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ヒトラーの時代 ドイツ国民はなぜ独裁者に熱狂したのか みんなのレビュー
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高い評価の役に立ったレビュー
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2019/07/24 09:38
ヒトラー本は沢山あるけれど
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーとナチスなどに関する本や研究書は、沢山あります。今更…と思われる方も多いでしょう。この中公新書でも結構あります。しかし、いくら本が沢山あれども、ヒトラーとナチスの問題は書き尽くせないでしょう。どんどん新しい視点の本が出てきます(そうでないつまらないものもありますが)。本書は、奇抜ではないですが、あまり誰も触れなかったヒトラーとナチスの周辺のドイツについて兵にまとめられています。文字の書体など一見どうでもいいことですが、少し掘り下げると、その背景にナチスの思想が潜んでる。それとドイツの伝統がどのように絡んでいるのか、結構興味深いです。
低い評価の役に立ったレビュー
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2019/07/25 23:08
「カフカの恋人」が「アウシュヴィッツで死んだ」?
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきにあるように「カフカが愛した姉や妹や恋人がアウシュヴィッツで死んだことを、かたときも忘れなかった」とあるが、「ミレナへの手紙」の邦訳者がミレナ・イェセンスカーはアウシュヴィッツではなくラーフェンスブリュック「で死んだ」事は忘れていては困る。彼女がラーフェンスブリュックで送られたから、そこで元共産党員で反共に転じたり、マルティーン・ブーバーの息子のラファエル・ブーバーの元妻だったりと似た経歴を持っているマルガレーテ・ブーバー-ノイマンと知り合ったから、ブーバー-ノイマンが回想録や「カフカの恋人ミレナ」といった著書でイェセンスカーの存在を故国以外で知らしめる役割をしたのだから。
ブーバー-ノイマンが共産主義者から反共に転じるきっかけとなった「プロレタリアートの祖国・ソ同盟」の真の姿について、「フィロ・アトラス」というフィロンを会社名にしているので、ドイツ社会に同化したユダヤ教徒であってもキリスト教には改宗していない人々向けの出版社が出した亡命への紹介の本の中で「フランコ政権下のスペイン」(1938年に出版された本だから、当時はまだスペイン戦争が終わっていない事を著者が忘れているようだ)とともにソ連が「入国する国ではない」と記した事で「アトラス作成チームは、きわめて正確な情報を得ていたようだ」と書いている。ブーバー-ノイマンの義理の兄にあたるヴィリー・ミュンツェンベルクの「武器としての宣伝」(原著は1937年刊行)にゲッペルスが「農業集団化」やホロドモール、「スターリン記念白海・バルト海運河」などを言及した演説を引用して「悪質な反共宣伝」に対して反論を試みているから、ソ連を「地上の楽園」とでも思っている共産主義者や容共主義者でもなければ、それなりの情報は当時でも入手出来たのが分かる。
また「ソヴィエト占領地区、またキエフや南ロシア全土で凄惨なユダヤ人殺戮が発覚するのは、数年あとのことである」と続くが、1938年当時に「ソヴィエト占領地区」なるものが存在しない事は置いていても、「キエフ」とあるからバービーヤールだと思う。この出来事は1941年にドイツ軍がキエフを占領してから特別行動隊がユダヤ人を「殺戮」したのに、これでは未だ起きていない出来事を他の独裁政権の暴力組織が引き起こして、それを「数年あとのこと」とあるからドイツ軍が発見した事になってしまう。
他にも帯に制服姿のヒトラーの写真を使っているのに、「よほどの必要がないかぎり、ヒトラーはナチスの制服を身につけなかった」とか1935年の再軍備を1955年のドイツ連邦共和国での再軍備と混同したのか、「ヴェルサイユ条約は過酷な賠償金を課す一方で、ドイツにおける一切の軍備を禁じていた」とかヒトラーの政権掌握の直後に「旧ドイツ国防軍首脳との夕食会」とか信じられないような間違いだらけで、岩波新書の「独ソ戦」にある「ドイツ解放軍」の計画をソ連側に提起したのは実際には巻末で著者が紹介しているビーヴァーの「スターリングラード」にあるようにヴァルター・フォン・ザイトリッツ-クルツバッハ砲兵大将なのにパウルス元帥と混同したのといい勝負だ。
紙の本
ヒトラー本は沢山あるけれど
2019/07/24 09:38
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒトラーとナチスなどに関する本や研究書は、沢山あります。今更…と思われる方も多いでしょう。この中公新書でも結構あります。しかし、いくら本が沢山あれども、ヒトラーとナチスの問題は書き尽くせないでしょう。どんどん新しい視点の本が出てきます(そうでないつまらないものもありますが)。本書は、奇抜ではないですが、あまり誰も触れなかったヒトラーとナチスの周辺のドイツについて兵にまとめられています。文字の書体など一見どうでもいいことですが、少し掘り下げると、その背景にナチスの思想が潜んでる。それとドイツの伝統がどのように絡んでいるのか、結構興味深いです。
紙の本
勉強になりました
2022/03/14 13:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:iha - この投稿者のレビュー一覧を見る
出版されるや否や、現代ドイツ史専門家からいくつかの事実誤認を指摘され小炎上した一冊です。著者はドイツ文学者であって、ドイツ現代史の専門家ではないようです。誤認として指摘された事項はのちほどゆっくりとさらうとして、それでも色々興味深い一冊でした。特にユダヤ人たちが無事亡命できるよう出版された「亡命ハンドブック」のくだりはとても興味深かったです。
紙の本
「カフカの恋人」が「アウシュヴィッツで死んだ」?
2019/07/25 23:08
4人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
あとがきにあるように「カフカが愛した姉や妹や恋人がアウシュヴィッツで死んだことを、かたときも忘れなかった」とあるが、「ミレナへの手紙」の邦訳者がミレナ・イェセンスカーはアウシュヴィッツではなくラーフェンスブリュック「で死んだ」事は忘れていては困る。彼女がラーフェンスブリュックで送られたから、そこで元共産党員で反共に転じたり、マルティーン・ブーバーの息子のラファエル・ブーバーの元妻だったりと似た経歴を持っているマルガレーテ・ブーバー-ノイマンと知り合ったから、ブーバー-ノイマンが回想録や「カフカの恋人ミレナ」といった著書でイェセンスカーの存在を故国以外で知らしめる役割をしたのだから。
ブーバー-ノイマンが共産主義者から反共に転じるきっかけとなった「プロレタリアートの祖国・ソ同盟」の真の姿について、「フィロ・アトラス」というフィロンを会社名にしているので、ドイツ社会に同化したユダヤ教徒であってもキリスト教には改宗していない人々向けの出版社が出した亡命への紹介の本の中で「フランコ政権下のスペイン」(1938年に出版された本だから、当時はまだスペイン戦争が終わっていない事を著者が忘れているようだ)とともにソ連が「入国する国ではない」と記した事で「アトラス作成チームは、きわめて正確な情報を得ていたようだ」と書いている。ブーバー-ノイマンの義理の兄にあたるヴィリー・ミュンツェンベルクの「武器としての宣伝」(原著は1937年刊行)にゲッペルスが「農業集団化」やホロドモール、「スターリン記念白海・バルト海運河」などを言及した演説を引用して「悪質な反共宣伝」に対して反論を試みているから、ソ連を「地上の楽園」とでも思っている共産主義者や容共主義者でもなければ、それなりの情報は当時でも入手出来たのが分かる。
また「ソヴィエト占領地区、またキエフや南ロシア全土で凄惨なユダヤ人殺戮が発覚するのは、数年あとのことである」と続くが、1938年当時に「ソヴィエト占領地区」なるものが存在しない事は置いていても、「キエフ」とあるからバービーヤールだと思う。この出来事は1941年にドイツ軍がキエフを占領してから特別行動隊がユダヤ人を「殺戮」したのに、これでは未だ起きていない出来事を他の独裁政権の暴力組織が引き起こして、それを「数年あとのこと」とあるからドイツ軍が発見した事になってしまう。
他にも帯に制服姿のヒトラーの写真を使っているのに、「よほどの必要がないかぎり、ヒトラーはナチスの制服を身につけなかった」とか1935年の再軍備を1955年のドイツ連邦共和国での再軍備と混同したのか、「ヴェルサイユ条約は過酷な賠償金を課す一方で、ドイツにおける一切の軍備を禁じていた」とかヒトラーの政権掌握の直後に「旧ドイツ国防軍首脳との夕食会」とか信じられないような間違いだらけで、岩波新書の「独ソ戦」にある「ドイツ解放軍」の計画をソ連側に提起したのは実際には巻末で著者が紹介しているビーヴァーの「スターリングラード」にあるようにヴァルター・フォン・ザイトリッツ-クルツバッハ砲兵大将なのにパウルス元帥と混同したのといい勝負だ。