紙の本
立花隆とは何者であったか
2021/06/30 15:27
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ジャーナリストで評論家の立花隆さんが4月30日、80歳で亡くなっていたことが報道されたのは、関東で梅雨入り宣言があってしばらくしてからのことでした。
訃報を伝える多くのニュースで立花さんのことを「知の巨人」と伝えていましたが、その巨人自らその生涯を書き残したのが、2020年1月に刊行されたこの本です。
副題にあるように「3万冊を読み100冊を書いて」きた立花隆とは何者であったのか、その実像を知るには、この本は欠かせません。
立花隆さんといえば、どうしても時の総理大臣を退陣に追い込んだ『田中角栄研究』が頭に浮かびますが、その著作群を見ると、決して政治評論家として活動したのではなく、宇宙、脳死、ガン、とその活動は実に多岐にわたっています。
では、その原点はどこにあるのか、それはこの本の中にも書かれていますが、東京大学の学生であった20歳の時の渡欧だったのではないでしょうか。
立花さんはその時の体験をこう綴っています。
「どうやら自分が想像していたよりも、この世界というのはあらゆる意味で広くて大きくて深いようだ。そういう認識をあの時期に得たことの意味がとても大きかった」
立花さんの渡欧は昭和35年(1960年)でしたが、その瑞々しい感性はまるで幕末期に渡欧を果たした若い志士たちと共鳴するものを感じます。
その時を起点にして、立花さんは「いまでいう現代哲学的な意味での、“ノマド(遊牧民)”である」と、つねにその活動は停滞をしなかったといえます。
もし、立花隆は何者かと問われたら、まずこの本を読むことを薦めます。
投稿元:
レビューを見る
新書にしては400ページと厚かったが一気に読んでしまった
立花氏の濃い著作のガイドにもならないが大きな流れは分かった
投稿元:
レビューを見る
一気に読んだ。
世界一周旅行を終えたような読後感。
(したことないけど.....笑)
元気が出る。
この世には、知らないことばかり。
投稿元:
レビューを見る
東大で教えた頃に知ったかなあ。Nスペのがんとか脳の特集とかは覚えてる。
印象に残ってるのは、残りの人生、あと何冊本が読めるか、とか何かの番組で言ってたこと。
投稿元:
レビューを見る
今年80歳を迎える筆者がこれまでの活動を振り返った、自叙伝的なもの。
立花氏はこれまでも同じような趣旨の本を上梓してきたが、年齢的にこれが最後の振り返りであると思われる(最後の方で、最後に書きたい本について言及していることからも、このことが窺える)。
学生時代、立花氏の本を読みあさった時期があるが、一貫しているのは知への飽くなき探究と信念を貫くことである。
人生の終盤に差し掛かった現在でも、それはなんら変わっていないことが本書から読み取れる。
学生にぜひ読んでもらいたい一冊である。
投稿元:
レビューを見る
今年80歳となる立花隆、これまでの人生の振り返り、のような本です。様々な出来事について熱く語っております。31歳で、新宿の飲み屋を立ち上げ、その後、欧州大旅行、興味の赴くまま、様々な事象に関する本を多数。始まりは、雑誌の無署名記事、香月泰男へのインタビュー、田中角栄の研究、中核対革マル、日本共産党の研究、農協、最初のミリオンセラー 宇宙からの帰還、サル学について、脳死、臨死体験、私の東大論(東京大学を通して振り返る近代日本)、稀代の作曲家 武満徹、100億円年の旅 等々。様々なテーマへの関心、そしてその理解の深さには、驚くものがあります。子供頃には、図書館の本を全部読もうとしたとか。すべての事を知るには、やはり、人生は短いのかも知らん、とも感じさせられます。
投稿元:
レビューを見る
立花さんの自伝的な一冊。私にとって立花さんの本と言えば、『脳死』が一番ショッキングであり、最もじっくり読んだ一冊であった。その『脳死』に至る背景や経緯について書かれていて、興味深かった。立花さんが浩瀚な書物からの知識だけではなく、世界中を巡った旅行から得られた貴重な経験も、多くの著作のバックボーンになっていたはあまりよく知らなかった。立花さんが最後に書きたい本として、形而上学と立原道造を挙げていたが、後者は意外であった。立原道造を愛する私からは、ぜひとも、立花さんが書く立原道造を読んでみたいとそう思った。
投稿元:
レビューを見る
読み・書き・話し・きく(聞く、聴く、訊く)という日常的なインプット、アウトプットスキルの全てが強靭的なレベルであるのはよくわかる。読み切り、書き切り、話し切り、きき切るとはどういうことかが尋常ではない迫力をもって伝わる。だからこれまでずっとファンだった。これらのスキルを扱うにあたり、事実と論理で本質に迫る態度が根底にあるのも感じる。これにも今まであこがれがあった。
だけれどもこれだけ勉強した方でも読み・書き・話し・きくを「詰め切る」レベルまでにしか押し上げられていないのだなあと感じた。21世紀以降は読み・書き・話し・きくを統合しバージョンアップさせた新たな認知の道筋があるように思うのだよなあ。サイエンスのアプローチの先にあるスピリチュアルなアプローチがあるのではないかなあと。
投稿元:
レビューを見る
立花隆の本を読むのは、本当に久しぶり。
最初に読んだ立花隆の本は、「日本共産党の研究」とか「中核vs革マル」だったと思う。大学生になっていたかどうかくらいの頃だと思うが、これらの本によってノンフィクションの面白さを教えてもらった。
投稿元:
レビューを見る
「知の巨人」本人による立花隆を巡るブックガイド。サブタイトル「3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと」にあるように、どんな本をインプットし、どんな本をアウトプットして来たかが濃厚に豊饒に怒涛に語られています。本の本ではありますが思索だけではなく行動の本でもあります。大量の本を読むだけではなくて、お仕着せではない旅に行くこと、徹底的に人に会うことが立花隆を作って来のだと感得。知的好奇心が駆動して来た人生。大学の卒論が「我意欲す故に我在り」と言ったメーヌ・ド・ビランと明かしていますが、まさに意欲の凄さが立花隆の凄さ、だと思いました。「知情意」と言いますが「知の巨人」というより「意の巨人」であるところが突出していると思いました。他者の価値観に寄りかからず自分の意志で道を作って来た人生がこのコンパクトな新書にまとめられていました。それにしてもその意欲に方法論を与えた雑誌の編集文化ってもっともっと顕在化してもいいのに…と思いました。
投稿元:
レビューを見る
圧倒的な知識量。そして戦争、安保闘争、ロッキード裁判など、激動の昭和を生き抜いてきた経験。何よりもその読書量と執筆量。理系文系というジャンル分けは本当にくだらない。政治、経済、哲学、歴史、芸術、物理、脳、生命科学、、知的好奇心をさらに刺激された。
天皇と東大も読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
立花隆氏の自叙伝スタイルで書かれた本
知的好奇心や物事に対する深い洞察、その姿勢は参考になる点が多い
投稿元:
レビューを見る
立花隆の知識、情報量、探究心に敬服。
自分がいかに一つ一つの事を疑問に思わず
暮らしているか考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
先日惜しまれながら亡くなられた立花隆氏。
近頃は知の巨人といえば、佐藤優氏を指すこ
とが多いですが、この方こそ「元祖知の巨人
」です
副題は「僕が3万冊を読み、100冊を書いて
考えてきたこと」とあります。
まさに立花氏の人生を幼少の頃から振り返っ
て、その時々にどんな知識をインプットして
どんな内容をアウトプットしてきたか、全て
わかる一冊です。
新書ですが400ページを超える大作です。し
かしその内容は非常にわかりやすく、あっと
いう間に読めて、知的好奇心がさらに刺激さ
れること間違いなしです。
投稿元:
レビューを見る
2020年7月
立花隆さんの自叙伝。とんでもなくパワフルな人生を送ってきた人だなぁと思う。一時代を築いた人である。
トンデモ記事に散々叩かれて迷惑しているのに、それでも言論の自由、たとえ事実でなくても主張を発表する権利について語っている点に、偉大さを感じた。
「僕たちの旅は終わらない!」というセリフは少年マンガの最終回だと言うが、この本は著者の終活の一環なのかなとも思う。