読めば珈琲を飲みに行きたくなる。ビターな香りに包まれた、珈琲店が舞台の物語

ちょっと見つけにくい場所にあるという、海の側の喫茶店「岬カフェ」が登場する物語。店主の悦子はお客に合わせて音楽をチョイスしてくれます。そんなぜいたくな時間を過ごしてみたい人は、きっと多いはず。登場人物の気分に浸って読み進めることができ、珈琲のぬくもりを感じる連作短編集です。

少しさびれた商店街の、小さな珈琲屋。お酒を飲むときとは違い、1人で過ごすコーヒータイムに人は無口になりがちでしょう。そんな時間に心を開かせてくれる店のマスター・行介は、懐の深い人柄。けれど彼は、心に深い闇を抱えていて・・・。悩める人々の日常が描かれいて、ほろ苦さを感じる短編集です。

和食器と珈琲豆を扱うお店、小蔵屋を営むお草（そう）さんこと杉浦草が謎を解いていく、コージーミステリの短編連作シリーズ。古民家風で珈琲の無料試飲が人気の小蔵屋は、近くにこんなお店がほしいと思える場所。探偵役のお草さんは、控えめだけど芯の通った76歳の女性。そんなお草さんの魅力にもハマります。

「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズ第1作。謎解きが趣味の女性バリスタ・切間美星を探偵役、美星の店「タレーラン」の客・アオヤマを語り手とするミステリー小説です。美星とアオヤマの間で展開される珈琲の話題は、愛飲家なら、より楽しめるもの。美星の個性的なキャラクターは、いかにも探偵らしい味付けでクスリと笑えます。

ファンタジックな要素が強いライトノベルのミステリー。珈琲も提供してくれる古本屋という存在は、読書と珈琲を愛する人間にとっては魅力があり過ぎます。実際に書店員をしている著者が描く店の界隈の描写や本屋さんの雰囲気は、リアリティあり。珈琲店だけでなく、古書店にも立ち寄りたくなる一冊です。