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人間の尊厳とは何か?と考えさせられる差別・迫害がモチーフになった本
人類の歴史上さまざまな差別がなされ、迫害された人たちがいます。迫害対象は時代とともに変わり、時には主要モチーフとして、また時には差別される側の台詞として、さまざまな本でその様子は描かれてきました。人間の尊厳とは何か?と考えさせられる、差別や迫害が重要なモチーフとなった古今東西の本を紹介します。
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クオ・ワディス 上
シェンキェーヴィチ(作) , 木村 彰一(訳)
古代ローマ時代を舞台に、暴君ネロに迫害されたキリスト教徒を描いた小説です。ローマ人の青年がキリスト教徒の女性を愛することで、変化しているさまを描いた恋愛物語を主軸に物語は進んでいきます。ネロによるキリスト教徒弾圧や残虐な処刑は、考証を重ねて書かれたもの。信仰や愛について考えさせられる古典的名作です。
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シェイクスピアはこの戯曲を「喜劇」として書きました。舞台となる中世もシェイクスピアが生きた時代も、ユダヤ教徒はキリスト教徒に差別されていたからです。ユダヤ教徒差別の実態を吐き捨てたシャイロックのセリフは当時は笑いものでしかなかったのですが、そこに鋭い人間観察があったため、今日でも名作として語り継がれているのです。
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第二次世界大戦中のナチスによるユダヤ人迫害は、歴史に残る大犯罪です。「ホロコースト」と呼ばれたユダヤ人の大量虐殺。それをシステム化して行ったのが強制収容所です。そこから生還した心理学者である著者が、その体験を心理学的に分析したのが本書です。読後にずっしり重いものが残る、全人類で必読の書です。
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第二次世界大戦を舞台にしたスパイ小説です。主人公は日系アメリカ人で日本に潜入します。真珠湾攻撃の情報を手に入れ打電するストーリーで、アメリカでの日系人差別、戦時下日本での朝鮮人差別、本州人によるアイヌ差別など、差別が何重にも話に織り込まれていて、物語に深みを与えています。特に朝鮮人スパイである金森の独白は圧巻です。
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思想差別と戦うヒロインの成長と恋を描いた小説です。近未来、メディア良化委員会は不適切と判断した創作物を回収し処分していた。思想の自由の最後の砦である図書館は、それに対抗するため武装した図書館隊員で守られています。思想による迫害は現実に起こり得ます。自由を守るためどうすればいいのか?そんなことを考えさせられる一冊です。
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