紙の本
まず何から読もうかな
2023/06/23 06:47
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
川端康成?
もちろん知ってます。
日本人で初めてノーベル文学賞を受賞しました(1968年)。
その4年後の1972年にガス自殺しました。72歳でした。
代表作はなんといっても『伊豆の踊子』じゃないかな。何度も映画化されてるし。
それに『雪国』。冒頭の文章なんか誰もが知っているのじゃないかな。
でも、私の川端康成はそこまで。
作品名は知っていても、ほとんど読んだことがない。
だから、『川端康成の話をしようじゃないか』と言われても、黙っているしかない。
そんな私でも、佐伯一麦さんと小川洋子さんの対談形式の
「川端康成の話」は面白かった。
小川洋子さんが対談の中で
「いまだに読み継がれている作家って、おれは幸せですよ。」と語っていて、
そうか、川端康成はそんな稀有な作家なんだと
あらためて見直しました。
では何を読むか、この対談では『伊豆の踊子』や『雪国』よりも
『掌の小説』のことが多く語られていて、わざわざ一章まるごと
この作品の話になっているから、このあたりがいいかな。
それに『みずうみ』(これは佐伯さんのオススメ)とか、
『眠れる美女』『片腕』(この2作は小川さんのオススメ)だろうか。
一人の作家の話ができるようになるには、
できればほとんどの作品を読んでいるに越したことはないですが、
少なくとも代表作といわれるものは読んでおきたい。
川端康成、今さらながらですが、読んでみようかな。
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面白かった!素晴らしい。
佐伯一麦、小川洋子という、丁寧に真摯に言葉を紡ぎ続ける2人の川端対談。究極の2人読書会とも言える。
今まで自分は川端のどこを読んできたのかと思わされる。川端をエロスの視点で読んではいけない、特に倫理で読んではいけない、それでは浅すぎる、と気付かされる。
再読しなくては!再読してもう一度、これを読みたい。
ああ面白い、ウカウカしていられない。川端が描いていたような年齢になってきたからこそ、読まなくちゃならない川端が増えた。
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改めて川端文学の「美しさ」に触れた思い。
高校生の頃からなぜか心惹かれる小説の数々。『掌の小説』は勿論、おふたりが少女小説とか、家庭小説と表現された本も私にとっては懐かしい本たち。それこそ、子ども時代に何度も何度も読み返した小学館の『小公女』が私の読書の原体験。
『山の音』『千羽鶴』は言うに及ばず、『片腕』や『眠れる美女』で官能のかおりを知ったあの頃、どれだけ川端文学に浸っていたでしょう。
言葉に出来なかったこの気持ちをこの本が治めてくれました。佐伯先生、小川先生、ありがとうございます。
また、『掌の小説』を捲っているところ。
どの本も『雪国』も!再読再々読したい!
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川端康成の作品(雪国、掌の小説など)について、作家の佐伯一麦氏と小川洋子氏が、三回に渡って行った対談をまとめた本。川端作品は、学校の教科書に載っていたものくらいしか読んでおらず、また評伝も読んだことがないため、この対談でその人となりが少し分かって、面白く感じた。機会があれば『掌の小説』は、読んでみたいと思う。
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佐伯一麦と小川洋子の川端康成の文学対談。
小川洋子氏の作品に川端康成色のようなものを感じることがあったが、この対談で標本、死、魔界、欠損、処女などのキーとなる言葉が似通っているのだと思った。それはともかく、お二人の川端康成への深い執着と理解、解説に改めて川端康成の異質さ唯一無二さに驚き、新たな視点での発見もあってとても面白かった。
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川端康成が自死したのが2014年。その頃の本屋には川端作品の文庫本が一列を占めるくらいありました。それが、今ではほんの数冊程度という変わりよう。没後50年を期しての企画本ですが中身は深い。「片腕」や「眠れる美女」などのフェティッシュで隠微な作品は知っていましたが、お二人(特に佐伯一麦さん)の深読みには驚かされます。同時代を生きた谷崎との比較も興味深い。「掌の小説」をはじめとしてここで論じられた作品論に刺激され、改めて「川端康成の小説を読もうじゃないか」という気になりました。
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まったく「川端康成読み」じゃないのに、岩波新書の「川端康成 孤独を駆ける」を満喫出来たので、調子に乗って手に取ったのが「川端康成の話をしようじゃないか」。佐伯一麦と小川洋子という川端康成から距離のあるような(感じのする)語り手もハードルを下げてくれる気がして…。しかし、(感じのする)は間違いで、二人ともしっかり「川端康成読み」でした。「伊豆の踊り子」ぐらいしか読んでないものにとっては「そ、そうなんだ…」みたいなちょっと置いていかれた感のある読書でした。いや、嘘です。現役の人気作家が、読み手として、ではなく書き手としてノーベル賞作家の作品を「深読み」するという非常に面白い企画本なのですが、それぞれが反応しているディテールについてこちらが「わかる、わかる」にならない悔しさかもしれません。後先整えず、書き散らし、終わりを放置するという川端康成の特異なクリエーションがちょっと不思議。物語を書くのではなく、書きたい文章がある、ってことを言ってるように思いました。たから、現代の現役の作家も揺さぶられるのだ、と読みました。谷崎潤一郎との対比も、なるほど…すぐ、川端文学に飛び込もうとは思いませんが、恐る恐る遠巻きに意識します。