紙の本
ほとんど知られていない、でも知っておかなくてはならない戦争の裏側を描いた物語
2022/12/13 22:21
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かなた - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めてから数時間ほとんど休まずに読み続けた。偶々本屋の映画化作品のスペースにあったから、なんということなしに手に取ってパラパラとめくっていくうちに、これは絶対に読まなくてはならないものだということがわかった。
日本であった爆撃や日本軍の戦いなどは教科書などで知ることができるけど、シベリアへ連れて行かれた日本兵の話はこうした小説などでしか知ることができないから、とても価値ある作品だと思う。
私は実際にその場にいなかったから完全に理解した、ということは有り得ないだろうけど、戦争ではただの偶然でもこんな悲惨なことが簡単に起きうることがよく分かり、自分の認識を改めざるを得ないと思った。
正直、読むのが辛いと思うときもあったけれど、それでも知らなければならない、と自分に喝を入れて最後まで読み続けました。それ位、とても価値のある物語でした。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』を下地としたドキュメンタリー小説である。2022年12月に映画化されロードショーされる。その原作である。最近、シベリア抑留については、いろいろ研究書や体験記も出ているが、本書は小説形式なのでよってもよみやすい。
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【感動の実話を二宮和也主演で映画化! 完全ノベライズ版】戦後のシベリア強制収容所で過酷な日々を過ごしながらも、家族や仲間を想い、生きる希望を持ち続けた山本幡男の生涯と夫婦愛を描く。
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自分は映画を観た後に読んだが、映画では描かれていない部分も書かれているので映画を観る前に読んでもいいと思います。特にモジミさんや子供たちの心情、ラーゲリの仲間たちの背景や心情については細かく描かれていません。映画を先に観た後の余韻とノベライズを先に読んで観た後の余韻では感じ方が違うかもしれません。
この作品を先に読んだ方は、読んで満足をするのではなく是非とも映画館に足を運んでいただきたいです!!時間に余裕のある方は、役者の皆さんの"表情"と"声"を堪能してきて欲しいです!
それぞれの立場によって感情移入する人は違うと思うが、自分はまだ親になる経験をしていないからこそ山本さんの娘であるはるかちゃんに感情移入してしまいました。はるかちゃんが山本さんのことを覚えていないって言う場面があるんですね。自分も父方の祖父を物心つく前に亡くしているので、どんな顔をしていたのか、遊んでもらった記憶などがありません。親に話を聞いても記憶に無いのでいまいちピンとこないんですよね。
はるかちゃんの場合、山本さんの遺書があるしラーゲリでどんな暮らしをしてきたのか、その"記憶"を覚えている人たちがいる。本人からの言葉や家族以外の人に記憶が残っているのは、はるかちゃんにとってどんな人であったのかイメージしやすいはず。
どうか、山本さんがどんな人であったのか沢山話してあげて欲しいと思った。
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この過酷なフィクションにのめり込んで、通勤の車内で涙ぐむこと数回。うっかり乗り過ごしそうになることも数回。
今もこの世界で、理不尽な戦争が行われていること、何十年か前の日本でも行われていたという事実を、普通に暮らしていると忘れがちな自分がいます。
シベリア抑留という熾烈な状況下、身体的にも恵まれてるとは言えない中で「こういうのはどうだろう?」と、気持ちが豊かになれる提案を同僚にできる主人公・山本幡男さんの人間としての矜持(という言葉すら軽く感じる)と尊厳ある生き方に、ただただ敬意です。
本当に大切なことをやりとげたり、信じ続ける胆力って、どうやって培われたのだろう。
映画のノベライズなので、サクサク読めますよ。
敢えて読みやすくすることで、歴史を知ってもらう間口が広がるなら、それはそれで良いんじゃないかなって思います。
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松坂桃李の演技が見たくて購入したけど,配役見らずとも松田って1発でわかった笑もうめちゃくちゃよかった。映画もすごいたのしみ!!!早く松坂桃李の演技で松田がみたいなー
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最後に勝つものは道義だぞ。
希望が必要なんだ。それがどんな小さなことでも。
想像を絶するような、ラーゲリでの生活。
その中で、人間らしさを失わないような、まっすぐな山本。
「そうでありたい」と思う姿が山本に重なる。
周囲の原、松田、相沢の山本のように生きられない姿に自分自身が重なる。
どんな状況でも、最後に人の心を動かせるのは、暴力や罰ではなく、山本の生き様のような「道義」なんだろう。
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生きようとした山本がどれだけ素晴らしい人だったか
‘戦争’という、私たちに忘れかけていた気持ちを、絶対に繰り返してはいけないという思いを思い出させる話でした。
山本に影響を受けて変わっていく、松田や相沢も最後は山本の遺志を伝えにいく
日本に戻りたかっただろうな、、、
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久しぶりに熱中して一気に読めた。
人間は儚い。それでも人間の記憶力は偉大。
辛い状況下、それでも、目の前の「生きる」ということをいかに明るく捉え、限られた中で楽しみを見つけられるか。
「生きる」ことを、強く強く感じた一冊。
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原作を先に読んでいたので話の筋はわかってるんだけど、映画用にうまく脚色されていて最後なんて原作よりも泣いちゃった。映画館で観るのがより楽しみになったし、泣いちゃうかも、やばい。
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胸が痛くなるシーンも多かったけど、こんな素晴らしい日本人もいたんだと、日本人であることに誇りや希望を持たせてくれる。
絶望の中にも希望となってくれるものは学び。記憶。
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偶然ですが、満州で終戦を迎えたエンディングの「地図と拳」を読み終えた後に、この本を手に取ったため、まるで、続きモノのように、ハルビンにいた山本が終戦後、シベリアに送られるところから始まりました。
映画は見てませんが、シベリア抑留の悲惨な映像が想像できて辛くなります。果たして泣けるのか?
Wikiによれば、映画の脚本は「正直なところ、映画はやっぱり実際とは違ってはいる(長男の顕一談)」らしいですが、ネット配信が始まったらやっぱりちょっと観てみたいところ。
ノンフィクションなだけにインパクトは強烈。今の日本は、当時、山本さんが遺書にしたためた希望にあふれた未来を実現しているのか。。。高度経済成長期あたりまではきっといい線いってたのかもしれませんが、閉塞感に溢れたイマはどうでしょう?
あと、これまたどうしても、ウクライナ禍を思い浮かべてしまいます。この瞬間にも、捕虜となった兵士が祖国や家族を想い耐えている現実に、我々自身や国際社会はどう向き合ったらいいのでしょうか?
エンターテインメントなノベライズ本、というにはあまりに重い内容でした。
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2022/12/20リクエスト 3
第二次世界大戦でロシアに抑留されていた日本人、山本幡男の生き様を描いてある。
4人の子ども、妻と母親を思いながら、ラーゲリ(収容所)で過酷な強制労働を行う山本。
列車に乗せられ、日本海かと思ったら、それはバイカル湖だった…その落胆するたくさんの日本人の中で突然歌を歌いだす。
それは、生きていることは楽しいことだ、それを自ら捨てるなんて、というポリシーのもと生きる山本だった。
厳しい労働の中、生きる希望を捨てない、辛い状況の中でもわくわくすることを考え、人間らしく生きる。学ぶ機会のなかった若い人に文字も歴史も俳句も教え、ささやかな楽しみとして句会を催す。
そんな人が、存在した事に驚いた。
このような地獄で、この様な状況なら大半の人が、松田と同じ思考になるのでは。
それでも、諦めず、必ずダモイはあります、と言い続ける山本に、反発している人も、心動かされる様子は心が震える。
それなのに、最後に命を落としてしまう。
喉の癌でまともな医療も受けられず、衰弱していく様子は読んでいてもとても辛い。
山本に遺書を書かせ日本に持ち帰ろう、としても、全て奪われてしまう。みんなで分けて保管しても、服の縫込みに入れても、何をしても奪われる。
そこで山本の
記憶というのは誰にも奪われずにしまっておける
を実践する。4人で分割して覚え必ず伝える、というのは気持ちだけでできるものではない。
通常の精神状態ではなく、人間が生きるか死ぬかの瀬戸際の体力の中、山本のために覚えることが、どれほど困難だったか。
その4人は、本当に記憶の遺書をモジミに伝える。
山本の妻のモジミが泣くシーンは本当に何度も無い。
あなたに会いたい
そう願い続け、舞鶴に迎えに出かける直前に電報で山本の死を知る。その時と、記憶の遺書を届けてもらったとき。
希望が人を生かすのだ
この言葉をしっかり覚えておこうと思う。
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映画が気になったので、見る前に読んでみようと思い購入。2日にかけて、4時間くらいで一気に読んでしまった。最後の方は、涙なしには読めない。嗚咽しながら読み進めたほど。
学校で学ぶ戦争の知識以外にも、あらゆるところにそれぞれの戦争があることを思い知らされた。シベリア抑留など、史実として知ってはいたが、こんなにも過酷な状況があったのだとリアルに感じられた。終戦の日以降も、まだまだ戦争が続いていた人々がこんなにもいたことは知らなかったし、実感できなかったので、もっと勉強しないとなと思った。
主人公の山本幡男さんの、生き方にも感銘を受けた。山本さんは、戦争と言う絶望の中、希望を失わない人。そして、周りをどんどん巻き込んで、ほぐしていく人。ここまで、自分を強く持てる人は凄い。私もこんな人を目指したいと思った。
この本にも原作があり、事実に基づいたストーリーであることに驚く。同時に、やっぱり人ってこんな素敵なこと起こせる存在なんだなと、勇気づけられる。原作も読んでみたいし、映画も見たい。
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こんなにも理不尽なことがあろうか。
ただ日本へ帰りたい、待っている人と会いたいだけなのに。
何人も仲間が死んでいき、自分もいつそうなるか分からない。常に空腹で、句を詠んだり文字を書くことすら許されない。
もし自分の愛する家族が収容所で暮らしていたらと思うとやり切れないし、この世の全てを呪ってしまいそうだ。
しかし、この苦しい状況の中、山本は違った。
諦めない姿勢、ダモイを信じる心、希望を失った仲間を元気にするカリスマ性を山本は持っていた。
山本だけではなく妻のモジミも凄かった。女手一つで子どもたちを育て上げるのにどれだけ苦労したのだろうか。
山本の遺書の内容では、モジミへ向けて書かれた言葉も勿論良かったのだが、母ヘ向けての言葉がグッときた。一目逢いたかった、と切に願う気持ちがストレートに書かれていて、彼の素の部分が初めて見えた気がした。
山本幡男は立派な人だったとしか言えない。彼ほどの人物はなかなかいない。