紙の本
インドのカーストの実態に、かなり踏み込んで著されています。
2024/02/26 20:52
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
インドに詳しい著者が、インドを代表するイメージの1つ、カーストの実態について著した1冊です。
特に、最底辺のカーストとされる不可触民の実態について、かなり詳しく著されています。インドにカーストという制度が普段の生活にどう馴染んでいるか、痛感する内容です。不可触民カーストの中でも様々な呼び名のカーストがあり、その呼び名が文中で容赦なく飛び交います。
電子書籍
カースト問題の特異性と普遍性?
2024/01/27 21:00
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投稿者:ぱぴぷ - この投稿者のレビュー一覧を見る
カーストについて書かれた本や文章を色々読んでいるうちに、カーストは、インド人ではない自分には理解し得ない複雑なものだと思うと同時に、カースト問題と似たようなことは、世界中にあるのではないかという疑問を持つようになったのだが、この本を読んで、その思いは強まった。「不可触民」を、例えば「女性」や各種マイノリティーに置き換えて考えてみれば、カースト問題の解決策が、一筋縄ではいかないことは合点できる。カースト問題は、インド固有の問題ではあるけれど、遠い世界の自分とは全く関係ないこととも思えない。
紙の本
インドを知る
2024/01/20 12:29
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投稿者:ニッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
インドにはいろいろな側面がある。経済的なグローバルサウス、核保有国などなど。その中で未解決の社会的問題がカースト問題ときに不可触賤民つまりアンタッチャブルの問題である。インド独立の父ガンジーは、この問題を憂え、彼らをハリジャン(神の子)と呼んだ。それから半世紀以上経つが現状は同なのだろう。本書は、それを知る一冊である。
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配架場所・貸出状況はこちらからご確認ください。
https://www.cku.ac.jp/CARIN/CARINOPACLINK.HTM?AL=01426279
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数千年の歴史の中で形成された文化・慣習による階級的差別。今なお2億人に及ぶ最底辺の「不可触民」を通し歴史から現状まで描く。
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差別のない世界はない。宗教・人種・民族あらゆることが差別のもとになる。「隣の芝生は青く見える」的発想は逆説的に差別を生む。
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インドの日記をまとめていたところに見かけてしまったのでついついジャケ買いしてしまった。
中公新書、たまにタイトルが強気すぎて、中身がちょい詐欺な感じになってるものもある印象だが、これはしっかりとカーストとは何かについて書いていた。
むしろ想定以上に書いてあり、読む前の「カーストって何だろう?」が、読んだあとに「カーストとは一体…」という強い疑問に進化してしまったほど。
カースト、仕組みや成り立ちとしては士農工商穢多非人に近いイメージだが、そのカーストに生まれた者は能力関係なくずっとその職業にしかつけないというのが違う。とはいえ、日本のもそうそう入れ替わったりしなかったような。日本の差別は穢多非人があってしまうが、さすがに現代にはおおっぴらには残っていない。それが、インドではとても普通に残っている。
実際、自分がインドに行ったときも、清掃カーストというのか掃除のおじさんおばさんが異常に多かった印象。彼ら彼女らが転職できないのかどうかは知らないし、現地の人においそれと聞けないのでわからなかったが。
カーストのランクそのものより、仕事の範囲がものすごく厳密に決まっているため、自分の担当範囲外は意地でも仕事をしない、という印象が強かった。
ただ、特に最近は差別やマイノリティなどの問題に対して世間が熱くなっていることや、ネットの力で個人の声を広めやすくなったこともあり、かなり変化に加速がついている感じがする。それでも大きな変化が出るまではあと数世代かかりそうというのが国内の人々の感覚らしい。
死に関わる仕事である葬儀や死体処理、皮剥ぎ、そして掃除などの不衛生な仕事はカーストが低く、給料も低い。そして上位カーストの人たちはその下位カーストと一緒に食事をしなかったり、触れるのも避けるみたいなルールがある。これらはそもそもトイレや下水道などの不衛生なものが、技術進歩の恩恵を受けないままでマジで不衛生だったことが原因のよう。
人間が汚れを避けるのはある意味本能ではあるし、下手にそこだけを差別しちゃだめだよ、と厳しいルールをつけたりすると、それこそ伝染病の蔓延につながったりしてしまうのでは、だからある意味差別、というのは言葉が強いが、接触を避けるのは仕方ないんじゃないかな、と思ってしまう。
まあ、そこは政府もわかっているようで、水洗トイレの整備などを進めている様子。まあ、まだだいぶ時間がかかるだろうけど…
ただ、別にカースト=不衛生な仕事とかではなく、政府が公式に決めた「指定カースト」という仕組みでは他にも仕事がある。更にカーストによっては優遇措置があるとのこと。でも、そのためには自分のカーストを公表しなきゃならないという問題もあるようで、なかなか大変そうだ… 自分のカーストを秘密にしたまま大学に行ったりしている人たちもいるみたいだし。
でも… 政府が公式にカーストの存在をしっかり決めてしまったというのがなかなかややこしいように思えた。こういうのは下手に決まりを作ってしまうと、ルール外の問題が出たりして大変な印象がある…
本を読む前に知っていた��ンドの偉人はガンディーだけだったが、同じくらい、いや、今ではそれ以上に信仰に近い尊敬をされているのがアンベードカルという政治家らしい。
ガンディーは不可触民解放運動をしているから、とにかく同じ権利にしろ、という意見なのかと思ったら、差別意識を取り除くのは必要だが、政治的権利を与える必要はない、という主張だった。そこを、アンベードカルはちゃんとみんな政治的権利を持たなければならない、という意見。単純に見れば確かにアンベードカルの考えが妥当に思える。
…が、p83にもあった、「マイノリティが自治および独自の政治的権利を強く要求した場合、分離主義に至る。」というのを知ると、ガンディーが慎重に行きたかったのも理解できてしまう。この仕組みでイスラム教徒によるパキスタン建国が起きたようなので、そういうのを避けたかったということか?
IT業務はカーストが関係ないからどんな生まれでも仕事につけるという、自分がインドで仕入れた知識はこの本では語られていなかった。実際どうなんだろう。この本を読むと、やっぱり出自はずっとつきまとってくるように思えるが…
今のところはカースト問題を解決するよりも、海外に行って活躍するのが楽(ただし海外に行っても結局インドコミュニティができてしまい、その中でカースト問題が再燃している模様)に見えるなぁ。と言っても、海外に行ける人なんてものすごく限られてるか… でも昔に比べればマシなのか?うーむ、やっぱり難しい。下手に口を出せないな… でも、下手に口を出せないな、とわかっただけでも大事!