ブックキュレーターhonto編集員
冒頭の一文から引き込まれる小説
どのよう書き出しで始まるか、それは小説において重要な意味をもっています。そこで読者を引きつけることができなければ読み進めるのが苦痛になり、そのまま読了されないことも出てくるでしょう。ここでは数ページと言わず、冒頭の一節、一文だけで読者を強く引き込んでしまう小説を紹介します。もちろん冒頭だけでなく、最後まで魅了されてしまうはずです。
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クロコダイル路地 1
皆川博子(著)
フランス革命時の大ロマンを描いたこの長編は、『竪琴の全音階を奏でるような、秋であった』という壮大な一文から始まります。秋の盛りをこれほど美しく響かせる描写は、ほかにないと言ってもよいかもしれません。1929年生まれの著者によって2016年に出版されたという事実も、この小説の重厚さに合致しています。
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天才工学博士を軸としたミステリーで、舞台は孤島の研究所です。テクノロジーが駆使された衝撃的な「理系」トリックに目を奪われがちですが、その冒頭は『今は夏。彼女はそれを思い出す』という叙情的で「文系」な一文から始まっています。そんな情緒と数学的な謎解きの落差が、読む者を引きつけるのかもしれません。
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架空の後宮をめぐる一大エンターテイメント小説です。後宮に入り正妃の座をねらう主人公の田舎娘を中心とした、「女と女」「女と男」の性と死を司る争いから目が離せなくなります。『腹上死であった、と記載されている』という扇情的な冒頭の一文が、波乱の幕開けを雄弁に物語っています。
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