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紙の本
成長する愛
2018/07/23 08:04
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：のりのり - この投稿者のレビュー一覧を見る
しっとりとした、よいお話でした。
二人の愛し方はまったくちがっています。
リンの一途に思いつめる愛し方はすごく重い。だからこそ、だんだん壊れていってしまうのでしょう。なにしろ、エリアスはその生い立ちや境遇のせいもあって、愛情はあってもそれが愛だと思っているので、優しいけれど自分でも認める不誠実な人です。本当の愛を知らないので、リンの思いに100%応えられません。
だから、バランスの取れない愛し方の二人が一度別れるのは、必要だったのでしょう。
10年かけて、二人の愛し方は成長し、やっと寄り添えるものになっていきます。
yoko先生のイラストが、しっとりしたこのお話の雰囲気にぴったりでした。
紙の本
「まったく君たちは、面倒臭い連中だな」
2021/06/24 06:36
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：やじやじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレあり
これは買ってから読むまでかなり放置してしまってました。
（積読本になってました）
「鏡よ鏡」を読んでからひっぱりだして読みました。
「鏡よ鏡」は始終切ない気分で読み進めてのですが
こちらは切ないというより痛い。
痛いといっても激痛というよりも、紙で切ったときのような痛さ
それが何度も何度も・・・最初っから起承転結の起承転までずっと。
傷は浅いけど傷だらけ血みどろみたいな読み心地です。
これ・・・なんとかなるのかって感じでしたが。
凜がかなり壊れている感じ
エリアスしか見えなくて、
歌もエリアスのために（というかエリアスに愛されるために）歌っている
視野の狭さと依存度がどんどん自分自身を追い詰めて落していっている。
そして、どんどん壊れていく様が本当に痛い。
まあ原因はエリアスの不実さでもあるのですが。
エリアスの不実さ（自分ではそうは思ってもいないのでしょうが）はちょっと辛い。
なんで作者さんの年上男はこんな感じなの？？？
10年にも渡るそんな関係は少し変化を見せた時点で
凜が壊れてしまって砕け散ってしまう。
そこからは痛みよりも切なさがやってくる。
そして、ラストへ
ラストの1行にたどりつくためにこの年月があったのだろうって
思いますが・・・
イーサン同様
「まったく君たちは、面倒臭い連中だな」って思ってしまった。
とはいえ、凜の恋はエリアスで始まってずっとエリアスなのですから
このラストにたどりついて何よりです。
エリアスが掴まったと言えなくもないですが。
まあそれも良しです。
作者さんの「鏡よ鏡」とこちらを続けて読んだのですが
（「鏡よ鏡」の方が後出ですけど）
同じ土壌から咲いた花って感じはします。
花は違うけれど。
どちらの花も私の嗜好にはあっています。
（年の差は嗜好にあうのですが）
余談ですけど
積読本にしておいたのがもったいなかったなぁって思うとともに
このタイミングで読むのが良かったのかもとも思ったりしました。
☆4.5評価の5
電子書籍
いい話だった
2018/09/15 18:35
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：ゆきちん - この投稿者のレビュー一覧を見る
オペラ歌手を目指し留学するも行き詰まっている受と
そんな受を売り出すためにプロデュースする攻。
面白かったです。
今までの小中さんのどの作品とも雰囲気が違い
少しアダルトな空気が漂う話でした。
仕事とプライベート、両方関わっている恋人を持つ受の
混乱や焦りがよくわかって、途中は本当に辛いです。
ナイチンゲールと皇帝の話もうまく絡めていて上手いなと思いました。
電子書籍
切なくて泣く
2021/05/28 11:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：M - この投稿者のレビュー一覧を見る
オペラ歌手志望の受けとパトロンの攻め。
謎倫理観の持ち主で恋人が複数いる攻めと、
本命になりたくて苦しむ受けが切ない。
受けの焦燥と不安が私の胃にもキリキリと迫ってくるようでした。
離れて初めて嫉妬や執着、独占欲を知った攻めが必死になる姿にスカッとした笑。
電子書籍
凛を軸に書いてはいるけど、主役はエリアス
2021/03/16 13:04
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者：M★ - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の背後霊のようなのがエリアス。
「鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?」と、違うパターンの
「パトロンが、支援相手の虜になる」恋物語。
エリアスにとって、凛は、最初は支援を求めている一人にしか過ぎなかった。
凛が、淋しさを耐え忍ぶ過程を辿る粗筋になってますが、
物に溢れた中で情愛を受けず育った歪で無機質な心の持ち主；エリアスが、
本当の愛と愛を育む関わり方を失って気づく話。
印象深い場面。
最初は、一夜の恋人：
海外留学中の与那覇凛は、テノールに不向きと自覚、才能の限界を感じて夜の街を歩く。酔った暴漢から凛を助けてくれた人が、エリアス。
気まぐれの遊び相手となり、凛は歌を披露。
睦言で、エリアスに「ずっと恋人」をねだる凛。
約束通りエリアスは、凛に歌手デビューに関わる一切を支援する。
実は、エリアスは貴族の大実業家で、凛が在籍する学院の理事長だった。
エリアスには男性の配偶者が居て、凛の他に恋人が複数いると知る。
エリアスから配偶者が去る：
エリアスの配偶者デビッドが借金返済を終え、恋人を作り去っていく。
「君を愛していたけど、君は僕を愛さなかった」と語るデビッド。でも、エリアスなりにデビッドを本気で愛していたらしい。
「自分だけを愛してほしい」という、叶わない願いを封印して堪える凛は、デビッドの心情に共感する。
エリアスは、相手の痛みを慮らない一方的な愛し方しか知らない。
凛も若手に譲ることを決意：
凛の喉にポリープが出来て、思うように歌えなくなる。歌えなくなったら愛を失うと怖れる凛。
その頃、エリアスは若い歌手ノウァの支援を始めた。
宴席で、ノウァから「凛は”旬が過ぎた歌手”だ」と、エリアスの恋人の座を降りろと言われ、動揺する。
過去のデビッドを思い出し、老いた自分自身の進退を悩む凛。
一切を整理して引退、別れを告げて日本に戻る。日本では無名の一般人。
帰国後手術を受け、元のように歌えなくなってしまう。
再会：
心の変調をやっと通常に戻せた二年後、凛は３０才。
知人を介して、凛に「エリアスが最後に一目会いたいと言っている」と連絡が来る。
・・・ココから後は、よくある結末。
凛が拒否らないように、エリアスが再会を手配。
エリアスは、愛し方を知らなかったというより、本気で愛した後で失うことを怖れていた、のかも？
面白かった。
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