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意味不明、原因不明の不条理とつき合うために読みたい、不条理文学
「非合理的な出来事に、本質的な原因や意味などない」それが不条理文学の主題です。文学は理解しがたさもあり、得体のしれない不気味さを感じさせるほど。そして、理解不能な状況や、その状況に意味を求める人間の姿は滑稽にも見えます。そんな気味悪さ、滑稽さが感じられると同時に、不条理とつき合う術を示唆してくれる、不条理文学の代表的な本を紹介します。
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19世紀中盤に書かれたドストエフスキーの小説。一般社会と絶縁し、地下室に閉じこもった主人公の独白を通して、理性による社会改革は不可能で、人間は本来、非合理的な存在であることを主張します。人間の行動は本質的に無意味であると提示する本書は、不条理文学の先駆けです。
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1942年、カミュの随筆文学。シーシュポスとは、大岩を山頂に押しあげては落とされるという繰り返しを、刑罰として科せられた人間です。カミュはこの寓話で、人間の主体的な行為は死によって無に帰するのに、なおも生き続ける人間について考察しています。不条理への対応、不条理をを受け入れる手段を探ります。
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嘔吐 新訳
ジャン‐ポール・サルトル(著) , 鈴木 道彦(訳)
1938年、サルトルの小説。絶望した主人公は、周囲のあらゆるものや出来事が、彼の自我や理性、自由を侵食していると確信し吐き気を感じます。実存する物体を、その性質や言葉から切り離し、純粋な存在として向き合うことで、不条理から精神的に解放される主人公を通して実存主義を表現します。不条理文学の対として重要な本です。
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