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紙の本
葉室麟さんの幻のデビュー作
2022/04/20 15:40
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
葉室麟さんが亡くなったのが、2017年12月。
没後しばらくの間、何冊かの新刊が刊行され、葉室さんの生前の活躍を実感できましたが、さすがに歳月を経れば、新刊が出ることもありませんでした。
ところが、「幻のデビュー作」ともいえる作品が、文庫のオリジナルで出版されたのですから、葉室ファンにとっては驚きです。
葉室さんのデビュー作といえば、2005年の『乾山晩愁』となっていますが、本作は同じ頃に執筆されたと推測されています。
現代の高校生男女4人が雷に打たれ、気がつけば明治維新間もない時代に転生していたという、葉室さんには珍しいSF仕立ての作品に仕上がっている。
やはり「若書き」かと思ってしまうが、この作品の骨格には西郷隆盛と大久保利通二人の葛藤が描かれている。
それは、葉室麟さんが尊敬してやまなかった司馬遼太郎の『翔ぶが如く』を意識したものではなかっただろうか。
さらにいえば、葉室さんの作家としての眼は同じ九州の怪傑である西郷隆盛をデビュー前から描きたい一心だったように思える。
葉室さんの最後の作品群のなかに西郷隆盛の青春期を描いた『大獄 西郷青嵐賦』があるが、葉室さんは作家として常に西郷を意識していたのだろう。
幕末期西郷のあと追うように突き進んだ大久保利通と何故最後決別しなければならなかったか、その答えを葉室さんはこのそっけないようなタイトルに込めている。
ラストの大久保の言葉こそ、葉室さんが書きたかったことにちがいない。
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