漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説5
<全国大会個人戦の優勝者編84首~93首>

ちはやふるストーリー 第84首 - 第88首

※この記事には、ちはやふる ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。

全国大会 個人戦<前半> ― 個人戦で衝突するそれぞれの想い

  「ちはやふる」第84首から第88首では、新と太一の関係が変わっていくのですが、ここではその関係に重要な意味を持つ展開があります。

千早たちの瑞沢高校かるた部は、熱戦を制し、団体戦において優勝を手にします。つづいて、それぞれの想いが錯綜する個人戦が開幕します。

団体戦の決勝で、なんと指を負傷していた千早ですが、優勝校の代表として個人戦も戦い抜くことを誓います。利き手が使えない不利な状況でのクイーン若宮との対戦にも注目しなくてはいけません。

しばらくのブランクを経て、新がついに公式戦へ戻ってきます。「全国大会の個人戦で優勝して東京へ行く」と宣言した新に対して、太一の胸中を思いながら読むと、目が離せない章です。

それぞれの想いが交錯するちはやふる第84首~第88首ですが、今回もネタバレを少し交えながら、見どころを登場人物ごとに紹介していきます。

ちはやふるの見どころ・新と太一の相関図編 「新が東京に」

オトコでも読める少女マンガより

全国大会個人戦の予選決勝を控えた前夜、新と太一が話をする場面です。新は、千早と太一だけがチームメイトだったと振り返ります。しかし、新の決意を聞いた太一は、自分が新のことをチームや友人と思っているだけではないということをはっきりとこのとき自覚します。

太一にとって新は、小学生の頃からずっと恋のライバルであったことを再確認するのです。

これまで何となくでしか見えて来なかった千早、新、太一の三人の関係に大きく変化が起こり始めます。

ちはやふるの見どころ・千早とクイーン若宮の関係編 クイーン戦への誓い

マンガソムリエ兎来栄寿のブログより

個人戦では、千早とクイーン若宮との再戦が実現します。千早は、団体戦で指を負傷し、圧倒的に不利な状況から巻き返すのですが、クイーンとの力の差は歴然としていました。試合後、ロビーで二人が会話をするシーンから見どころです。

ハンデを負った千早に対しても若宮は、容赦なく向かっていきます。そのことが返って千早を熱くさせます。

若宮もまた、自身の幼い記憶を回想し、クイーン若宮が「孤独」にこだわる理由を垣間見るシーンでもあります。

ちはやふるの見どころ・千早と太一の相関図編 いまいちばん大事なもの

良キ漫画求ム!より

この大会で太一は、B級個人戦の決勝戦へ勝ち進みます。新が戻ったいま、優勝してA級へ昇級することは、太一にとって何よりの悲願です。

一方、A級個人戦では、新とクイーン若宮という組み合わせで決勝を争うことになっていました。

クイーンを目指す千早にとって重要な一戦であることは間違いないのですが、千早にとって、そのとき一番大事なものは、太一の「A級昇級」だったのです。

ちはやふる太一ファン共通の感想ですが、千早の太一に対する態度がとてもまぎらわしく、ちょっとばかりイライラしてしまうそうです。私は、できるだけクールに読み進めようと心がけました。

ちはやふるストーリー 第89首 - 第93首

※この記事には、ちはやふる ネタバレを含みます。内容を知りたくない方は閲覧をお控えください。

全国大会個人戦<後半> ― ちはやぶる新のかるた

  全国大会個人戦A級決勝を戦うのは、新とクイーン若宮の二人に決まりました。幼少の頃からのライバルの二人は、どんな戦いを見せるのか、そして、ブランクを経て戻ってきた新は、どんな試合を見せるのかに注目です。

ネタバレし過ぎないように、ここでは勝敗の結果については明かしませんが、強すぎるがゆえに孤独な若宮にとって、新の存在は大きいようです。

新との試合はもちろん、千早や逢坂恵夢といった手加減する必要のない対戦相手との一日を過ごし、心から笑う若宮の表情をぜひ漫画でご覧ください。

一方、本来の力を発揮できた太一は、ついにA級昇級を果たし、新と同じ土俵に立ちます。千早は、新と太一の試合を目の前にして何を想うのでしょうか。千早をめぐる二人の関係に、ますます続きが気になります。

ちはやふるの見どころ・新とクイーンの関係編 高校生最強をかけた一戦

マンガソムリエ兎来栄寿のブログより

幼少のころからの宿敵同士の決勝戦です。新とクイーン若宮の戦いが始まります。しかし、クイーンとの決勝戦ながらも、新は緊張するどころか、どこかリラックスして楽しんでいる様子です。

若宮は、神の領域とも言える「ちはやふる」かるたを見せつけます。新もまた、一年半のブランクを埋めるために努力を重ねてきていました。

ちはやふる男性キャラクターで一番の人気は、真島太一と言われていますが、新もまた高い支持を得ています。かるたの実力はもちろん、「試合中の笑顔や表情がかっこいい」というファンに、人気が高い場面の一つです。

新とクイーンの決勝戦の勝敗のゆくえは、ぜひ漫画でお楽しみください。

ちはやふるの見どころ・太一(たいち)編 悲願の昇級を叶えた太一

カピバラさんより

太一がB級個人戦の決勝戦で勝ちを納めて、ついにA級への昇級を叶えます。太一のB級決勝戦の相手は、富士崎高校一"感じ"の良い選手である山城理音(やましろりおん)でした。

千早や周防名人と同じく、類まれな"感じ"る才能を持つ山城を前に、一時は思うように実力を出し切れない太一でしたが、最後は、「いつか千早に勝ちたい」という強い思いで試合に挑みます。A級昇級を手にした太一の笑顔は、ちはやふるの太一ファンにとってはとくに忘れられない場面でしょう。

ちはやふるの見どころ・千早(ちはや)編 心の変化を映す短歌

二次元目!より

ちはやふる第89首あたりから、かるた一色だった千早の様子に変化が現れはじめます。

千早は、近江神宮での団体戦決勝戦で負傷した指を手術することになってしまいます。そして入院することになってしまうのです。

入院中に千早が詠んでいた短歌には、遠く離れた相手への恋心をうかがわせる内容が込められていました。上の画像は、千早のそんな短歌を見たかなちゃんが「太一」を励ます場面です。このあたりは、ちはやふるのストーリーが単純な恋愛ものではない面白いところです。

ちはやふるの見どころ・新たな名脇役 登場編 富士崎の新部長 ヨロシコ部長

かいがいのより

濃いキャラクターの脇役やエキストラが続々登場するのがちはやふるです。今回も期待を裏切らない個性的キャラクターが登場します。

富士崎高校の新部長・ヨロシコ部長(本名は日向良彦くん)です。ここに掲載しているのは、アニメからの画像ですが、マンガと同じく、自己主張が非常に強いキャラクターです。

ちはやふるの見どころ・千早と太一の相関図編 千早が知らない太一の顔

良キ漫画求ム!より

全国大会での熱戦後、千早と太一は、関係を深めた富士崎高校かるた部の合宿に参加することになりました。

これまで千早は、幼なじみでもあり、ずっと兄妹のように育ってきた太一のことなら何でも分かっているつもりでいましたが、本当はそうではなかったと感じる場面です。

合宿に参加する太一の様子を見ていくうちに、太一のことを自分は何も分かっていなかったんだと気づきます。千早は「気づくのが遅すぎる」のです。

短いシーンなのですが、この言葉は次章以降への予告にもなりますので、とても重要な局面です。次回の内容の少々ネタバレになる表現ですが、さらなるかるたの強さを切望する千早の心を最も身近な存在の太一が揺るがしていきます。

まとめ

ちはやふる第84首から第93首までのあらすじや見どころを解説しました。もちろん今回も濃いキャクターたちを通して書きました。

見どころでも紹介しましたが、ちはやふるには、脇役やエキストラにしておくのがもったいないほどの濃い登場人物が揃っています。

かるたを取る真剣勝負の場面と、笑いを添える脇役やエキストラのバランスが絶妙なのところが、ちはやふるの魅力です。

全国大会の個人戦を通して描かれるそれぞれの想いが、次回以降にどう繋がっていくのか楽しみです。次回はその点に注目して解説していきます。次回以降も是非ご覧ください。

以上、漫画「ちはやふる」が読みたくなる見どころ解説5<全国大会個人戦の優勝者編84首~93首>でした。

ライタープロフィール

川添 勤(かわぞえ つとむ)

1968年生まれ。2010年フォロワー数20万人超えの「ハマコーTwitter」をプロデュース。
当時、日本のTwitterフォロワー数ランキングトップテン入りに貢献する。
2011年、故浜田幸一氏の最後の本となる「YUIGON」(ポプラ社)を監修。ベストセラーとなる。
2014年2月、キッザニア日本の創業者住谷栄之資氏の「キッザニア流!体験のすすめ」監修。
2014年10月には10万部を超えるベストセラーとなったゲッターズ飯田の「運命の変え方」に企画協力。

この記事で紹介した漫画

ちはやふる(16)

全国高校かるた選手権。千早(ちはや)たち瑞沢メンバーは念願の団体優勝を手にしたが、興奮も冷めぬまま翌日の個人戦に突入。千早の幼なじみである新(あらた)やクイーン・詩暢(しのぶ)もついに登場。各階級優勝を目指す千早たちは健闘を誓うものの、前日の団体戦で指を負傷している千早は不安が募る。強豪が勢ぞろいした個人戦の火蓋がいま切られた!!

ちはやふる(17)

ヴェールを脱いだ神の子が動き出す! 高校かるた頂上決戦!! 全国高校かるた選手権。2日目個人戦。A級B級――その決勝戦は同時に、しかし別会場で行われる。千早と同じA級の綿谷新・若宮詩暢戦が大注目を集めるなか、B級の太一も富士崎の山城理音相手に苦戦をしいられる。白熱する戦い。誰もが息を呑む展開。千早が見つめる太一は? そして新の戦いは!?個人戦決勝。クライマックスを迎え、歓喜に涙するのはいったい誰だ――!?

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