少女が女性になるまで

思春期特有のもやもやした女の子の思い、そして女性になるまでを丁寧に描いた一冊。あの頃はあんなに悩んでいたことも今になれば大したことなかったりするのに、当時はもやもやしましたよね。読んだ後は、必ずあの頃のもやもやを思い出して、恥ずかしくも懐かしい気持ちになることでしょう。

友達というのは子どもだったころも、大人になっても大事な存在。けれどいいことばかりでなくて、なぜか相手のことが不必要に輝かしく見えて、自分の現状に満足いかなくて、大好きなのに嫉妬してしまう。少女時代の苦しみ、そして大人になるにしたがって苦しみから解放されるまでの姿を描いた一冊。

本作の主人公は両親の愛溢れる家庭だったわけでも、のびのびと成長したというわけでもありません。むしろ不本意なことに満ちた生活でした。けれど、そんな中で彼女を支えた存在はなんと、犬!?理不尽ななかでも成長する女性を描いた一冊。

どこにでもいる女の子が、家族に悩み、好きな人に悩み、進路に悩み、仕事に苦しみもがきながら、幸せになるまでを描いた小説。読んでいるうちに主人公に昔の自分、今の自分を投影して、主人公の成長に涙すること間違いなしです。

この世に完璧な人なんていやしません。みんなどこかにダメな部分があって、そんな自分に辟易しているものです。本作の主人公もダメダメな女の子。けれど、そんなダメダメな自分を肯定できた時、初めて主人公は大人になります。読み終えるころには、きっと自分が好きになる、そんな一冊です。