信念をもって生きる登場人物に心惹かれる！初めての本格時代小説

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水戸黄門が生きている江戸初期、家業の碁打ちより算術にのめり込んでいる青年が新たなる暦を求める物語です。ちょっと頼りない若者が、日本中の空を見上げながら一癖も二癖もある才能豊かな人たちにめぐりあい、難題に屈することなく挑んでいきます。奇人変人、さらには天才をも魅了する主人公のまっすぐな心に、読者も引き込まれてしまうでしょう。

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故郷では立身出世の代名詞だった叔父が、実は酒浸りの町医者と知り愕然とする青年医師の立花登。居候として過ごす日々のなか、牢獄の医師として囚人たちと関わっていくうちに数々の事件に巻き込まれてしまいます。武士である前に医師として、刀ではなく柔術で、己の信じる道を真摯に貫いて成長する、ひとりの青年の姿が描かれた連作集です。

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大道芸人たちが暮らす貧乏長屋。砂絵のセンセーを筆頭に、いろいろな特技をもった長屋の住人たちが、江戸で起こる不思議な事件の謎を解き明かしていきます。突拍子もない仕掛けや江戸の粋な風俗のほかに、社会の枠組みから外れたアウトローとして生きる者たちの揺るぎのない信条も感じられ、読むと癖になる魅力にあふれた一冊です。

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吉原一とうたわれながら、突然姿を消した花魁葛城。謎を追跡する1人の男の問いかけに、さまざまな立場の吉原の住民がその花魁の人となりを語ります。彼女の誠の心はどこにあったのか・・・。吉原でしか生きていけない人々の姿によって浮かび上がる吉原そのものの姿と、1人の女性の信念に心を突かれる物語です。

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どうにもならない運命を生き、情愛や絆を育む人々の姿を描く山本周五郎作品のなかでも、この本の登場人物には決して折れない一本の芯が通っています。家ではなく夫を守るために動いた武家の妻の心や、賭け事から始まった恋をまっとうするため身を引く娼妓の笑顔など、揺れ動く感情を律する確かな心が描かれた短編集です。