紙の本
冷え冷えとする身勝手
2021/05/28 17:03
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「自分に利益があること」「自分が泥を被らないこと」それこそが正しい、そんな身勝手な女たち。
筥崎夫人、佐々優美、浮気相手の女、宮前母、朽田美姫と漣が物語に消えない黒々としたシミを作っているようだ。
「絶対零度」は読んでいて凍えそうなほどの悲劇。
佐々知貴の周りは自分の大切な人は巻き込まれだけ、罪はないとでもいうスタンスの女たちばかりなのは失笑するしかない。
人生も心も壊れた真の被害者の目を見て筥崎夫人は「娘は被害者」と言えるのだろうか。
本当に言いそうなのが恐ろしいが。
紙の本
杉村三郎シリーズの第5弾
2021/09/20 21:23
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:らずろ青木 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『誰か』から続く杉村三郎シリーズの第5弾。探偵業が本格的になってきた。強引でない感じがいい。どんどんその世界に引き込まれていくストーリーはさすがだ。今巻も面白かった。
宮部みゆきの本を手に取るとよくやってしまう一気読み。
紙の本
昨日がなければ明日もない
2021/06/16 22:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
離婚してからの杉村の探偵としての推理と、人間関係を推理していく温かい作品になっていると思いました。中編な作品ですが一つ一つの作品が面白いと思いました。
紙の本
期待を裏切りません
2021/06/13 15:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こやまん - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきのシリーズです
どれもとても素晴らしいです
今回もテンポよく引き込まれて読み進めました
後味のよくない部分はありますが、完成度の高い作品だと思います
表紙の絵が好きでないのですが、、、
投稿元:
レビューを見る
かなり迷惑な女の人にまつわる3編の中編.どれも読んでスッキリとはならないのだけれども,それが杉村三郎シリーズの味.今回も苦みと渋みの効いたおいしい作品でした.
投稿元:
レビューを見る
【私立探偵杉村vs.“ちょっと困った”女たち】自殺未遂のあと消息を絶った主婦、訳ありの家庭の訳ありの新婦、自己中なシングルマザー。ちょっと困った女たちを相手に杉村が奮闘!
投稿元:
レビューを見る
第一話
某有名私立大学のサークルの飲み会で睡眠誘発剤を使い女の子たちに悪戯をしたニュースを思い出してしまいます。
第二話
ここまでしてくれる娘は現実には居ませんよね。小説、ドラマにしてはいけないツッコミ
第三話
読者の皆さんは加害者が可哀想と思う気持ちが強いのでしょうか?それとも被害者が可哀想と思うのでしょうか?
何度もトライしてるのだけど
竹中家の家の間取りが頭の中で描けない。次回ぜひ間取り図おまけで付けてくれないかしら?ドラマ化もぜひ
投稿元:
レビューを見る
このシリーズは好きだけど 今回のはかなり後味の悪い話だった。
特に「絶対零度」は・・・
しみじみ哀しいものは辛いな
投稿元:
レビューを見る
待望の杉村シリーズの中篇。
派手な謎解きはないが流石宮部みゆき先生、グイグイストーリーに引き込まれて行く。
投稿元:
レビューを見る
<杉村三郎シリーズ>の中編集。今作は『探偵vs困った女たち』という謳い文句の通り、一癖も二癖もある女性陣に翻弄される杉村氏の奮闘ぶりが描かれている。冒頭の「絶対零度」から随分とヘビーな展開だが、続く「華燭」は比較的ライトタッチ。この作品とラストの表題作が【負の連鎖】を断ち切った者と断ち切れなかった者の対比の様になっている。同じ【選べなかった昨日】ではあれど、後者の背負う十字架を思うと、居た堪れない気持ちになってしまう。私立探偵は【持たざる者】であるべきだと考える私は、シリーズ第二期のこの路線が大好物です。
投稿元:
レビューを見る
文庫が出ている、と手に取りました。
なんとも…後味の悪いお話が最後でモンニョリしました。
このシリーズ以外あまりきちんと宮部作品を読んでいないのですが、悪人というか自己中心的な人物が良く出てくるなぁと思いました。前の話の困った部下の時も思いましたが、こんな社会人居るのかなぁ…と言うような露悪的というか、困ったちゃんがたくさんで大変そう。
そして悪人はずっと悪人なのもつらい。どこかで誰かがきちんと向き合わなくてはいけないんでしょうが、まぁそれは杉村さんの役目では無いのでしょうけれども…
最後の話は特にやるせない感じで読んでいて辛かったです。
投稿元:
レビューを見る
(あらすじ)
「絶対零度」
依頼人は年配のご婦人、娘が自殺未遂を起こし入院していると娘婿から連絡があった。ただ、自殺の原因が母親の過干渉だから来るなと言われた。病院に行っても門前払い、詳しい情報を何も知らされていないので、調べてほしい。
調べてみると娘婿は大学の先輩の言う事には逆らえない、それを娘が不満に思っていた事が判明し…
「華燭」
杉村は大家さんの竹中夫人と一緒に知人の娘、加奈の付添として加奈の従姉の結婚式に参列する事になった。加奈の母親・佐貴子と新婦・静香の母親・佐江子は姉妹だが佐江子が佐貴子の婚約者を奪った事で絶縁していた。挙式当日、同じフロアで挙式する花嫁が逃げ出し騒動なった。また静香の婚約者の元カノが乱入して、こちらも大騒ぎに…
「昨日がなければ明日もない」
大家の長男の嫁・順子とその娘・有沙が杉村を訪ねてきた。朽田さんという親子が依頼に来るかもしれないけど、関わらないほうがいいと忠告に来た。件の親子、特に母親の美姫は身勝手で理屈の通らないとんでもない女だった。
親権を放棄している前夫との子どもが交通事故に遭った。事故ではなく元姑が子どもを殺そうとしたと言い張る…
ーーーーーーーーーーーーーーーー
私立探偵、杉村三郎シリーズは本格推理とは言い難い。このシリーズは犯罪者ではなく普通の人達の心に潜む毒に焦点を当てていて、後味の悪いすっきりしない話が多い。
今回もどれもいやな話だ。だけど…面白い。読んでいると続きが気になって止まらなくなる。
『誰かSomebody』でも姉妹の確執が出てきたが、今回も3編中2編にクローズアップされている。姉妹は上手くいけば親友にもなりうるけど、ある意味ライバルでもある。そして拗れると宿敵のようになってしまう。厄介だ。
投稿元:
レビューを見る
単行本は以前図書館で借りて読んでいるが、文庫化されたので購入して再読。
中編3遍、安定の面白さ。
杉村シリーズの第5弾。前作で私立探偵になって少し仕事が入りだしてきたところ。
嫌な人物を描くとほんとうに嫌で読みたくなくなるが、最後につかまるのはそうでない人だった。
第6弾はまだだろうか。
投稿元:
レビューを見る
杉村三郎シリーズ5作目。彼が探偵となってからは2作目となる作品ですが、宮部みゆきさんらしい探偵シリーズものの形が、見えてきたような気がします。
収録作品は3編。最初に収録されている「絶対零度」の肌触りというか、真相が明らかになったときの冷え冷えとした感覚は、忘れがたい。
娘の夫が、自殺未遂をしたという娘に会わせてくれない。そんな依頼から始まる物語は、地道な調査と徐々に明らかになっていく人間関係が見もの。娘夫妻のどこかいびつな夫婦関係や人間関係が、明らかになってくるとともに、一方で見えそうで見えてこない騒動の真相が、話を引っ張っていく。
男性への依存、グループ内の力関係、傲慢……
どこにでもありそうな状況や、集団。そして誰もが心のどこかに持っていそうな、人間心理の醜悪な部分。それらが絡まりあい、暴走し起こった悲劇の正体。宮部さんらしい秀逸な作品ながらも、苦さが残る作品でもあります。
2編目は「華燭」
成り行きから披露宴の出席者の付き人をすることになった杉村三郎。しかし何が起こったのか、会場に着いたもののこの日行われる二つの披露宴が相次いで開催中止となり……
杉村三郎付き添いのもと披露宴に出席したがっているのは、小崎加奈という中学生。彼女がなぜ回りくどい方法で式に出席したがっているのか。
二つの家族を巻き込んだなんとも業の深い理由があり、さらにそれが回りまわって、彼女自身にもある傷を与えます。大人の世界の面倒さと、自分の関係のないところで、それが爆発する理不尽。彼女がそれをどう受け取って、今後どう成長していくのかもちょっと気になる。
宮部さんの描く子供は魅力的なキャラが多く、この加奈もいいキャラだったので、できればシリーズで再登場してほしい。
そして本筋である二つの披露宴の中止。その裏にある仕掛けと物語も面白かった。罪悪感の業以上に、女性たちの強かさも印象に残る作品。
そして表題作「昨日がなければ明日もない」
身勝手なシングルマザーが杉村三郎に持ち込んだ依頼は、「子供が殺されそう」というもので……
解説にも書かれていたけどシリーズの二作目である『名もなき毒』を思わせる展開。
身勝手でどこまでも自己中心的な女性に振り回される人たちの悲哀が、杉村三郎の調査が進むにつれ徐々に明らかになっていく。
ある人は人生を狂わされながらも、申し訳なさを覚え彼女との関係を断ち切れず、ある人は彼女の尻をぬぐいつつ、疲労と不満をためていく。
依頼主の身勝手さというものが警察のような公権力が入りにくい、というのがなんとももどかしい。
それは1編目の「絶対零度」のきっかけになった出来事でもいえることなのだけれど、周りは迷惑に感じていることでも、本人はそれを悪とすら思っておらず、自分勝手に行動する人はどこかにいるもの。
それだけなら「ただの困った人」で終わる可能性もあったのに、一線を越えると「困った人」との関係はもう戻れないところまでいってしまう。そしてそれを避けるために何ができたのか、と考えるとこれが一向にわか���ない。その理不尽さとやるせなさに打ちのめされそうにもなります。
この『昨日がなければ明日もない』から立科五郎という今後、シリーズに出てきそうな気配のする刑事が登場します。彼はある事件の真相が明らかになったあと杉村三郎に声をかけます。
「あなたもしっかり頑張りなさい、探偵」と。
これは読者への呼びかけでもあるように自分は思いました。
杉村三郎の探偵譚に出てくる人は、いずれも今の社会を生きる普通の人たち。その人たちが、ある人間、ある瞬間、ある感情に囚われ戻れない道を往った結果が、杉村三郎が立ち会う真実だと感じます。
普通の人がたどった道だからこそ、自分も状況が変わればここまで追い込まれるかもしれない、とも思うし、自分を悪とも思っていない人たちがいつ目の前に現れるのか、そんな思いも抱いてしまう。
杉村三郎は今の社会に潜む理不尽な悪や闇というものに常に立ち合い、必然それは読者にも突きつけられる。だからこの立科刑事の呼びかけは、作者である宮部さんが、杉村三郎を、ひいては読者をこの現実につなぎとめるための言葉のようにも思います。
闇はどこまでも深く果てはないように思えるけど、それでも闇を照らそうとする気持ちは必要なはず。杉村三郎の探偵譚は、今の社会や人間心理をリアルに描きつつ、闇を明らかにする挑戦でもあるように感じました。
2020年版このミステリーがすごい! 8位
投稿元:
レビューを見る
杉村三郎シリーズ第5弾。
宮部みゆきさんは、普通の生活圏のなかのどかにはいそうな、ちょっとイヤな人を描くのが本当にうまい。自分自身や身内の人がこういう人に関わったらどうしよう。とイヤな感情移入をしてしまうほど真に迫った小説でした。