ブックキュレーター週刊読書人 角南範子
「小さなことば」。ことばに疲れ、ことばになぐさめられたいときに
進む道筋があって、先へ先へといざなわれる物語は心が躍る。けれど、余白にぽつりぽつりと、ことばが染み入る時間を楽しみたいときもある。心に風が吹いたとき、ことばに疲れたとき、もしくは、スキップしたいけれど大人だからちょっと我慢かな、というときなど、詩や短歌、俳句、ことわざ、手紙などなど、「小さなことば」はいかがでしょうか。
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わかるけどわからないなんだろうこれ、と繰り返し読む。読んでいると短歌が無性に作りたくなった。ある日の一人ランチ、その間中、私の頭に浮かぶ言葉は、全て短歌もどきのリズムだった。これは破壊力と、破壊からの創造をもたらす短歌集だ。
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ケストナーの、ユーモラスでワクワク想像的であり、同時に、人生を雄々しく生きる先輩からのエールのような物語が好きで、そんな作家の「詩」もまた心の風邪に効く薬なのだった。<用法>によって、「年齢が悲しくなったら」とか「孤独に耐えられなくなったら」などと詩が処方される。私は「春は前借りで」という詩が好き。
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「小さなアヒルを吹き出す」がラトビアでは「嘘をつくこと」だなんて。イタリアのGood luck!は「オオカミの口の中へ!」、気持ちが上ります。「誰かをその人のスイカからひっぱり出す」(ルーマニア)とか、「郵便配達員のくつ下のように飲みこまれる」(コロンビア)とか文脈がちぐはぐしている感じも面白い。
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25歳と数ヶ月で生涯を終えたキーツ。その最後の4年間余りの間に書かれた膨大な手紙の一部が、本書に収められている。永遠をまなざす詩人が、友人と弟妹を愛し、恋人に情熱を燃やし、夢に破れながらも〈何か真実なもの〉を最期まで世に見ようとした。この本は、短くも魅力ある詩人の人生そのものなのではないか、と思う。
ブックキュレーター
週刊読書人 角南範子書評紙「週刊読書人」(http://www.dokushojin.co.jp/)編集部に勤務。本と活字に囲まれています(文字通り。机を片付けろと言われます)。(本質はインドア派ですが)趣味は旅、俳句、スケッチ、あとビール。(本質がインドア派なので)旅の長時間の飛行機移動で、本を読んだりビールを飲んだり、が至福です。本にまつわるしあわせな記憶は、幼少期に親戚から段ボール4つ分の本が送られて来たこと。好んで読むジャンルは、小説・ノンフィクション。通勤時間が長いので(&ずぼらなので)、鞄の中に気づくと片手でおさまらないほどの本が入っています。でも、本を読まずにボッーとする時間も好きだったりもします。
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