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客観性で 生きにくくなり 経験もっと 重視しよう
2024/03/17 22:53
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投稿者:清高 - この投稿者のレビュー一覧を見る
1.内容
科学の進化などによって、「自然も社会も心も客観化され」(p.149)るようになった。数値が力を持ち「人々が競争に追いやられる」(同)ようになった。一方で、「個別の経験の生々しさが忘れられがちになった」(p.150)。その結果、人は生きづらくなった(村上靖彦の見解)。もちろん客観性を全否定するわけではないが、生きづらくなっては行き過ぎである。そこで本書は、「個別の経験の生々しさ」を取り戻し、より生きやすい社会を作るために何をすべきかについて、「現象学」等のキーワードを用いて説明するものである。
2.評価
(1)参考文献に、小田中直樹.歴史学のトリセツ:歴史の見方が変わる時.がある(p.190)。思考の流れが、小田中の本の流れに似ており、面白かった。すなわち、小田中の本を読めばわかるが、歴史学は、客観性を重視したランケ派が今も主流であるが、オーラルヒストリーといった、「個別の経験の生々しさ」を取り上げた方法も用いられるようになった。本書のように、客観自体を否定はしないが、その問題点を克服するために「個別の経験の生々しさ」に焦点を当てるのは、大げさに言えば現代社会の流れに乗っている。
(2)内容面でも、客観性を全否定せず、「個別の経験の生々しさ」に焦点を当てようとする問題意識は、筆者はなるほどと思ったし、他の読者も読めばそう思うだろうと勝手に推測する。筆者は第8章の「アウトリーチ」をした・された経験がなく、読む限りではどちらもしんどそうに感じるが、筆者の経験不足が原因と思われるので点数は減らさない。
(3)以上の通りであるから、5点。
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「客観的視感の恐ろしさ」に気付く1冊です。
2023/07/28 16:03
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨今は「客観的にものを見る」ことが当然になっている社会になっていますが、著者はこれに対して、当書で強い警鐘を鳴らしています。
「客観性視感ばかり崇拝するのがいかに恐ろしいことなのか」について、著者は当書で口を酸っぱくして主張しています。障害者など、社会的弱者に視点を向けることで、より温かみのある優しい社会を目指そうと、著者は提唱しています。多くの方々に当書を読んでいただきたいです。
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客観性になると数字の管理になるのね。
2023/07/16 19:44
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投稿者:おじゃもんくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
数字のデーターが、全てに見える最近の世の中。
死者の数。
コロナ感染率の数字。
高齢化率や、過疎地域の人の数。
そして、「世の為人の為に生きる」「働く意思の無い者を税金で救済するのはおかしい」という社会。
ホンマ、弱者に優しく無い社会ですね。
この日本国の息苦しい社会についての一冊ですね。
第1章と2章で、個々の生きづらさの背景にある客観性への過度な辛辣について書かれて。
第3章と4章では、数値が過剰に力を持った世界で人々は競争に追いやられて行く過程を。
第5章では、個々人の語りを細かくする事で見えてくる経験について。
第6章では、生き生きとした経験の話のリズムについて。
第7章では、語りと経験を捉えるための方法としての現象学の提案を。
最後の第8章では、そこから見えてくる望ましい世界について。
筆者の関わっている、大阪市の西成地区の取り組みから我が国の問題解決の糸口を提案。
と言うか、すでに実践されていて国内に広がりつつあるとの事。
競争から脱却して。
「ケアのコミュニティー」社会を構築して。
抜け落ちた人の居場所を作り。
みんなが安心して暮らせる社会が、この国をより素晴らしい方向に進めて行く。
相互ケアの社会が実現して欲しいですね。
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個別・個人への配慮と尊重
2024/01/04 08:47
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
客観化すること自体を非難しているわけではなくて、数値化や統計的な考え方の行き過ぎを憂えるということ。ケアや教育などの場を中心に、個別・個人の語りを丁寧に尊重をすることが抜けてしまうと、自己責任ばかりが行き過ぎて強調されると。客観性の落とし穴、というよりは、個別性の尊重を訴えた本だと思いました。
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今の世の中の流れに対し、グッと引き戻すようや問題提起はとても共感しましたが、各章のつながりが曖昧なことと、最終章の提起が筆者の活動を通してのことなので、やや飛躍している印象でした。
ただ新書の限界もあると思いますので星は4つとしました。
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客観性を過度に信頼し、数値が絶対的な価値基準として人々を支配する世界は、人間の個別性や経験の生々しさが忘れ去られ、差別や排除も生まれて非常に生きづらい世界になってしまう。一人ひとりの顔と声から出発して社会を作ることの重要性を、現象学の思考様式や西成区での取組などをヒントに提唱しています。
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客観性、エビデンス、コスパといった現代社会における1つの正義に警鐘を鳴らす本。本書では人の気持ち、個別の経験といった数値化できないものを拾い出し数字による束縛から脱出する道筋を探していきます。障害者、ヤングケアラー、介護、教育に興味がある方におすすめです。
私自身、数値を示されるとどこか安心したり信じてしまう節があります。客観性という言葉に頼り過ぎず、別の視点を持つという考えには納得する部分が多くあるなと感じました。
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客観性に囚われるあまり、個別の経験、個別の事象を見落としがちなることに警鐘を鳴らす。
自分の手の届く範囲の事象について、しっかりと目を凝らし傾聴していきたい。
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「客観性」という言葉、このタイトルでハッとさせられたが、なんか危ういものを含んでいるような気がする。筆者は「客観性」にどんな落とし穴があると考えているのか知りたい
#客観性の落とし穴
#村上靖彦
23/6/8出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3Cmp64B
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現代的なデータによる可視化や比較の問題点が論じられている。乱雑な表現になってしまうが要するに「現代の数値化の文化って結果的に良くない影響もあるよね」みたいな話で、「統計は集団に対するラベル付けであり、個人の数値とは別物であるため、数値の比較に固執するべきではない」とか、「ヒトが可視化・比較をすることを選ぶようになって、あるいは可視化・比較できるような仕組みを作ったことで、便利になった反面でこれができてしまったことによる弊害が社会に悪い影響を与えている」とか、こういった指摘や批判を認識させられる。
読んでいて共感できる部分はあるが、全体的に客観性の盲信への批判に寄せられている。しかし、客観性自体を軽視や批判しているわけではないため、「こういう考え方もあるけど読み手が受け入れるかどうかは別の話」というくらいに見るべきだと思う。
言葉の表現が少し回りくどくて、文が冗長になっている。個々の主張はわかるにはわかるが、表現の問題で読むのに時間がかかってしまったので、全体感として何を言いたいのかが見えづらかったし、印象は少し悪い。4章までは精読したが、5章以降は精読が苦しくなったため周辺視的な飛ばし読みをしてしまった。
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自分の経験を自分の言葉で切り取ること。それこそがデータで溢れた今の時代に求められることなのかな。
「エビデンスを重視する自分」を、見つめ直すきっかけになった。
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「本書では客観性と数値を盲信することに警鐘を鳴らした。顔の見えないデータや制度からではなく、一人ひとりの経験と語りから出発する思考方法を提案した。この思考は社会的な困難のなかにいる人、病や差別に苦しむ人の声を尊重する社会を志向することにつながる。」(第8章 競争から脱却したときに見えてくる風景、p.171より)
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某論破王「それってあなたの感想ですよね?」が小学生にまではやって、個人の感想や感覚、感情の価値を軽く見がちな今の世の中、数値データ=客観的であることこそが真実と思われているが、数値や客観性に頼った科学は実は万能ではないし、数値が生み出す無用な序列化による弊害も少なくはないのではないか、という危機感から生まれた本。
最後の「第8章 競争から脱却したときに見えてくる風景」は、『世界』(2022年1月号)掲載「ケアから社会を組み立てる」が初出で大幅に加筆修正、第1〜7章は描き下ろし。客観性と数値化の来し方を振り返る前半を経て、後半は客観性や数値化への過剰な信仰を離れた研究・思考や現場のあり方を紹介してケアを中心にして社会を作っていく可能性を問いかけている。
大規模なデータから導き出される「平均点」「偏差値」の無意味さや数値で分断された中からうまれる優生主義的思考の危険性といった予想される方向をはるかにこえて、当事者による経験の語りに耳を傾けてそれを丸ごと受け止めるようなケースワークから「普通」とはなにかなどを考え直す「現象学」という方法の話になるのがちょっと急展開な感じもしたが、まあたしかに、不可分ではあるなあと思った。個別のケースをじかにみて困りごとに答えることができない専門分野の分断・タコツボ化、縦割り行政なども、けっきょく抽象的な数字や一般論に頼りすぎてしまい、大きなところから全体をつかむような視点や小さいところからできることを探すような視点がないからなのかもしれない。
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個人の経験をもっと研究しましょう、という話だけど、そんなに「客観性」をディスる必要ないと思うんだけどな。客観性が「真理」ではありません!みたいなのはなんかポイントをはずしている気がする。むしろ主観的な経験や判断にあるバイアスや歪み、見落しなどをどう考えるのかが問題で、そういうことは論じられていないように見える。
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客観性であることは公平性はあるが、一人一人の経験の中で生み出されたドラマを見落としがちになる。
数字や統計よりも人を見ろ、ですね。