こんな友達がほしい！ちょっと変わった「親友」や「友情のかたち」

主人公・ラジャーは、少女アマンダが空想で生み出した、彼女にしか見えない親友です。ある日アマンダが恐ろしい出来事で意識を失い、自分がこの世から消えることを知ったラジャーは、彼女と自分を取り戻す冒険に出かけます。物語の語り手が空想の存在というのが面白いところ。世界15か国で愛読されるファンタジーの名作。

小4の加奈子が、都会から山奥へ越して過ごした一年間の物語。加奈子は近所に住むおばあさんのおハルさんが大好き。でもやがて、おハルさんが抱える深い哀しみを知ることになります。まっすぐな心の加奈子と、慈愛に満ちたおハルさんの交流がとても美しく、自然の恵みの中での暮らしもあいまって、爽やかな読後感です。

出版社で働く青年・星太朗と、人格を持ったコアラのぬいぐるみ・ムッシュは、二人暮らしで子どもの頃から大親友。ある日、星太朗が病気で余命宣告を受け、二人は残された日々の過ごし方を考えることに―。物語が、思い出を振り返りながら進んでいくのも切なく、お互いを自分の命より大切な存在と思える二人の絆に涙します。

少女きりこと暮らす誇り高き黒猫・ラムセス2世。ある日自分を「ぶす」であると自覚し、家に引きこもってしまったきりこが、ラムセス2世に支えられ、励まされ、本当の自分を見つけてもう一度外の世界に出るまでの物語です。いつも真っすぐな二人の、ちょっぴりちぐはぐで、お互いへの尊敬に溢れる会話に元気をもらえます。

手紙魔「まみ」が歌人の穂村さん（「ほむほむ」）に手紙を送り、彼女の目に映る世界を穂村さんが短歌にするという、異色の設定の歌集です。二人の境界線はあいまいですが、彼女からのメッセージは無邪気なのに色っぽく、チャーミングで、孤独のにおいもし、読むうちにとりこに。手元に置き、繰り返し読んで味わいたい一冊。