紙の本
引き込まれます
2020/03/24 21:38
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投稿者:あっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争物はあまり得意ではないのですが、話題になっていたので購入。食いついてしましました。最後の最後まで分からんと言う…でもサスペンスとしてではない戦後直後の話であるからこその悲しみも見えてきます。
電子書籍
戦争の後ろめたさ
2019/05/14 19:01
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投稿者:suka - この投稿者のレビュー一覧を見る
「これって日本人作家が書いたの!?」
と驚きを隠せなかった。作者が終戦後にタイムスリップをして、ベルリンを歩いたんじゃないかと思うくらい、街の情景や戦争で疲れ切った市民の様子が詳細に描かれている。
『水のにおいを嗅いで安全を確認してから』のように、主人公の何気ない仕種ひとつひとつに戦争の凄まじさが伝わってきた。
胸が締め付けられる内容だけれど、未来を自分で切り開こうとする強い女性達が魅力的だった。
もうこれは壁建設後の物語を期待するしかない。
紙の本
読み応えが半端ない。
2018/11/18 11:34
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ズッシリと重い小説だった。今までも作者は戦時中のドイツを舞台にした話を書いてはいたが、ここまで真正面から、そしてつまびらかに、ユダヤ人迫害や戦争中の陰惨な出来事を描いてはいなかったのではないだろうか。
その分、正直にいえば読んでいてしんどい物語になってはいる。けれど、それでも読むのはやめられなかった。描き方の迫力に、こちらが引きずり込まれていく感じだった。
途中まで、ミステリであることを忘れていた。けれど、後半になってまさかの展開があり、見事にミステリになっている。結末に関わる事件背景には一部、やや唐突なきらいもあったけれど、読後感をそこなうものではない。読み終わって、色々な感情が湧いてくる一冊だった。
紙の本
ベルリンの街が目に浮かぶ
2018/10/09 03:47
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コアラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんという描写力。ベルリンの街が目に浮かぶ。そして緻密な歴史考証。すばらしい。分類ではミステリに入るのかもしれないが,偉大な文学である。迫害されるユダヤ人の恐怖,ナチスとその追随者のおぞましさが迫ってくる。決して読んでいて楽しいわけではないが,締切りが迫っていてそれどころではないはずなのに,ページを繰る手を停められなかった。
ナチスによ言論弾圧と思想統制人種差別の箇所を読んでいて,チベットやウイグルでこそ今現在行われていることに思いをはせないわけにはいかない。沖縄人は明日は我が身ということを知っているのだろうか。
読み終わった。それで感想は?だ。なんだか気が抜けてしまった。正直ミステリとしてはつまらない。前半のおどろおどろしくも迫力のある場面の連続に圧倒されていただけに,最後のあっけない終わり方に?だ。おまけに最後に説教臭くなってしまって…。う~む…。それでも読む価値はあります。多くの読者を得ますように…。
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第二次世界大戦敗戦後のベルリンの話。
なんというか当たり前だけど、重い。とはいえ幕間の戦時中の話が、話の行先はわかっているのに引き込まれる。幕間の暗い先の見えない暗さと、戦後の人探しの話が過去から地続きでずっと繋がっているのだけど、戦後と戦時中の人々の生き方の明るさの濃淡にくらくらした。
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プルーフいただいて先に読んでました。
個々の登場人物の過去とかエピソードとかはあの時代のベルリン、さもありなんってええ感じやねん。けとなぁ、いかんせん本線のストーリーが弱いかなぁ。黒幕の動機も今ひとつピンと来ず。前作の「戦場のコックたち」やと別に気にならんかったんやけど。
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なんていうか、すごかった。
(第二次世界大)戦中、戦後の話ってなんとなーく小説や映画で知識としては知っていたつもりだったし、学校でもそれなりに教育受けてたと思うんだけど、ドイツ国内がどんな様子だったのか、って全然知らなかったんだなって。
何より、普通の人達がそれぞれの環境によって、今第三者として見るとそれは普通におかしいでしょう、という事を正義と信じて突き進んで行くんだな、と、その狂気が怖かった。
自分には関係のない昔の、外国の出来事、ではなくて、今自分のいるここでも起こり得るんだ、むしろ既に起きているのかもしれないって事実が一番怖いしミステリーだった。
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第二次世界大戦末期のベルリンで、何が行われ、人々がどんな暮らしをしていたのか。それは教科書の中で、あるいはいろんな本や映画の中で知ることはできる。
その悲惨な、凄惨な日々を、二度と繰り返してはいけないとその度に思うのだけど。でも、それはいつも他人事で。
同じようなことが日本でも起こっていたわけだし、そのさして遠くない時代に自分も生きてきたわけなのだけど、それでも自分とは別の次元の、どこか接点のない「物語」のように感じてしまう、というか、感じようとしているのだろう、きっと。
戦争という狂気の中で、人は生きていくために鬼にも悪魔にもなる。魂も売るだろうし隣人も簡単に売る。そんな中でどうしても売れないもの、曲げられないものとはなんだろうか。
一人のドイツ人の少女が自分の命さえもかけて伝えたかったこと。
なにもかもが簡単に折り曲げ、捨てられ、失える地獄の中でどうしても守りたかったこと。
「あなたにはそれがありますか」と真っ直ぐな目で問い詰められているようで。
一気読みなんてできない。するべきではない。一人の人間として、しっかりと読みたい一冊でした。
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1 2019年最初の読了。年始に読もうと思って積んでいたんだけど、大正解でした。
舞台は1945年、連合国軍に降伏して大混乱に陥っているドイツ。ミステリ仕立てでありながら、出会い、言葉を交わす人々から戦争とナチスがどれだけ惨たらしく奪っていったかを描く戦争小説でもあります。
戦争については学校で習っただけの知識しかないのですが、戦争ものがとても苦手で、それでも最後のページまで連れて行ってもらえたのは、作者の祈りと物語の力だと思うのです。それは主人公アウグステがラストシーンで見た「光」からも明らかで、そのことをとてもとても心強く、頼もしく感じました。
両親を奪われたアウグステがイーダに託した希望もあっさりと踏みにじられる。それでも、失ったものの代わりに何かを守り、慈しもうとする心理がわかりすぎるほどにわかるからこそ、読者はアウグステと動揺に打ちのめされる。
怒り、絶望し、呪う。そんな激情を突き抜けた先の晴天のうつくしさに涙が止まりませんでした。
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大戦中、大戦後の東欧ものを書かせたらさすが抜群です。
逃げ場のない状況、理不尽さに耐えるしか無い人々の生活と感情。でもその中に一筋の光を信じて生きて行こうとする様は何作読んでも心に響きます。
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ベルリンを舞台に、ある少女の戦前と戦後が交互に語られる話。基本的にはミステリー成分低めだが、いくつかネタが含まれていて、ミステリーとしても成立している。いる。陰鬱な話だが、どことなく明るいのは著者の人徳か。本書執筆に多くの努力がはらわれたであろうことに、敬意を表したい。
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敗戦直後のドイツを舞台にしたミステリ。当時の歴史的背景がとても濃厚に描かれていて、凄惨な街の情景と重苦しい雰囲気が漂います。でも暗く陰惨なばかりではなく、新しい時代に向けて生き抜こうとする人々の逞しさが印象的でした。
アウグステとカフカの奇妙ともいえる取り合わせの道中はスリルがあって、愉快な面も。あまりに悲惨なそれまでの状況があるからか、逆に吹っ切れた感も漂う戦後の状況は、もちろん楽観的なものではないにせよ。ささやかな希望が感じられる気もしました。
事件の真相はこれまたなかなかに重いものではあったのだけれど。読後感は悪くはありませんでした。彼ら彼女らの未来が少しでも美しいものになれば、と思えます。
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山手線で読了して、ぶわわわわ!ってなってしもーた。
チャイルド44が陰だとしたら本作は陽だろうか。第二次世界大戦中、戦後のベルリン、悲惨な舞台設定に筋書きだけど、ヒロインや脇役の人間臭い描写で全編非常にヒューマニズムに溢れた作品。
とにかく圧倒的な事前調査や取材、そしてサスペンスプロットの割り切り方というか引き算のバランス感覚が秀逸な一作。
17歳女子のハードボイルド諜報活劇は、本当にハードでした。
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おもしろかった。がっつり読書をしたという感じ。ミステリと思って読むとあんまり得るもの得られない気がする、戦後ベルリンロードノベルというか、歴史エンタメというジャンルかなあと思った。あのときここに居たかもしれない、瓦礫の中でそれぞれを生き抜いた人たち。
遠い昔だけどベルリンの地理や町並みの記憶があるとオッここは…アッここも…といちいちくすぐられるのでまたよかった。きっとすごい量の取材の上に書かれた本。すさまじい執念でベルリンの街の様子や地理関係が描かれている。さすがに戦後すぐのベルリンのことは知らんけど、浮かぶものがあった。
登場人物たちのスピンオフが捗りそう。ブリギッテ2号のソウルジェムがバキバキになって魔女化するまでの話とかブリギッテ1号のその後とかヴァルターとハンスの奇妙な共同生活とかふつうにできそうだし書けるのでは?個人的にはブリギッテ2号の闇堕ち話めちゃ気になるけど
ミステリとしては甘いかなというのが正直 後半にかけて明らかに疲れてきてる…?という感じがしたし蓋開けてみてうーんこれかあ…と思わないこともない、ので、やはりロードノベルとして読みたい一作でした。
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初めは全く物語の展開が読めず、ナチスの戦争物
だと思い込んでいたが、最後の展開がいきなりで
戸惑った。
良くこの時代の歴史を細かく仔細に描写して
されていて感心するが、最後までミステリー
だとは思いも寄らなかった!
全体的に前置きが長く纏まり感が薄くなった事によって物語の深みが無くなってしまったのが残念だ。