしようと思わなかったことが、人生の大きな誤りのように感じてしまうあたりがすごい。だって、いちいち美味しそうなんだ。
味付けとか、素材とか、ことさらグルメぶるというよりも、旬のものを愛情いっぱいに受け止めて、最小限の手間をかけて、楽しくいただく、というのが基本的な姿勢のように感じる。それがいい。食べに行ったり、人からもらった素材で何品も作ったり、作者はひたすら楽しそうだ。その幸せ感が、読んでいるこちらも幸せにしてくれる。読み始めてから読み終わるまで、ずっと暖かい気持ちでいられて、読み終わってもそれが余韻としてほんわりと残る。
美味しい食べ物に作者の人柄が調味料なのか、作者の人柄が美味しいためものを媒体に引き出されてくるのか。いずれにせよ、この本のそのものが美味しい。
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食に関するエッセイを読むのは、僕にとっては精神安定剤の服薬にも似た行為である。その中で、特に著者の本は常に手元に置いておきたいほど愛好している。
前作の「ひさしぶりの海苔弁」と同じく、安西水丸のユーモラスな挿絵も楽しめる本書では、あじフライ、羊羹、立ち食いそば、湯豆腐、どじょう鍋などの食材を通じて、食べることが生きることであり、よく食べることはよく生きることである、そうしたテーゼを実感できる。
東京交通会館のあじフライを早く食べにいきたい。
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解説にもあるよう、平松さんのエッセイには物語がある。食事とそれらをめぐる記憶と物語がとても心地よく、いつまでも読んでいたいと思う。
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約3ページほどのエッセイがみっしり詰まっている。食エッセイといえど多岐にわたるジャンルをネタに書かれており全く飽きない。塩豆腐は作ってみたくなった。万人におすすめ。
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シリーズ4冊目もとてもお腹が空きました。
前作から引き続き、文章の中で小さなレシピが書かれているものもあるので、書き出して作ってみよう…となるのも楽しいです。にんじんサラダは作りました。美味しい。そして今も食べています。
帯の「あの味を知ってしまったのは、幸福だったのか。」にドキッとしますが、きっと幸福ですね。
安西水丸さんのゆるい挿絵も好きでした。
ずっと続くと嬉しいシリーズです。そうしたら、次の挿絵はどなたになるんだろう…?
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年末年始を東京で、過ごすことにした。それで食べ物系の文庫本を物色した。グルメガイド本には、食指は伸びなかった。グルメ旅に行くわけじゃない。でもせっかく行くからには、幾つかの店には「物語」が欲しかった。最初、手にとっていたのは池波正太郎の本。しかし、彼の人の行きつけは70年代、80年代の店である。今もその味で残ってあるかは疑問だと思い直した。
次に手に取ったのが本書。最近小川洋子さんとの対談本を読んで、平松さんが同年代でしかも我が家から自転車で行く事が可能な距離に住んでいたと分かり、一挙に親近感が高まったと言うのもあるけど、グルメ本や料理本や料理薀蓄本ではなさそうだ、では何なのだろう、という興味が1番の選んだ理由である。
もちろん、東京散歩の参考にもさせてもらう。行きたいのは、題名になっている有楽町東京交通会館「大正軒」のミックスA定食(メンチ・あじ・エビ)950円、新有楽町ビル一階「はまの屋」の玉子サンド、JR中野駅前の中野商店街入口右手「田舎そば うどん かさい」田舎そばかき揚げ370円、昭和通り沿い東銀座「ナイルレストラン」のムルギーランチ、志ん生行きつけだった湯島の天ぷら屋「天庄」。
その他、作ってみたい料理も、幾つか。塩豆腐、イチジクの赤ワイン煮、ごぼう茶、柚子ポン酢、柚子ジャム、湯豆腐、白菜と豚肉の重ね煮、肉豆腐、白和え。全て、「自由な」生活の中に溶け込んでいるから、真似したくなるのである。
2017年12月27日読了
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「ひさしぶりの海苔弁」に続き読む。
あとがきに、「食べ物は無数の記憶や物語をもたらす。」とある通り、自分の食の記憶を掘り起こしたり、平松さんの文と対話したりする読書だった。
平松さんの文章は、威勢がいいけど、すっきりして、押し付けがましさがない。
神戸の昭和の佇まいのお好み焼き屋でビールを飲んでる図なんて、渋いなあ。こういうのが似合う人はなかなかいないと思うよ。
沢山の柚子を仕込む台所仕事とか、筍料理とか美味しそうだなあ。
「ひさしぶりの‥」にも深夜の料理の話があったが、
(引用)はっと我に返ると、深夜に台所に立ってごそごそやっていることがある。ワインを飲んで相当楽しくなっているときで、知らないうちに包丁でざくざく刻んでいたり、鍋に火がかかっていたりするから不気味だ。
考えずに手が勝手に料理をしているという。家のオカーサンが夜中に変な料理してたら怖いだろうなあ。
東銀座のナイルレストランのムルギ―ランチの話もあった。僕はムルギランチと伸ばさず呼んでいたが。
いつだったか、僕は別の料理も食べてみたいと他のカレーを頼んだのだが、番頭さんから「ダメ、それ遅いね。ムルギランチ美味しいよ」と無理やりムルギランチにさせられてしまったことがある。まあ、ムルギランチ美味しいから文句はないんだが。それから、あの真っ赤で、悪魔的に辛いラサムスープの話も欲しかったな。
表紙口絵の水丸のイラストは、他からの出典とのこと。水丸さんとのタッグもこれで見納め。
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あじフライ美味しそう…有楽町に食べに行きたい…解説の「平松さんの喰らうという行為や、出てくる食材には、物語が詰まっている」の言葉の通りの本。
こんなにいろんなエピソードがあってすごいなぁ。
食べる楽しみを本当に大切に、というか、もう人生の中心に据えているんだろうな。