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YKさんのレビュー一覧

投稿者:YK

384 件中 16 件~ 30 件を表示

紙の本

異色の宇宙本。高校生、中学生に是非読ませたい!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

宇宙に関する新書は多数出版されています。本書を読んでもそれらの他の著作と比較して、目新しい事実が紹介されているわけではありません。しかし、本書は他の自然科学系の新書とは全く異なる視点で書かれています。
人類が現代まで宇宙開発を継続してきたその動機が人間が持つ「イマジネーション」であるとし、そのイマジネーションは読者の誰でも持っていると語りかけます。宇宙を含む自然現象への理解の進展が、純粋に知的好奇心に突き動かされた数多くの研究者のリレーによって成し遂げられ、知的好奇心は誰もが持ち併せているという著者の言葉に勇気づけられる読者も多いのでは。次の一節が非常に印象的でした。
「我々はどこからきたのか?我々はひとりぼっちなのか?もちろん、その答えを知ったところで誰の暮らしも物理的に豊かにはならない。飢えた子供を救えるわけでもない。その答えを追うことは無意味だろうか?もし、無意味と断ずるならば、物質的豊かさのみを追求するのもまた、人類の生き方だと思う。でも、僕は知りたい。あなたも知りたくはないだろうか?きっとまだ人が科学を知るはるか以前から、人は星空を見上げて自らに問いて来たのだ。我々はどこからきたのか、と。そして、人はイマジネーションの中で気づいていたのだ。その答えが、星空の中にあることを」
著者の文章にはどんどん引き込まれる不思議な力があるように感じました。理系の研究者で、これほど文学的な雰囲気を持つ文章が書けるとは。本書のどの章を読んでも面白いですが、何といっても地球外文明の探査に触れた5章が著者の素晴らしさがダントツに凝縮されている印象でした。
もちろん、著者はNASAの研究所で火星探査ロボットの開発に携わる第一線の研究者なので、5章以外の部分も素敵な文章の中に科学的な事実や、分かりやすい解説もちりばめられています。
これを高校生ぐらいの時に読んだら、自然科学系の大学の学部に行きたい、と考える学生が出てきそうな気がします。

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紙の本

原因不明の遭難事件に迫ったノンフィクション。妥協しない科学的検証は秀逸

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1959年、冷戦下のソ連・ウラル山脈で起きた遭難事件。キャリアを積み重ねた9名の大学生パーティーの全員が不気味な死に様で発見されました。極寒のウラル山脈の山麓であるにも関わらず、9名全員がまともに防寒具も身に着けず、靴も履いていない状態で、しかもその内の3人は頭がい骨骨折、1名は舌がないという状況でした。
当時、直ちに捜索隊が結成され、遭難の原因が追究されたのですが、明確な原因は特定できずじまいで当局が下した結論は「未知の不可抗力」によるものでした。それ故に様々な原因が独り歩きする状況となりました。雪崩、突風、地元少数民族の襲撃、野生動物の襲撃、武装集団の襲撃、ソ連軍の核実験の巻き添え、隕石の落下、雪男説やUFOが関与しているという突飛な説まで…。
そのどれもが説得力を持ちえず、50年近くの間に渡って「謎の遭難事件」として語り継がれてきました。
筆者はこの謎の遭難事件の原因を科学的に究明しようと遭難現場にまで足を運び、そして見事に科学的に説得力のある原因を同定しています。その原因が何かというのはネタバレになるので割愛しますが、読了するまで全く予測していないものでした。
遭難するまでの9名の動向、遭難後の捜索隊の動向、そして筆者による調査の3つの時系列によってこの事件の真相に迫る、読み応え十分のノンフィクションです。結構なボリュームですが、どんどん引き込まれて読み進めることができます。

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紙の本

グリコ森永事件を俯瞰する決定版とも呼べるノンフィクション!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

昭和59年、グリコ社長の誘拐から始まったグリコ・森永事件。犯人グループに肉薄した焼肉「大同門」での現金受渡しの現場、キツネ目の男が捜査員の前に姿を現した丸大食品脅迫事件でのJR京都線高槻駅や京都駅での現場、そして名神高速道路を舞台に犯人グループに迫ったハウス食品脅迫事件での現場の3つの局面をクローズアップし、当時の捜査員からの証言で当時の現場の状況を克明に描き出しています。
その上で現場捜査員や、捜査の指揮をした警察上層部に至るまで、さまざまな立場の元捜査員からの証言でこの一連の事件の推移を描き、なぜ犯人をとらえきれなかったのかという点にも力点をおいて触れています。
怪人21面相という自称と、マスコミ、警察への挑戦的な手紙で強い印象の残っているこの一連の事件について、「当時の現場ではこんなことになっていたのか!」と改めて感心したり、多府県にわたる捜査で警察組織が現場と指揮層の上下において、各県警同志の縄張り意識・ライバル意識での横方向においても一枚岩になりきれなかった問題点など非常に興味深い事実も描き出しています。
この事件を俯瞰するとき、この1冊がまさに決定版と言える印象を受ける読み応え感満載のノンフィクションでした。

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紙の本

福島第一原発事故の生々しい記録

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

島第一原発の事故については多くの本が出版されていますが、本書は現場に居合わせた現場作業員の方の証言をメインに集めて事態の推移を描いた本です。
東日本全域が人の住めなくなる状況となるような最悪の事態を避けられたのは事故発生からの数日間に現場の方々の文字通り自らの命を顧みない作業のおかげであったことを改めて知ることができます。
しかしその現場がいかに過酷であったのかが読み取れるのは、本書に登場する多くの作業員の方が現場で感じた命の危険や恐怖を正直に語っておられる証言です。以下に抜粋します。
「怖かったです。でも原子炉建屋に入るってことは半端じゃない被ばくをするってことです。死ぬかもしれない。やっぱり行きたくなかったですよ。家族のことが頭をよぎりました(原子炉建屋に入る作業員を募る際に挙手できなかった時の心境)」、「完全に戦意喪失でした。『死を覚悟した』なんて言うけど、俺は死ぬって覚悟もないまま実際に死にかけた。あと10秒早く車に乗っていたら車ごと潰されていた。目の前に『死』があった(3号機建屋の水素爆発の際、飛散したコンクリートの塊で作業車両が破壊された作業員)」
他にも生々しい証言が多数収められています。忘れてはならないのは2名の方が地震直後の点検作業中に津波によって原発内でお亡くなりになっている事です。
技術的な説明は極力抑えて、多くの人の証言から事態の推移を描いているので非常に読みやすく、何よりあの時に現場がどのような状況であったのか、その過酷さの一端が伝わってくるノンフィクションでした。

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紙の本

国防について今だからこそ読むべき本

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

1993年日本海で北朝鮮の不審船と自衛隊イージス艦「みょうこう」とが遭遇した時、艦橋に航海長として任務に就いていた著者が自衛隊や、軍事行動の本質について述べる本。タイトルからはちょっと過激な思想の本かという印象を受けますが、それはいい意味で完全に裏切られます。
自衛隊は軍隊ではないとか、スーダンは戦地ではないとか、建前論に終始する政治家の言葉とは異なり、自衛隊や軍事行動の本質を単刀直入に切り込みます。著者が自衛隊は戦闘行動を目的とした組織である事を認めた上で述べる次の一文は建前論ではなく、すっと腑に落ちました。「軍事行動とはあらゆる解決策を模索し、懸命に和解を企図したにも関わらず、万策尽きてなお、国家としてどうしても譲れないと判断した事柄についてのみ発動されるもの。どんなに美しい言葉で飾ったところで、国家がその権力を発動し国民たる自衛官に殺害を命じ、同時に殺害されることをも許容させる行為。ゆえに権力発動の理由が『他国とのおつきあい』や『〇〇大統領に言われたから』などというものであってはならず、日本の国家理念に基づくものでなければならない」
部下の隊員の命を預かる幹部自衛官の心得を垣間見ることができる本でした。
冒頭に触れた北朝鮮不審船事件の際の艦橋内における緊迫のやり取りを収録した本書前半部も読み応え十分です。

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紙の本

紙の本シンクロの鬼と呼ばれて

2016/07/27 19:48

オリンピックに臨む井村さんの心意気が伝わる本!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

シンクロの名コーチ井村雅代さんが、40年におよぶコーチ歴で経験した8度のオリンピック(6回は日本のナショナルコーチとして、あと2回は中国のナショナルコーチとして)すべてでメダルを獲得したその舞台裏、中国のナショナルコーチを受諾した時の周囲との衝突の真実、ご自身の支えとされてきた心情などを語ります。とにかく伝わってくるのは「この子を何とかして上達させてあげたい。そしてオリンピックという素晴らしい舞台に立たせてあげたい。その最高の舞台でメダルを取るという経験をさせてあげたい」という選手への深い愛情です。琴線に触れた箇所に付箋を貼って行ったら、付箋だらけになりました。いくつか抜粋します。
「五輪はスポーツの天才の集まりではなく、五輪に出たい、出たいと強く思い続けて努力し続けた人の集まりだ
」、「自分ができない時、才能がないからできないのではなく努力が足りないからと思える心の才能がないと進歩しない」、「練習は最悪の時やしんどい時にするもの。試合は元気な時にするもの」、「子供の集中力、やる気が持続しないのは、やることの意義、動機づけを大人がきちんと伝えていないから」、「試合でプレッシャーを感じて当たり前。とことん感じて、それを突き抜けて開き直るぐらい追い込まれないとダメ。そのためには”やれることは全てやった”という自信が必要」などなどです。ちょっと古いタイプの考え方かもしれないし、違和感を感じる方もいると思います。ですが、単なる精神主義や勝利至上主義ではなく、また悪しき平等みたいな綺麗事で片付けない、こういう考え方は大変共感できました。語り口調が大阪弁なので、親近感もありますし、読み終わって何かすっきりします。

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紙の本

紙の本原発労働者

2016/07/14 18:14

「平時」の原発とはどういう作業環境なのかを描いた好著

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

東日本大震災以前の「平時における」原発というのは、どのような労働環境で、どんな作業によって運営されているのか、という視点から、原発内の工事請負業者や、中央操作室のオペレーターなどからの証言をまとめた本。ある程度予想はしていたけれど、ここまで労働者の健康や、安全を犠牲にしなければ立ち行かないプラントなのかと恐ろしくなった。「いくら自動化しても、どうしても高線量の現場に人間が入らないと設置できない部品があり、そういう時は被ばく量測定用メーターは外して作業する」、「ボヤが発生しても水をかけたり消火剤を噴霧すると記録に残るので、燃えるものを遠ざけて自然鎮火を待つ」、「被ばく管理区域にはトイレがなく、どうしようもないときは間に合わないので垂れ流す」、「燃料プールに落としてしまった物は被ばく量管理にかからないという理由から外国人労働者が定期検査の時に水を抜いたプール内に降りて拾う」、「原子炉出力が計画値を超えると、係数を書き換えて計画値に収まるように修正する」など。でもこういう危険な作業に従事する人々にとってはその仕事がなければ生きてゆけないという状況に仕向けているのが現在の状況の度し難い罪深さなのか。原発を今後どうするかを考えるとき、エネルギー政策としてだけではなく、労働問題として目を逸らせてはいけない一面であることは確かかと感じた。

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紙の本

紙の本福島第一原発事故7つの謎

2015/02/02 18:22

福島第一原発事故の技術的解説の良書

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

NHKスペシャルとして放映された「メルトダウン」シリーズの取材班による福島第一原発事故の技術的な解説。福島第一原発の事故は政治的な側面があったり、複数の原子炉の事故が同時並行的に進行したため、非常に複雑です。
水素爆発を起こした1号機、3号機、4号機と深刻な放射性物質の拡散を発生させた2号機の各原子炉で、それぞれどのようなプロセスで事故が進行したのかを技術的な切り口で解説しています。
この手の本では事実を詳しく解説する事に傾注すると難解すぎて理解しにくく、逆に単純化し過ぎると結局何の事か良く分からないといったことが多々あります。しかし、この本は情報の正確さと分かりやすさが両立しており、新書1冊分に過不足なくまとめてあります。
NHKスペシャル取材班の「分かりやすく伝える」技量の高さに感心しました。

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紙の本

なぜ台湾が親日的なのか、その理由の一端が描かれているノンフィクション

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中国や韓国など日本周辺の国では反日的な世論が大勢を占めるケースが多い中、台湾は極めて親日的な世論が形成されている国です。その台湾の民主化、人権の確立などに生涯を捧げた日本人がいました。本書の主人公、湯徳章(坂井徳章)氏です。太平洋戦争直前のころ、日本人の父、台湾人の母というルーツを持ち、台湾では警察官として治安維持に携わっていましたが、台湾の近代化には日本で勉強することが必要と考えて来日、日本語の勉強も並行して進めながら当時最難関とされた高文司法科試験(弁護士資格のようなもの)、高文行政科試験(国家公務員試験のようなもの)に合格します。
太平洋戦争前、台湾が日本によって統治されていた期間は日本からの熱心な教育者の派遣や秩序を保った統治によって台湾の社会は近代化を遂げていました。その当時、台湾の近代化に協力的であったことが今の日本への親日的な世論の基礎となっているようです。
徳章氏が台湾で弁護士として人権の確立などに奔走していた時、太平洋戦争が始まり、日本が敗戦にいたって徳章氏の人生にも大きな転機が訪れます。日本の敗戦によって台湾の統治が中国国民党に委ねられることになったのです。
中国国民党は露骨に外省籍(中国本土の人)と本省籍(台湾の人)との差別をしたり、台湾人にとって不公平な統治を実施しました。民衆のその不満が爆発したのが二二八事件です。台湾における天安門事件に相当する民衆暴動で、これを中国国民党は中国軍を投入して鎮圧しました。この二二八事件の際、民衆と中国軍との正面衝突を避けるべく、民衆の説得にあたったのが徳章氏です。このような功績を残した徳章氏を、中国国民党は事件終息後に見せしめともとれる公開処刑によって殺害してしまいました。台湾では徳章氏の功績をたたえるために、処刑が行われた公園の名前に徳章氏の名前が冠されています。このような日本人が存在したことを、本書を読むまでは私は全く知りませんでした。
香港での昨今の中国の強硬な施策をみるにつけ、本書で触れられた台湾のケースがオーバーラップしてきます。

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紙の本

学業と部活の両立をいかに実現しているかに迫るノンフィクション。登場する高校生の意識の高さに驚きました!

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

高校野球では強豪私学の有名校が優勝を争う構図になっています。その一方で、県立進学校でありながら真剣に甲子園出場を目指す(そして実現させている)野球部の現状を監督や現役選手に取材して紹介したノンフィクション。
登場するのは松山東高校(愛媛)、濟々黌高校(熊本)、彦根東高校(滋賀)、時習館高校(愛知)、青森高校(青森)、佐賀西高校(佐賀)の6高です。
野球推薦はない、練習時間は制限される、当然勉強も手は抜けない、など野球の上達のためにはネガティブな条件満載にもかかわらず「だからこそ両立させる!」というある意味反骨精神満載の関係者の言葉は魅力にあふれています。
プロ野球選手を多数輩出する有名私学のやり方も批難されるものではないと思いますし、一方でこの本に登場するようなアプローチも素晴らしいと思います。
この本に登場する学校の選手の一人に著者が「強豪私学へ野球留学してくる高校生をどう思うか」と質問した時、「彼らは覚悟を持って越境入学してきている。むしろすごいと思う」と即答したエピソードが紹介されています。相手への妬みではなく、同じ高校生としてリスペクトしている器の大きさに驚く著者。全く同感です。
甲子園を目指している球児と比較にはならないですが、私自身、恵まれない競技環境の下でいかに他の高校に試合で勝つかを真剣に考えていた高校時代を思い出させてくれる1冊でした。「強豪校の監督術(講談社現代新書)」と併せて読むと、面白いと思います。

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紙の本

食品の安全とそのコストについて再考を強いる1冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

食料自給率が30%前後の現代の日本では、中国産、アメリカ産の食品抜きではよほどのコストをかけない限りは食生活が成り立たない状況となっています。「中国産は危なそうだけど、輸入するときにきちんと検査されているから大丈夫」「中国産は嫌だけど、アメリカ産なら安心」と漠然と思いこんでいるケースが多いのではないでしょうか。
中国での想像を絶する衛生管理の下で生産されるアサリなどの海産物や茸などの野菜、農薬にまみれたコメ、抗生物質漬けの鶏肉の現状を著者の取材で明らかに。そしてそれらの食品が日本国内で流通してしまうからくりにも触れています。
アメリカ産の穀類の大半は遺伝子組み換え品種となっていながら、それを数十年に渡って長期的に摂取したときの危険性については「危険とは言えないが、安全とも証明されていない」レベルであると警鐘を鳴らしています。
これらの食品が輸入の際の検査の網を潜り抜けたり、あるいは政治的な取引の材料としてかなりの量が国内で合法的に流通しています。
「安いから」、「大手チェーンで扱っているから」などの安易な理由ではなく、自分達や子供達が毎日口にする食品の安全について、考え直すきっかけを与えてくれる1冊です。

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紙の本

紙の本八月十五日に吹く風

2018/05/01 18:53

GHQの日本占領政策に影響を与えた隠れた真実に迫る

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

943年7月29日、アリューシャン列島のキスカ島守備隊5200名を救うためにアメリカ軍の包囲網の中を奇跡的に潜り抜け、見事に全員を救出した史実があります。当時、アメリカ軍は日本人の国民性を「玉砕・特攻を厭わず、人命に執着しない危険な民族」とみなし、それが市街地への空襲や原爆投下を認める根拠ともなりました。そして終戦後は強硬な占領政策を敷く目論見でした。
海軍上層部にキスカ島における日本の勇敢な救出作戦について進言し、GHQの占領政策を強硬な方向から180度転換させるきっかけとなったのは当時通訳官として従軍しキスカ島での救出劇の一部始終をアメリカ側から目にしていたていたドナルド・キーン氏です。キーン氏が目にしたキスカ島での救出劇を日本側、アメリカ側の双方を舞台に描いています。アメリカ軍上層部の日本人への偏見を当時から日本への造詣が深かったキーン氏が取り払おうと直訴された日が1943年8月15日だったのです。
不可能と思える救出作戦を理詰めで遂行する救出部隊指揮官の冷静な判断や思慮深さ、部下の命を慮る人間性がよく伝わってきます。

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紙の本

個人の心理と、組織の両面から失敗のメカニズムを探る

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

著者の主張は「できるだけたくさん失敗して、その原因を検証してフィードバックし、成長につなげる」という事で、それがどのような要因によって阻害されるのかを様々な視点から述べています。
個人レベルの問題としては失敗を認めることができないこと、誤った考えを捨てきれないことの心理学的な要因について、組織レベルの問題としては安易に失敗やミスの犯人捜しに奔走してしまうこと、それらを隠蔽してしまって問題が表面化しない体質に陥ることの危険性、失敗のデータの解釈の仕方などについて解説をしています。
「失敗すること=恥ずべき事」ではなく「失敗すること=成長の機会」と捉え、より効果的に失敗を成長につなげるために必要な組織づくりについて、様々な業種の実例を挙げています。この実例については航空業界、医療業界、法曹界、教育、IT、軍事など広範に及び非常に分かり易くかつ具体的に書かれており、大変参考になりました。
訳も読みやすく、この手の本としては内容の充実度、読みやすさともに素晴らしいと感じました。

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紙の本

紙の本富士山噴火

2017/09/08 17:05

火山災害の実態をわかりやすく描写した災害小説

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

首都直下型地震の「M8」、南海トラフ巨大地震の「TSUNAMI」、巨大台風直撃の「東京大洪水」と様々な巨大自然災害を描いてきた著者が今回描くのは書名どおりの富士山の噴火です。
2014年の御嶽山の噴火によって火山災害は以前よりも若干クローズアップされた感がありますが、地震や水害に比べると頻度が少なく、私たちが経験したり目にした噴火がごく小規模なものに限られることもあって、私たちにとっては実態を把握できていない災害ではないでしょうか。
本書は富士山が山体崩壊を伴う非常に大規模な噴火を起こしたとき、どのような被害が想定されるかを描いています。
噴火の規模が単なる水蒸気の噴出から溶岩の流出を伴う本格的な噴火に発展し、そして火砕流、火山泥流などが次々に発生し、山体崩壊に至る様子は、火山災害が非常に多彩な災害の複合災害であることを、本書を読み進むことで容易に理解することができます。
著者は元技術者ということで、描かれている事象の裏付けがしっかりしていて、荒唐無稽さは読んでいてほとんどなく、火山災害を理解するうえで非常に参考になる本だと感じました。

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紙の本

活断層地震に関する正しい知識を得るための最適な1冊

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

NHKスペシャルや地震に関する報道でコメントを求められることの多い地震学者遠田晋次氏による活断層地震に関する基礎知識を解説した本。熊本地震でにわかに注目されるようになった活断層地震。何が解明されており、何がまだ解明されていないのか、その研究の最前線を判りやすく解説しています。読後の印象としては、日本列島には既知の活断層以外にも未知の活断層が至る所に存在し、その活動周期も数万年以上と長いものも多く、その周期性も海溝型地震と比較すると一定でないケースが頻発し、そしてある活断層が単独で動くケースもあれば、周辺に存在する活断層が同時に動くケース(熊本地震がまさにこのパターン)もあり、確度の高い予測は現状では困難ということでした。
しかし著者はだからといって「日本中どこでも直下型地震が起こるなら、どこにいても同じ」という諦観に近い受け身の姿勢になるのではなく、自分が住んでいる地域の直下型地震のリスクを知った上でそれに備えるべきと主張しています。
「地震ハザードステーション」という非常に便利なツールがネット上で公開されており、その使用方法も解説されています。
新聞やテレビで地震に関する報道を正しく理解するために、正しい基礎知識を身につけるためにおすすめの1冊だと思います。

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