未来の自分へ贈りたい。人生の支えになる名言に出合える本

いろんな人がいろんな問題を抱えながら日々を送っているなかで、不器用で情けなくて、だけど愛しい想いがそれぞれに絡まり合い、巻き起こる奇跡の連続を描いた連作短編集です。『その瞬間に感じるんじゃなくて、後でね、思い返して、分かるもの。』というように、あなたを待つ大切な言葉とのたくさんの「出会い」は、後々の支えになるはずです。

仕事も人間関係もうまくいかず、決意して山奥の民宿まで行くも、自殺すら失敗してしまう主人公。自殺をあきらめてからは、民宿の主人と大自然の雑なやさしさに癒され充実した日々を送るも、『酔いはいつか醒めてしまう』と気づきます。やさしい物語のなかに出てくるハッとさせられる言葉というのは、なかなか忘れられなくなるものです。

頑固で気が短くて、女の気持ちに疎い噺家と、そんな噺家に話し方指南を頼んだ「弟子」たちの成長の物語です。『自分が大事だと思っているものから逃げると、絶対に後悔する』といった普段は素直に聞けないようなセリフも、愚直とも言えるほどまっすぐすぎる主人公たちのおかげでスッと心に入ってきます。

アニメ化＆映画化もされた競技かるたを題材にした人気コミックです。主役の高校生たちはもちろん、先生や保護者たちも個性と人間味があり、彼らの放つ言葉に涙腺を刺激されるでしょう。11巻で強豪校の顧問がしみじみと『本当に高いプライドは人を地道にさせる』と思うシーンなど、忘れがちだけど大切なことを思い出させてくれます。

とある兄弟とその家族の周りで、さまざまな事件が起こり始めます。理不尽な真実と行き場のない気持ち。この小説の主人公たちにも、現実の私たちにも、悲しくて、腹立たしくて、納得のいかないことは数多く起こります。だけど、『人を救うのは、言葉じゃなくて、美味しい食べ物なんだよね』なんて言葉が、まさしく「救って」くれる気がしてきます。