紙の本
環境を破壊するのは「牛」ではなく、その飼い方
2023/02/26 05:49
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:チップ - この投稿者のレビュー一覧を見る
地球温暖化の犯人として「二酸化炭素」や「メタンガス」があげられ、その犯人の一つとして「牛」と言われている。
しかし、問題は牛ではなく飼い方が間違っているからだという。
あらゆる方面で進む国際金融資本の寡占化。
さまざまなで「土壌」を守るための活動が始まっている。
私たちは今声をあげないと大切な地球が壊れてしまうと思った。
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「いのち」の糧(食)をミミズも棲めない土壌に委ねられますか?
2023/03/05 00:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:永遠のチャレンジャー - この投稿者のレビュー一覧を見る
消化不良の牛がゲップする度にメタンガス等の温室効果ガスが排出され、まさに気候変動の元凶・犯人だと名指しされる例が見られる。
疑問を呈した著者は豊富な証言を根拠に、草食動物を狭い牛舎に閉じ込め、放牧を放棄してトウモロコシを飼料とし、食糧・エネルギー危機を招く人間こそが真犯人だと炙り出す。
「太古の昔から完璧な共生関係にあった」草食動物と土を思えば、牛のメタンガス排出を抑えるために遺伝子組み換えを企図するのは、本末転倒も甚だしい。
「脱炭素なら牛と牧草のタッグが最強」「農家と社会と環境にとって最大利益を生み出すのは、牛と牧草のコラボがつくる<肥沃な土>なんです」(158頁)。「牛たちは、歩いて、食べて、気候変動と戦ってくれるのです」(164頁)。
人間の健康を「腸内フローラ」と呼ばれる腸内細菌が司るように、地球環境の維持・均衡を土壌微生物が支えている。化学肥料と殺虫剤撒布で痛めつけられ疲弊した土壌にはミミズも棲めないのだ。
著者は多様な微生物や土着菌が棲む肥沃な土壌が作物や家畜を健康にする仕組み(有機農業)を、インドの堆肥作りを通じて見出した英国の農学者アルバート・ハワード博士に言及する(168頁)。
だが、菌根菌の働きによる土壌再生メカニズムの解明前に、米国発の品種改良と化学肥料に基づく「緑の革命」モデルが推奨・普及した結果、土壌劣化(農薬依存、植物と土壌微生物との共生関係の消滅)という負の連鎖がもたらされたという。
「SDGsの目標には、なぜか“土壌”という言葉が直接でてこないのです」(178頁)との指摘にびっくりだが、それ以上に潤沢な資金をアグリビジネスに投資するゲイツ財団が、一貫して化学肥料ファーストを改めぬ姿勢に驚いた。
『風と共に去りぬ』の女主人公が二度と飢えに苦しまぬと自らに誓ったのもタラという故郷の大地(土壌)あればこそだし、黒澤映画「わが青春に悔なし」でヒロイン幸枝に扮した原節子が獄死した夫野毛の実家でスパイ一家との迫害に耐えつつ、一心に鍬を揮い農村指導者として戦後自立するのも、踏ん張れる田畑(土壌)あってのことだ。
健康な土壌は、植物・作物や動物・家畜ばかりでなく、それに触れた人間をも再起・再生させ元気づけるのだろうか。「いのち」は、こうして繋がれてゆく気がした。「食」は「いのち」を育む大事な糧(かて)だから、粗略(不健全)に扱われたくないと強く感じた。
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牛が炭酸ガスをまき散らすのが悪いのではない。
2023/02/16 21:02
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
食糧問題は奥が深く、多岐にわたる内容を持つ。安くて早く提供され、美味しく量がたっぷりの食が当たり前と思ってしまう食のグローバリゼーション。画一化することにより効率と生産性を挙げる近代農法、各国の法を軽視し共通のルールを敷き、国際化の名のもとに巨大な単一市場に統一してしまうグローバル化は、多様性を失わせ。生命を弱らせ、持続不可能な農業牧畜業を生み出した。しかし、それに対抗するように、世界各地で従来の農業を、科学的に見つめ直し、命の循環の中に、人も食もすべてを取り込み、カーボンニュートラルへの歩みが始まる。
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<目次>
第1章 「人工肉」は地球を救う?~気候変動時代の新市場
第2章 フードテックの新潮流~ゲノム編集から「食べるワクチン」まで
第3章 土地を奪われる農民たち~食のマネーゲーム2.0
第4章 気候変動の語られない犯人~”悪魔化” された牛たち
第5章 「デジタル農業改革」の裏=忍び寄る植民地支配
第6章 日本の食の未来を切り拓け~型破りな猛者たち
第7章 世界はまだまだ養える~次の食の文明へ
<内容>
前半は遺伝子組み換え作物と農薬、ゲノム編集の話も。これは感想や寒さに強く、多くの実りがあるが、農薬によって守られないと収穫を維持できない(あるいは、アグリビジネスにより、そのように遺伝子が組みかえられている)。遺伝子組み換えは、まだその恐ろしさがわかっていないところが、恐ろしいらしい。が、それよりも、農薬を撒いた大地では、連作がしにくくなる、地表がいろいろな意味で弱くなる、ことが問題のようだ。結局は、第6章などに書かれている、有機農業が「八方良し」らしい。コツコツと、資本主義に巻き込まれない方がよい。結局はここに行きつくのだ。
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「食の世界」にも「巨大資本」によって人の命は全く軽く扱われていて、暗澹たる気持ちになるが、そのまま飲み込まれていってはいけない。「再生の鍵は土だった」という堤さんの言葉を畑での栽培を通して、実践していきたい。
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食料をめぐる世界市場の裏で、我々が想像もなし得ない事態が展開している。食料に関する歴史を紐解き、事実を丹念に拾い集め、各国の現場に入り人びとの証言と共に、食に関する現状が暴露される。「人口肉」は本当に地球を救い人間を健康にするのか。フードテックの名のもとに、ゲノム編集から食べるワクチンまでDNAごとハイジャックされる農業や食料で良いのか。農地を買いあさるGAFAMと土地を奪われる貧農たちの行く末は、農業と食料の独占による世界食糧支配。デジタル農業計画の裏に忍び寄る植民地支配体制の強化。それもで、日本の食の未来を切り開こうと孤軍奮闘する猛者たち。世界的食糧危機にも光が差す方向性を提示する。水が豊で、長年の治水を続け、肥沃な土地改良を続けた日本こそ、食の宝庫である。経済摩擦のツケを外国からの食料輸入に依拠し、農協を壊滅的に痛めつけ、対米従属と独占資本に縛られない日本を目指す必要があるだろう。外国から食料輸入がストップしたら、日本はあっという間に食料危機に陥り、餓死者が続出するからである。
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・ディストピアはフィクションの中のものではなく、現実化しつつあるということ
・ウクライナ紛争をこれまでと違った視点で捉えること
・日本の農、食は本当に危機的状況にあるということ。しかし希望もあるということ
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遺伝子組み換えもイヤだが、ゲノムでつくる食料なんて食べたくない。その表示もいらないなら食べない選択も出来ない。ちゃんとしたものを食べたい。
農業に持ち込まれるマネーゲームで、わからないものを食べさせられる、土地や家畜も健康で無くなって行くのが恐ろしい。
それでも牛を元気に活かした放牧や土壌を強く元気にする農法が有るというのが救いに見えた。
選挙でも、農業と食をどうする候補なのか見極めたいですね。
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【要約】
将来的に人口の増加に伴い、食糧不足が懸念され、それは人工肉で補うようになるだろう。
またゲノム編集により人間に都合よく遺伝子組み換えされた食べ物が登場するのでまだまだ世界は養える。
ただその弊害はあり、これまで農家が外国系テック企業のアグリビジネス参画に伴い土地を奪われている現状がある。
また、牛を育てることによってメタンガスが増加してしまうというが、それは育て方の問題で放牧式で育てるからそんなことは起きない。
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自分で自分たちの健康と命を守らなくてはいけないと心がけ、コロナワクチン接種を回避し、家族を守ったつもりだったが・・・世界が国が欲望に支配された僅かな人間の私利私欲の市場原理重視を食にも広くすすめられては、何を信じてよいのか、安心して食べられるものは何か、食べることが大好きなのに食べることが怖くなり、考えなければならないことが増えてしまった。
どんどん外国人に売られる日本国土、忍び寄る植民地的支配に凡人はどのように対応したらいいのか・・・
SDGs推奨の違和感、矛盾に納得。推奨企業、マスコミを信じず問うことを続けよう!
有機給食改革に取り組んでいるいすみ市職員さんの言葉「できない理由よりまず行動だ」を私も実践しよう!
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デタラメの数々が書かれています。
・砂丘ような土の「Quincy loamy sand」を「とびきり豊かな土壌」と言う
・窒素ガスは温暖化効果ガス
・2年で飢餓人口を1億人増やした⇒実際は1億弱減っている
義務教育の理科・社会ができればツッコめる内容が沢山載っています。
https://seisenudoku.seesaa.net/article/497158515.html
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目新しい情報はなかったけれど、日本の土壌は守らなければいけないな、守るべきものだな、と強く思わされた。
そして既に頑張ってくれている人たちを購買という形で応援していきたいと思う。
インドの1億人が立ち上がったように地方から国をある意味切って、どんどん声をあげていけたら。
人はこの地球に生物の一部として存在しているのに、
神の手を持ったと勘違いした人々はありとあらゆる
生態系を壊していく。
一部の裕福層によって利権も利益も搾取されてゆくのに、国の都合の悪い真実はあまり報道もされない。
嘆いてばかりもいられない
とりあえずapeelっていうシールのついた野菜とかは絶対買いません
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モンサント(現バイエル)を巡る話はなんとなく知っていたつもりでいたが、アグリビジネス、というか肉も魚なども含めたフードテックの最新情報には正直驚きました。
ゲノム編集食品がすでに市場に出回ってたことさえ知らなかったが、食をめぐる世界市場にGAFAMをはじめとする巨大企業も参入し、農地の買い占めから衛星を使った農作物管理まで、すごいことになってます。
そのあたりの世界と日本の動向が、手短にまとめられていてとてもわかりやすい。それらの現実にかなり絶望的な気分にさせられる。
だが、希望もある、という話。
いや~、久しぶりに興味深いルポでした。
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いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。
本書は、通勤途上の書店でも平積みされていて、テーマも今日的で身近なものだったので気になっていました。
予想どおり興味を惹いたところは数多くありましたが、本レポートで紹介されたショッキングな“食の工業化”の実態を思うに、このままでは“自然の摂理”により“人知の限界”を知らしめられるのではと痛感します。
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この著者の本は「貧困大国アメリカ」シリーズから読んでいる。読んでいるから、アメリカが農業に対して何を仕掛けているかがわかる。「貧困大国」を読んで感じたのは、アメリカという国が標的を次々と変え、搾取を続ける国だ、ということ。一部の富裕層がさらに富を積み増すために、他国や他国民のみならず自国民をも標的にする。
アメリカが進める農業改革とは、農地の買収、遺伝子組み換えによる単一品種、化学肥料の投下。目的は健康でも安全でも、維持可能な農業でもなく、利益の極大化。
最後、有機農法による地力回復や収量回復を実現しながら安全な作物を収穫するノウハウがすでにある、という希望が描かれて終わる。
ウクライナ紛争を見るまでもなく、国益と国益がぶつかれば戦争が起きる。このあと起こりうる紛争のパターンとして、(農業を含め)サステナビリティの名のもとに利益を極大化しようとする勢力とこの本に解決策として書かれている有機農法を代表とする、本当に維持可能な経済、生き様を目指す勢力が衝突…ということもありうるのではないか。