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停電の夜に みんなのレビュー

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みんなのレビュー220件

みんなの評価4.0

評価内訳

215 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

停電の国で停電の夜にを読む。

2017/12/26 22:35

9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る

ジュンパ・ラヒリは、コルカタ出身の両親を持つベンガル人だ。
バングラデシュ国にいるからこの小説を選んだ。
主にインドの話だが、バングラデシュの独立に関わる話もあり、
どちらかと言えばベンガル人の話として括ったほうがすっきりする。

日本は国と民族の区域がおおよそ一致しているのでピンとこない
部分があるが、陸続きの国では民族の区域というものが
厳然として存在し、だから独立運動などが起きる一因にも
なるように思う。
もちろん宗教も大きな影響があると思うので単純なものでは
ないが、そんな側面もあるのかと思うと一つ視点が増える気がする。

豆知識だけど、コルカタは昔で言うカルカッタのことである。
カタカナ式発音は、自分流にローマ字読みしたりとか、他の国の
人の言い方を輸入したりとか結構怪しいものが多い。
例えばオーストリアのウイーンを現地ではヴィエナと発音するのは、
私はそちら方面に行くまで全く知らなかった。

コルカタを現地のベンガル人に発音してもらったが、そもそも
日本の音とずれているので表記の揺らぎは仕方なさそうだ。
私の耳には、クルクトゥとコルカタを足して二で割ったぐらいに
聞こえた。

「停電の夜に」は九編からなる短編集だ。
不思議と短編という感じがしない。
一編一編の研ぎ澄まされた鋭さが心に爪あとを残していく、
そんな感じだ。
九編とも舞台や登場人物が違うのに、小説の持つ一つの世界観に
くるまれるとでも評せば良いだろうか。

表題作は和訳では「停電の夜に」、原題では「病気の通訳」で、
実は異なる短編を引用している。出版社の作戦だと思うが、
何もその二作の択一でなくとも存在感のある短編が詰まっている。
和訳の文体でも充分すぱっとした感じがあるので、原文の洗練度は
きっと並大抵のものではないだろう。

著者はロンドン生まれでアメリカ育ちとのことだが、両親の影響で
ベンガル魂を色濃く残していることは想像に難くない。
停電の夜にはインドの経験が下地になければ思いつくはずがない。

少し距離感の芽生えた夫婦が、一時間ずつ五日間の停電の知らせを
受けるところから物語は始まる。停電をどう過ごすかで夫婦の絆が
洗われていく。そして夢のような停電の時間が過ぎると、
厳しい現実にすぱりと切って落とされる。

文中に「通知してくれるだけ親切よね」とある。
アメリカ的発想とは思えない。
バングラデシュ国にいると、輪番停電が予告もなく発生するので、
同じような状況に慣れたセリフである。
インドでも昔は似たような状況であったと聞く。

停電したって毎日のことだから誰も驚かない。
そもそも電気が来ることを当てにしていないから、裕福な家や
高級レストラン、ホテルは自家発を持っているのが当然だ。

この作品は、民族の誇りに根ざしている。中国や、韓国、日本も
多かれ少なかれ同じ心情を持っているように思う。
これはベンガル人の話なのでインド人全体には当てはまらないかも
しれないけれど、外国で自分たちの殻に閉じこもりがちな部分が、
自分の気持ちを書かれているようで何だか他人事とは思えない。

私も停電の夜にベンガル人と話をしてみた。
懐中電灯一つの暗闇の中で、聖人による民へ尽くした奇蹟などを
聞いて不思議な心持ちになった。
電気がついた時、私の場合は日常に戻っただけだが、ベンガル人の
誇り高さを感じた一夜でもあった。この本は同じ香りがする。

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紙の本

日本らしさって、一体何?

2005/06/25 00:14

6人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ツキ カオリ - この投稿者のレビュー一覧を見る

日本ほど、各国の文化に気軽に接することのできる国はないだろう。例えば、「食」という文化について、考えてみる。東京なら特にその傾向が顕著だと思うが、どの街でも、メインストリートを歩くだけで、様々な国の食事を、いとも簡単に味わうことができる。私の職場の街でも、それこそ、インド料理だけでも、大、中、小、合わせて、5つも6つも思い付くくらいある。他の国の料理を思い浮かべても、店の数の差こそあれ、同様の結果となるだろう。

外国に行くと、ここまで簡単にはいかないのではないか。行った国以外の料理を味わうというよりも、むしろ、その国の料理を食べることがメインになるはずだ。

さて、この短編集には9つの短編が含まれているが、設定の違いこそあるものの、そこはかとなく、インドの香りが漂ってくる。チャツネやタンドリーチキン、サモサなどのインド系料理が放つスパイスの香りと共に、サリー、既婚者の女性(?)が髪の分け目に着ける朱色の粉、おでこに押す赤丸、など、ファッションというよりは民族衣装と言ったほうが的確だろう、と思われる記述も、多く見られる。

それら一つ一つが、インドの象徴なので、この短編集には、独特の彩りが加わるのである。

インドの貧しさも目を引いた。

四作目の『本物の門番』の主人公、ブーリー=マーは、あるアパートの、階段の掃除人をやっている。郵便受けの下で雨露をしのがせてもらえるのと引き替えなのだ。
八作目の『ビビ・ハルダーの治療』の主人公、ビビ・ハルダーは、ペンキも塗っていない四階建てのアパートの屋上にある物置にいつも座って、いとこ夫婦がやっている雑貨店の、在庫品の記録を、賃金も貰えないのに、つけている。彼女の見返りは、食事のみなのである。

この短編集を読んで思ったのは、同じように、日本的なものを順に並べれば、日本らしい短編集ができるのだろうか、ということだった。

例えば、食に関しては「和食」を列挙したとして、とはいうものの、そもそも日本では、和食だけを食べている訳ではないのだ。同様に、民族衣装ともいえる着物でさえ、式典など特別な場合にしか今では着なくなっているのだから、その描写をしたところで、かえって、かなり特別なことになってしまうのではないか。
極端な貧しさ、もしくは、豊かさ、などは、日本には、もはやない。

すなわち、日本的なものを拾い上げていくことが、即、日本らしさには繋がらないのではないのか。

三作目の『病気の通訳』に出てくる、ピーナツとトウガラシをまぜあわせたライススナックの味を想像しつつ、そんなことに思いを馳せることになった1册だった。

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紙の本

ノスタルジック&マイルド

2003/04/15 00:09

2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:深爪 - この投稿者のレビュー一覧を見る

どうしても、「どのあたりが『ピュリツァー賞』なんだろう?」って探りながら読んでしまいます。そしてこの本は、できればそういう先入観なしに読みたかったかな、でしょうか。佳作には違いないと思いますけど。

読んでいて自然とノラ・ジョーンズの曲を思い浮かべました。だって共通点が多いのです。同じインド系。高い(高すぎる?)評価=かたや新人ながらピュリツァー賞、かたや新人にしてグラミー賞で8冠! そしてふたりともグッドルッキング(きっと高ポイント)。
その作風にしても、どことなくノスタルジック。冬の陽だまりのような癒し系。

手法としては、特に目新しいものを感じません。いわゆる「ニューヨーカー」誌に掲載されるような「現代アメリカの短編小説」の王道といっていいでしょう。ただ口当たりがとてもマイルドです。支持されるゆえんでしょうか。

シチュエーションとして、インド系の人々のスライス・オブ・ライフが使われていますが、著者にとって小説を書くことは、自身のルーツを掘り下げること、いわゆる自分探しではないように感じられます。単純に小説を書くことが好きな人なんだと思います。

個人的には、ラストの「三度目で最後の大陸」がじーんとくるほどに素晴らしかったです。著者の良心、あるいは可能性のようなものが、ここに集約されている気がしました。「これでいいじゃん」って感じです。

ピュリツァー賞とかは忘れて、マイペースでがんばってほしいものです。

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紙の本

私の中に、また新しい風が吹いた。

2022/10/20 21:46

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:びずん - この投稿者のレビュー一覧を見る

訳された日本語を読んでいるけれど、やっぱり文化が違うと文章の雰囲気が違うように思う。インドは初めて。少しだけ隙間のある夫婦像がとてもリアルだった。きっと夫婦はこの隙間を使いながら生活しているのだと思った。本来は他人同士なのに、ずっと一緒に生活していくなんてすごいことだから。隙間の使い方は様々で、うまくクッションにできる場合と勢いよく踏んづけて割れてしまう風船もある。

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停電の夜に

2020/08/27 20:33

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る

著者がインド系アメリカ人ということで、スパイスの香りが濃厚に漂ってくるようなお話でした。面白かったです。

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紙の本

心の距離

2016/01/23 10:44

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:つよし - この投稿者のレビュー一覧を見る

レイモンド・カーヴァーの短編のような、人生のほろ苦さ、心のヒリヒリするような痛み、孤独、すれ違いを淡々と、かつ鮮やかに描き出している。近づいたり、遠ざかったりする人と人の距離を見事に表現している。インドのベンガル人の生活習俗にようなものもブレンドされていて、味わい深い。著者の人生観に共感する。

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紙の本

淡々としているけれど

2015/02/26 12:36

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夢のあと - この投稿者のレビュー一覧を見る

一見淡々としているように思えるけれど、それぞれの人物の内面がしっかり描かれている。その心情から派生する言動のひとつひとつに、ああリアルだなぁと思ってしまう。
遠い異国での出来事なのに、すぐ傍で見ているようで、とにかく、確かにそこに人々が息づいていたのだ。

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短編小説の愉しみ

2004/01/18 17:46

2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る


 短編小説を読む愉しみのすべてが凝縮されている。(といっても、「短編小説を読む愉しみのすべて」を語れるだけの経験があるわけではないけれど。)なんといっても、文章がきりりと引き締まっていて、人物の陰翳がくっきりと描き分けられている。無駄はないのに、何かしら語り尽くせぬ余剰があり、それが深い余情となって読者の脳髄のなかでひとつ鮮烈な像を結ぶ。幸田露伴は、俳諧とは「異なったもののハルモニイ」だと語った。短編小説を読むということは、たぶんそういうことなんだろうなと思う。(もちろん、俳諧と短編小説とでは文学的感興の種類は違うけれど。)──収められた九編は、いずれも絶品。個人的には「セクシー」が印象に残った。「セクシーって、どういう意味?」「知らない人を好きになること」。少年のこの答えは、ミランダの「素肌の下へしみこむような言葉だった。デヴの言葉もそうだったが、いまは火照るというよりは冷たく麻痺しそうだった」。たった一つの言葉で、不倫の愛の始まりと終わりを語り尽くす。こんな鮮やかな短編は、これまで読んだことがない。

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2004/10/01 01:46

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2004/11/06 18:36

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2004/12/27 03:11

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2005/03/02 17:57

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2005/05/26 22:19

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2005/04/25 20:49

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2005/05/16 01:46

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