日本の対ロ外交を考える上での必読書!
2019/05/16 16:14
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:黒酢 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一時期、安倍総理がプーチンと2島返還で日露平和条約が締結される!というような言説が報道されていたが、この本を読めば、そんなことは絶対に起こらないことがわかります。
本書は、「ロシアの正体」とは、
ロシアが、近隣諸国(もちろん、日本を含むし、筆者のウクライナも含む)にどういうことをしてきたのか。
プーチンという人間がどういうことをしてきた人間なのか。
プーチンをロシア国民がどう考えているのか。
ロシア国民が日本、日本人をどう考えているのか。
・・・等を知ることで、だんだんとわかってくるという構成です。
私にとって全く新しい知識としては、ウクライナのソ連崩壊から現在までの政治の流れについてです。
ウクライナにも平和ボケがあったんだ!
必読です。
日本人への警告の書
2022/07/31 17:27
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は1987年ウクライナ生まれ、早稲田大学、京都大学に留学し、日本語が極めて堪能、ウクライナ情勢、世界情勢について講演・執筆活動を行っている。本書は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻の3年前に刊行されたデビュー作である。ロシアの正体やプーチンの本性についてロシアと国境を接するウクライナ出身の著者が日本人に警鐘を鳴らし、ロシアのウクライナ侵攻を予言したような内容は一読の価値がある。その内容の一部を紹介する。◆プーチンは、民主主義や法の支配という価値観を受け入れない。独裁体制や恐怖政治を好む。こうした価値観からプーチンは親中である。◆プーチンは、殺人はやむを得ない最後の手段ではなく、最初から「人を殺してもよい」との思考である。◆ロシアには明確な反日教育があるだけでなく、ロシアが国家の正当性の源にしている第二次世界大戦の勝利という認識において、日本はロシアに敗れた敗戦国である。したがって、日本を対等な相手として扱う態度をロシア人から期待することは無意味である。さらに、実力(軍事力?)を背景にしないロシアとの交渉は無意味であるばかりでなく、有害である。◆日本侵略で利益を得られると判断すれば、ロシアは躊躇うことなく日本を侵略するであろう。「物理的に可能になったときに侵略を実行する」というのがロシア外交の基本であり、一貫した姿勢である。◆今のロシアは単独で日本を侵略できないにしても、日本に害を与えることはできる。今の対日戦略は「日本に何も与えず、日本から最大の利益を吸い取ること」である。◆ロシアは完全に追従する国としか友好を築かない。ロシアの「約束を破るために約束する」という外交の原則を忘れてはならない。◆「日露経済協力」という名の対露貢ぎはやめるべき。ロシアは元気なときには強く出て、苦しくなるときやっと譲歩する可能性が出てくる。日本の金でロシアを元気にさせ、北方領土返還を遠のかせるほど本末転倒なことはない。◆安倍政権の対露外交は根本的に間違っている。安倍総理はロシアを金で釣ろうとしているが、ロシアは金だけ持って帰り、代わりに何もしない。ロシアが日本に対してすることはせいぜい、記者会見において「日露関係は友好だ」と発言することだけである。ロシアとプーチンのしたたかさをいやというほど、思い知らされる一冊であるが、一方で、次のような考え方もあるようである。
フランス人の歴史人口学者は、2022年6月刊行の『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書)で、「ウクライナのNATO入りは絶対に許さない」とロシアは明確に警告を発してきたにもかかわらず、アメリカとNATOがこれを無視したことが、今回の戦争の原因であると指摘している。
いずれにしても、一刻も早くウクライナに平和が戻ることを願うばかりである。
ロシアのウクライナ侵攻の背景がしっかりわかる一冊
2022/07/01 23:26
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投稿者:mistta - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はウクライナ人。当事者意識を持ってつぶさにロシアとウクライナを取り巻く
状況が説明されている。
本書を読むとロシアのウクライナ侵攻が予見されていたことがわかる。
ロシアという国の自国の利益優先で他国はロシアのためになるものという考え方。
約束を守ることを考えていない歴史。
国民もある程度豊かであれば国のやり方を認めるロシア国民。
"ロシアの隣国”日本の甘さについても言及している。
ロシアやプーチンへの甘い考え方。見方。
北方領土に関する温いとも言える取組み方。
現在のロシア・ウクライナ情勢を知るうえで読んでおいた方が良いと思える一冊。
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロシアのことが、よくわかり役に立ちました。プーチンのことも、今まで知らなかった視点で語られていて、よかったです。
2019年作品ですが
2022/11/12 02:06
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ウクライナ侵攻が継続している現代こそ。読むべきと思います。プーチン大統領の考え方や行動の裏にあるものを知りたいし、なぜ、ここまでウクにこだわるのか……詳しです
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ウクライナ人の著者が書いたプーチンの本ということだけあって、日本人と比較手して情報量も感情の強さも圧倒的なことが序文を読んだだけで伝わってきた。
日本人がロシアに抱く幻想を打ち破るという書き始められているが、著者が書くほど日本人はロシアに幻想を抱いていない。ただ、多くの日本人がロシアに対して無知であるというのは事実であろう。ただ、ロシア投資の参考情報を探している僕には本書の内容はあまり興味が湧かなかった。
その中で興味深かった情報としては以下のものがある。
・ロシアでは連邦管理局においてインターネットの検閲・閲覧制限が行われているらしい。
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つくづく日本の周りは敵ばかりと感じました。
日本人は、国益や安全保障に関して目覚める時だと思います。
ウクライナに学べですね。
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日本人が持っているプーチン像が虚像に満ちている事を順序立てて説明してあり、説得力があります。また日本とロシアとの付き合い方など参考になる内容です。
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うーん。
確かにテレビで見るプーチンの姿に、騙されていた気はする。
もともとロシアは油断できないとは思っていたが、それは、ソビエトが崩壊した時に、ある程度は緩和されたと思っていたが。
なぜ日本に攻めてこないのか。
ただそれは今だけの問題で、国力とか状況の問題だけ。プーチンだけでなく、かの戦争について、日本はとことん悪として教育されている。
なんつか。
なんでうちの国の周りってそんなのばっかりなんだろう。
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まさに、幻想を抱いていたのかもしれない。
著者の世界情勢の分析力に、ただただ感嘆するしかない。国家間の物理的な距離は、そのまま注意力の集中度合いになるのだろう。日本は中韓に対して注意をはらったり脅威を感じるのに対して、それより遠い世界情勢には疎い。
不勉強ながら、歴史的にソ連の成立から崩壊、周辺国の独立と暗躍する欧米諸国の関係ははじめて知った。もちろん、プーチンとロシア人の考えもだ。
よくよく日本人はお花畑、ドングリ民族なのだと思い知らされた。日本が押し付けられたWGIP・自虐史観を捨て国家として独立するには、確固とした国家としてのあり方、戦略、覚悟が必要なのだと思い知らされた。
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ウクライナ情勢を理解するために読んだ。ウクライナ侵攻が始まって明かになったのはロシアに幻想を抱いている日本人=単にロシアに知り合いがいるだけかもしれないが多くいて、明かな侵略行為にも関わらずウクライナに非があるかのようにいう人たちの多さ。それは右にも左にもいて(左が圧倒的に多いけれど)それぞれ思惑はあるんだろうけど、ちょっと待ってくれよと言いたくなる。
そんな中、著者はウクライナ出身ということもあり、当然反プーチンなわけだけれど、ソ連の前からソ連崩壊後、そして現在の中露の関係も含め幅広く理解することができる良本だと思う。そこまで偏っているとも思わなかったし。
しかし、ロシアの酷さはある意味想定はしていたものの、それとは別に米英のやってきたことは本当にひどく世界をただ混乱に陥れているだけという思いを持った。第二次大戦時のソ連支援はまあナチスという共通の敵を倒すためなので仕方ない面はあるにせよ、ソ連崩壊時は完全にロシアに肩入れし常任理事国入りをロシアに認め、ウクライナから核を廃棄・移設させ、自由・民主主義・人権を重視する西側に入りたがっていたウクライナやジョージアを軽視するというやり方。そして今回も早々にウクライナへの軍事支援は行わないと宣言してしまうアメリカ大統領。
最後に著者が述べているように味方といえども完全に信じてはならず、要求すべきことは要求し、いざとなれば裏切られる可能性も視野に入れて行動すべきというのはまさにその通りで、日本は対米自立とまではいかなくても自力である程度防衛・抑止できる状況を作っておく必要があるのだという思いを持った。
なお、一般向けの本なので引用文献は割愛しているということだが、そこは載せて欲しかった。その点は残念。
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この本、驚くことに出版されたのは2019年。本当はこの本を読んで驚いているようでは、著者の言う「プーチン幻想」あるいは「ロシア幻想」に侵されていたことになるが。
本書はウクライナ人による、プーチン・ロシア批判の書になるので、偏りはあるかもしれないが、自分のあまりにロシアに対しての無知さ加減、地政学上の事にも理解のなかった事に呆れた次第だ。
ロシアの横暴も許し難いが、いわゆる西側もあまりに無責任な対応をウクライナに対して独立以降つづけてきたと言わざるを得ないのが、本書を読んでわかった。その結果がロシアによる今のウクライナ侵略を許してしまった事には反省をしなければならない。
今後ロシアに対してどのように向き合っていくべきかに対する示唆が本書には溢れている。まずは一人でも多くの人に本書を読んでもらいたい。その上で自分が、どう今回の侵略とロシアに対して向き合っていくかを考える必要がある。
まずはこの侵略戦争を一刻も早くやめさせなければならない。その為には世界が団結してロシアに強力なプレッシャーをかけ続ける必要がある。
プーチンがこれ以上の暴走をしないと、頭のどこかで思っている自分はまだ、「プーチン幻想」に侵されているのだろうか。
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タイトルを見て、思わず手に取りました。まず驚いたのが、三年前に書かれた本であることです。現在行われているロシアによるウクライナへの侵略を予言した書物になっています。ロシアは国家の謀略機関を所有しているのではなく、謀略機関の所有する国家であるとあります。ロシアという国の本質を表しています。また、プーチン政権ができた時に、FSBが、ロシアの民間のマンションを爆破し、それをチェチェン系テロリストによるテロ攻撃であると発表したということは知りませんでした。政権の基盤を強化するという目的のためなら、自国民も殺すのかと、恐怖を感じ、自分が今までプーチンに対して、本書で言われているような幻想を抱いていたことを恥ずかしくなりました。その後、キーウ解放というニュースが流れ、ひとまず良かったと思った矢先、ブチャの惨劇の報道が続いて、愕然としました。本書で語られていることが、全部裏付けられた感じです。そして、今日のウクライナが、明日の日本であることを強く感じました。ブダペスト覚書によって核保有を断念させられたウクライナと核保有していない日本は状況が似ています。その日本を、ロシア、中国、北朝鮮という三つのならず者国家が囲んでいるわけです。もはや日本国憲法第9条で日本を守れないのは明白です。今年の参議院選挙は、国防が争点のひとつになるべきです。日本の国防を真剣に考えている政治家を支持したい、お花畑の議論しかしない議員には、退場してもらうべきと考えます。プーチンの正体を知りたい人、日本の国防について考えたい人におすすめです。
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日本人が一般的にロシアのプーチン大統領に抱いている「親日である」「反中である」「ナショナリストである」といった幻想を破壊する一冊(著者はウクライナ人の国際政治学者のグレンコ・アンドリーさん)。ロシアのプーチン体制が立ちあがった経緯~プーチン外交・内政まで、日本ではあまり知られていない内容が解説される。ウクライナとロシアの関係についても書かれていたが、2014年のロシアのクリミア侵攻前のウクライナの状況が、今の日本に酷似しているのが怖い。昨今のロシア・ウクライナ情勢を深く知りたい人にもオススメ。
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今のロシアは、大量虐殺や対外暴力を実行した残虐な組織であるNKVD-KGB-FASBに延々と支配され続けている。つまりロシアは「国家の謀略機関」を所有しているのではなく、「暴力機関の所有する国家」なのだ。(p34)
西洋には歴史に学ばないという習性がある。また、恩を売ったら味方になると言う理屈は、大体似た価値観を持つ国同士にのみ通じるものなのである。(p61)
ロシアとの真の友好関係はありえない。ロシアは完全に追従する国としか友好を築かないからだ。そして友好のふりをするが、必要になればそれを平気で裏切る。ロシアの「約束を破るために約束をする」と言う外交の原則を忘れてはいけない。(p148)
[メモ]
ラヴレンチー・ベリア
NKVD-KGB-FSB
リトビネンコ
ポロニウム210
セルゲイ・スクリパリ(イギリス元スパイ)
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