ブックキュレーターhonto書店員 宮本大樹
流行ばかりの小説にドロップキック!独自の世界を構築するポストモダン小説
ご都合主義で展開される物語や娯楽を重視した結末に胃もたれ、胸やけしてませんか?処方薬として独創的な文体とリズムで物語を描くポストモダン小説はいかがでしょうか。自由な創造力と圧倒的な文才で描くストーリは予想不能の矛盾だらけですが、読後は想像力が刺激され不快な症状も改善されるかもしれません。飲みすぎは劇薬になりますのでご注意ください。
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高橋源一郎の長編小説デビュー作にして日本におけるポストモダン文学の最高傑作。お決まりのパターンを完全に無視した物語は全部で三部に分かれ、一つ一つの単独の断片群が複雑に混ざり合い一つの世界を形成します。独特な文脈や言葉は著者ならではの視点で変換され、読み進めると作品が持つ引力に引き込まれる一冊です。
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読み通すのさえ困難な作品で、回り道や逸脱など常識をブチ破る展開のオンパレード。物語は第二次世界大戦末期から終戦直後にかけてのロンドン。なぜか主人公が性行為をした場所にロケットが落下。その謎を解くために旅をしますが、登場人物は300人以上。一見関係ない物語が後々リンクするなど複雑かつ難解な作品です。
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極端な人口減少により滅亡の危機に瀕した人類。全14章からなる物語は、連結するように断片に切り取られたパズルのように、数奇な運命をたどる人類を悲喜劇を通して「生の価値」が描き出されています。ファンタジーのような世界観ですが、思索や哲学、神学などのエッセンスが散りばめられた読み応えのある作品です。
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冒頭から『去年の夏頃の話である。マグロと恋愛する夢を見て悩んでいたある日』など難解なキーワードが次々と不思議な世界観から連発。全3篇ともに著者のストーリーテリングの巧みさは、読み手の想像力を刺激するさまざまな仕掛けや伏線が仕掛けられています。独特の「笙野ワールド」を堪能できる作品です。
ブックキュレーター
honto書店員 宮本大樹リアル書店とhontoで本のマーチャンダイジンザーとして、紙と電子の本の売り場づくりを15年以上従事。日本で店頭に並ぶ前から『ハリー・ポッター』がベストセラーになることを予感し、世界中に広がった現象に感動、本を売る魅力にはまる。現在もhontoでネット書店の売り場づくりにかかわりつつ、リアル書店にも毎日立ち寄る習慣は変わらず。好きなジャンルは小説と文庫。本の中で語られる現実から離れた世界を好み、読書して現実逃避するのが何よりも落ち着く時間。一方で最近は日常生活の各問題も山積みのため実用本を手にとることも多い。少しばかり偏屈な書店員が、売れている売れてない関係なく、赴くままに小説から生活に役立つ本までをご紹介したい。
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