ブックキュレーター作家 古川日出男
時の流れが「絵巻」になってしまっている本
2016年12月に『平家物語』の現代語訳を刊行しました。仕事の依頼を受けてから、完成まで、じつに3年半。この古典の全体像を追いながら、僕が考えていたのは「絵巻なんだよなあ・・・」ということです。で、訳の完成直後から平家の外伝(オリジナル小説)の執筆にかかったのですが、そこでも考えていたのは「絵巻」・・・。この感じは、なんなんでしょうね。
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コレラの時代の愛
G.ガルシア=マルケス(著) , 木村 榮一(訳)
南米コロンビアのノーベル賞作家マルケスの作品でも、これは「絵巻」度がかなり高いです。まず、お年寄りが登場する。で、お年寄りが若者であった時代に、いっきに遡る。遡って、まさに一大恋愛絵巻。・・・うーん、説明になってないですね。でも、ただただ面白いです。
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抱擁、あるいはライスには塩を 上
江國 香織(著)
で、ここまでピックアップしてくると、「絵巻って、けっこう『時間の操作』だなあ・・・」などとも感じます。現代作家で、誰が、そんなふうに大河ドラマをどどーんと時間操作してしまったか?江國さんは家族三世代の物語をここでどどーんとミックスしてしまってます。本当にいい本。
ブックキュレーター
作家 古川日出男1966年福島県生まれ。2002年『アラビアの夜の種族』で日本推理作家協会賞と日本SF大賞、06年『LOVE』で三島賞、15年『女たち三百人の裏切りの書』で野間文芸新人賞と読売文学賞(16年)を受賞。
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