紙の本
中だるみか最終だるみか
2019/07/29 07:22
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投稿者:あんころしゅーくりーむ - この投稿者のレビュー一覧を見る
入社した時は生き生きとして希望に満ちていた社員が諦めの境地に至る罠。それは、企業や組織の損失でもある。生産性が低いと言われる日本。問題点はここにあるのではないか。
紙の本
キャリアプラトーの基本とは。
2019/07/15 22:18
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投稿者:一読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自身がキャリアプラトーの真っ只中にいると感じ、手にとってみました。このような本を読んだのが初めてだったのですが、入門書というレベル感だったと思います。
自身が行っている活動が、キャリアプラトーに対してどのような意味を持つのか、について気づきがありました。
キャリアプラトーにいると感じた人が、本書の後半で書かれている対応策を自身で、すぐに実行できるかは、分かりません。自分だったらすぐにこの本を見てもいいその取り組みをすることはできなかったと思います。
困惑していた心が少し落ち着いてきたときに読むとちょうどいいのかな、と感じました。
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*一つのキャリアに執着し続けるという意味で「キャリア固着」ということもあります。こうしたキャリアの停滞は、中高年の人々や一つの専門分野で長期間教育を受けてきた専門職の人々に多く見られるかもしれません。
*キャリアの停滞には4種類ある
①仕事の停滞は、仕事をしていて新たな挑戦や学ぶべきことが欠けていたり、ワクワク感や喜びを見出せない状態をいいます。
②昇進の停滞は、今の会社で将来昇進する可能性が非常に低下することを指します。
③配置転換の停滞は、今の部署(部や課)に配属されてから年数が他の社員に比べとくに長くなったり、いつまでも会社の重要な部署に配属されないことをいいます。
④人生の停滞は、これからの人生で進むべき方向や生きていく意味自体がわからなくなったり、人生全体に自信を失ったような状態をいいます。4つのうち、最も深刻な停滞をいえるでしょう。
*「同じ仕事ばかり」の時期、「能力を大きく超えた仕事ばかり」の時期は危険。
仕事の停滞とは、仕事で新たな挑戦や学ぶべきことが欠けていたり、仕事に喜びを見出せない状態をいいます。これには大きく分けて二つの原因があります。第一は、長く同じ仕事を担当することでその仕事をマスターしてしまう、つまり、同じ仕事を繰り返し続けることによるマンネリ感が原因となるものです。仕事のルーティン化ともいえるでしょう。その背景には、これ以上仕事上の責任が与えられない、または会社にとって重要な仕事を任されないという状況も含みます。第二は、職場で与えられた仕事が量的・質的に過大で、社員の能力を明らかに超えている場合です。これを大きく超えるような目標や仕事量だと、それをいわれた通りこなすだけで精いっぱいとなるでしょう。つまり、自分でやり方を工夫したり、余裕を持って仕事をすることができなくなります。仕事に喜びを見出せなかったり、新たな挑戦や学ぶ余裕が失われることにつながります。
*中高年の人々は、それまでのキャリアで得てきたものを維持したいと考える「維持期」という段階に入る人が多くなります。この段階は、ライフスタイルやキャリアが安定し、これまでに得た地位や立場を守ることに関心が集中します。そのため、失敗するリスクの高い行動は避けるようになり、同時に、自分の能力を試すような挑戦的な仕事に動機づけられることが少なくなるということでもあります。つまり、仕事上の停滞に陥ることも多くなるといえます。
*”塩漬け”が昇進の遅れにつながるメカニズム
管理職は一つの領域・部門の仕事だけを経験したスペシャリストからではなく、いくつかの領域・部門の仕事を経験したゼネラリストから選ばれる傾向があります。多様な仕事を経験することが昇進への道であるとすれば、配置転換の経験が少ないことや、これまで経験してきた仕事が少ないことは停滞に結びつく可能性があるからです。
*アラフォー時代に一つの部署に固定されることの危険
キャリアの初期や形成期、つまり、組織に入って日の浅い時期には、同じ仕事を長く担当する方がその仕事を深くマスターし、その仕事や職種が将来自分の考えるキャリアの柱になりやすいといわれます。逆に、キャリアの後期���たとえば40代以降では、短期間の多くの仕事を幅広く経験することが昇進につながりやすいといわれます。そのため、あまりに早い時期、たとえば30代終わりや40代初めに一つの部門や仕事に固定されるより、その後も、さまざまな仕事を担当し続ける方が昇進には有利と考えられるのです。
*40過ぎに次々と新しい仕事を担当する社員は出世コース?
40歳を過ぎてもこれまで経験したことのない新しい仕事を次々と担当する社員は、将来の経営者コースに乗っている人が多いという声が聞かれました。これまで在籍してきた部署や経験してきた仕事の数自体は、昇進の停滞に影響していませんでした。つまり、社員の配属や仕事と停滞の関係をみていく場合、経験してきた部署や仕事の数だけでなく、キャリアの時期を考慮して早い時期には仕事の基礎をじっくり固め、後期には幅広く仕事を担当することが昇進と結びつく可能性が高いといえそうです。
*「真面目な人」ほど停滞しやすい説
学校の勉強はできたのに、教科書にない問題が出てくるともう駄目という意味で、「頭が良くない」人のことだそうです。つまり、「一つの知識があってそれだけをずっとやるならできる。また、二つ目の知識があってそれだけをやるならできる。しかし、それらを合わせて三つ目をつくることができない」人のことを指します。仕事における基礎力が不足し、同時に視野が狭いことで、応用力が弱い人といえるでしょう。その結果、その場その場の臨機応変の対応ができなくなります。そもそも応用力とは、一つ学んだことを別のことにも当てはめて活かす能力をいいます。仕事は、最初はマニュアルや上司・先輩の指示通りに行い、そのやり方を覚えていく必要がありますが、その後は、それだけでは不十分になってきます。応用力が弱いと仕事の成果が上がらなくなり、その結果まわりの信頼を得られなくなることで、キャリアの停滞に結びつくことは大いにありそうです。
*「仕事をバリバリやりたいという人で、自分は完璧と思っているか、完璧でありたいと思っている」人ほど、仕事の停滞に陥りやすいのではと言います。多くの完璧志向の人が仕事に求める水準は、自分にも同僚にも高いものがあるでしょう。さらに、現代の職場では、非正規社員が増加し、同時にチームでの仕事が多くなっています。つまり、働き方などについて多様な考え方をもった人々にも高い水準を求めなければならないことで、コミュニケーションやリーダーシップをとることに苦労するといいます。
*同じポジションにいても本人のやる気は変わる
客観的に昇進が停滞しているかどうかで仕事の特徴に違いはみられませんでした。つまり、昇進せず現在の職位に長く留まっていても、必ずしも自分の仕事に対する評価が低下するわけではないのです。このことから、昇進の停滞についての主観的な意識の方が、客観的な状態より仕事への影響度が強いことがわかりました。もちろん、昇進の停滞についての主観的な意識は周囲にはわかりにくいものです。
*自分のキャリアのことは、基本的に自分で考え、何か問題が発生したら、または起こりそうだったら、自分で対処していかなければなりません。いいかえると、自分のキャリアについての最終的な責任は自分でとるしかないのです。
*キャリアレジエンスを鍛える。
キャリアの停滞から抜け出すためには、基本的には何が必要なのでしょうか。一つが打たれ強さでしょう。近年、「レジエンス」という言葉がいろいろな場面で使われるとうになってきました。これはストレスに対する抵抗力や回復力を意味し、「折れない心」などといわれることがあります。これをキャリアに応用したのが「キャリアレジエンス」であり、キャリアに関する挫折や停滞を経験した後に立ち直るための能力をいいます。実際、昇進の停滞という逆境を経験した人も、「逆境にどれだけ耐えられるか、そこでめげないというか、そういうベースは持ってないと、そのまんま負けていってしまってフェードアウトしていくとか、逃げることにつながっていく。」
自分のレジエンスを鍛えるには、自分の未来をできるだけ肯定的にとらえること、いろいろな興味をもったことにチャレンジすること、何かの事態で動揺してもできるだけ自分をコントロールしていくことなどが挙げられています。
*戦略的に考えてみる。
「自分のキャリアを戦略的に考えてみる」。これは働く人が自分のキャリアやキャリア目標を達成するために、手順を考えることをいいます。そして、その後、行動となります。停滞を脱して、重役になる、会社を興すなどの、キャリア上で立てる目標はいずれも長い期間を要します。日常の仕事の目標の多くが半年、1年であるのとは対照的です。また、そうした目標は、部署や会社の目標ではなく、社員個人の目標です。そこで、目標を達成していくには、自分で意識的に決めた行動を長く続けていくことが必要なのです。こうした行動を「キャリア戦略」ということもあります。そして、これはそのままキャリアの停滞を脱することにもつながります。たとえば、ある30代の会社員も「下を向かず信じた道を進んでいくしかない、めげない、あきらめないじゃないですが、それは少なからず必要だなと思いますし、少し目線を上げて・・・長期はちょっとむずかしいんですが中期的な見立てで、今のこれって将来役に立つだろうっていう目線を持って仕事に臨む」ことの大切さが逆境に陥った時にすごく身に染みたと語ってくれました。
*最近の考え方によると、将来のキャリアについて事前にきめ細かく計画(デザイン)したとしても、偶然の出来事でうまくいかなくなる、方向転換を余儀なくされることも多いので、大まかなデザインだけして、後は、自分にとって望ましい偶然を呼び込みやすくするように努めることが大事だとしています。つまり、努力を続けていれば、いつかはチャンス(これも偶然かもしれません)が訪れるので、そのチャンスをできるだけ逃さないということです。「チャンスの女神には前髪はあるが、後ろ髪はない」ということわざにある通り、強い向上心と好奇心をもち、日頃から鋭い感受性を磨いている人だけが、幸運の女神の前髪をつかめるといえるかもしれません。
*あえて考えず、目の前の仕事に没頭するー停滞解消のためにできることー
これは、ある意味、戦略的に考えないことを意味します。相談する人も、頼る人もいなく、すべての仕事を自分でやらなければいけないという状況だったとき、次のように見方を変えたそうです。「ある意味開き直りましたね。結局前��出ても止まっても、仕事は終わらないんで。一個一個やるしかない」っていう。要は仕事が多いから駄目だとか、まわりがあれだから駄目だとか、まわりのせいにするんじゃなくて、マラソンじゃないですけど、「歩いていればいつかゴールに着くんだから」っていうふうに、取りあえず目の前のことをやれることから一個ずつ片づけていくっていう感じで乗り切った感じです。」仕事量が多すぎて手に負えない時は、多すぎる仕事量の全体を考えるより、まずは視野をできる範囲に狭めて少しずつこなしていくことが大事でしょう。一般に、「気を見て森を見ず」は良くないことだといわれますが、逆に役に立つ時もあるのです。
*同じ仕事だけを続けると中だるみしやすい。
人は仕事を続けると多くの場合熟練してパフォーマンスが上がりますが、その仕事だけを続けていると中だるみ陥ってしまいます。異動して別の仕事を担当することで、その人の停滞感は低下するかもしれませんが、少なくとも短期的には元の仕事においてパフォーマンスが低下するということはどんな組織でも見られることです。もちろん、これは仕事の引き継ぎの問題でもあり、管理職の役割が重要になります。さらに、組織能力を高めるという組織全体の課題でもあります。しかし、どのように工夫しても短期的で完璧に仕事が引き継がれ、その仕事のパフォーマンスがずっと低下しないということはあり得ないでしょう。
*「出世は運次第」と言う人ほど、業績が下がりにくい
昇進は運によって決まるものだと考えている人ほど、昇進が停滞した場合の業績の下がり具合がゆるやかだったのです。もともと昇進は、景気、会社の業績や組織の構造に強く影響され、社員自身が決定に関わることはむずかしいものです。つまり、一人ひとりの社員は、昇進のため仕事を頑張るということはあっても、その結果うまく昇進できたり、できなかったりというのが現実でしょう。運命論という言葉がありますが、自分で変えることのできない運によって決まると考えた方が、何回もある昇進競争の結果にいちいち振り回されないで済むといえるのかもしれません。このように、うまくいかなかった経験は、自分のせいではなく外的な要因(この場合は運)のせいにしてしまった方が、自尊心が傷つきにくいため、多くの人にとってプラスをいえるでしょう。
*なぜエース的存在の新入社員が平凡な中堅社員になるのか
戦略的に考え実行する、そこまでいかなくともあまり綿密に考えずにチャンスに備えて準備をする、副業やボランティアも考えるなどによって、キャリアレジエンスを強めていくことは、キャリアの停滞を脱することに役立つでしょう。新入社員のときに「できる」と噂されていた人が、30~40代で平凡な人材になってしまうことがあるといわれます。一つには、それまで以上のような戦略的な思考やそれに沿った行動をとる習慣がなかったからでしょう。すなわち、山あり谷ありの長い社会人の中で、キャリアレジエンスを鍛えられなかったからだと考えられます。その結果、昇進や異動などのキャリアの節目で停滞に陥った際、抜け出すことができなかったり、時間がかかったりしたからだと思われます。これらの行動は長く続けていかないと、つまり、習慣化しないと効果はありません。そうい��意味では、若い読者の皆さんも今からいくつか試してみてはどうでしょうか。
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「中だるみ社員」の罠
2017/5/12 著:山本 寛
本書は、国や組織や部署を越えて、働く人にさまざまな形でみられるキャリアの停滞を、多くの事例を通してみている。そして、そうした停滞にどんな人を陥りやすいのか、また、陥った結果どうなるのかを、知らせている。
それに加えて、停滞から抜け出すにはどうしたらよいか、また、上司や会社は、部下や社員が停滞した時、どんなことができるのかを紹介している。
構成は以下の6章から成る。
①2年前と同じはなぜ危険なのか
②異動でやる気をなくす人、塩漬けでやる気をなくす人
③中だるみしやすい人、しにくい人の違い
④中だるみすると何が起こるのか
⑤マンネリ感を自ら打破するtまえに
⑥上司と組織に何ができるのか
年功序列から成果主義へ等、組織を捉える上での環境の変化は大きくそして激しい。そして何かしらそのうねりの中では新たな問題が生まれ社会現象となるものも多い。その一つが本書で取り上げている中だるみ社員。その要因は個人からくるものだけではなく、時代が作り上げたということも言える。
そうであるならば、それを脱するには個人のみならず他人・組織が手を差し伸べる必要があるということも頷ける。すべての人がハッピーにという制度や時代はなかなか来ない。しかし。備え、自分や周りの人たちが少しでも「中だるみ」から解放されればとも思う。
答えはないものの備えや対処法の根幹は学ぶことが出来る。それがあるとないとでは大違いである。
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自身が30代の中堅社員となり、何となく仕事へのやる気を感じられなくなった一方、またまだ会社人生が長い中、どうしたらこの中だるみを打破できるのか知りたくて読み始めました。
中だるみ(キャリアの停滞)の定義、停滞に陥る理由とその解消方法についてよく整理されていました。
特に個人としてできる解消法と、組織としてできるものとの2つの視点から描かれている点が、単なる自己啓発本とは一味違っていたかと思います。
目から鱗な情報が書かれているわけではありませんが、何故自分は停滞を感じているのかの理由をきちんと言語化し具体的な策を考える上で役立つ本となりそうです。