ブックキュレーター歴史社会学者 鈴木洋仁
終わる「平成」、終わらない「歴史」?
「平成」は、まもなく終わります。だからといって、「歴史」は、終わらない・・・のでしょうか?ここであらためて、いつも何気なく使っている「歴史」について考えたい、そんな時に頼りになる本をご紹介します。困ったとき、立ち止まって考えたいときに、本棚から取り出す4冊。そして、その4冊のおかげで書くことのできた拙著を挙げました。
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随想
蓮實 重彦(著)
平成の「徒然草」、と帯に書かれたのは、今から7年前。その時は、まさかこうして「平成」が終わるとは、誰も想像していませんでした。が、本書は、ことによると現在を予想していたかのような、そんな不穏な雰囲気に満ち満ちたエッセイです。
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「徒然草」つながりでの思いつきです。とはいえ、酒井順子さんほど「歴史」にセンシティブな書き手はいません。徒然草の昔から、「昭和」末期のバブルまで、実感として歴史を知っている方です。「負け犬」という流行語も、そんな歴史感覚から生み出された批評に違いありません。
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情念・感情・顔 「コミュニケーション」のメタヒストリー
遠藤 知巳(著)
事件です。本書の出版は事件です。西欧近代を日本語で考えるにあたって、ここまで執念深くできるのか、という見本です。20年がかりで書かれた本ですから、そうやすやすとは読めませんし、私も読了できていません。が、その読書経験こそが、「歴史」の厚みを考えることそのものなのかもしれません。
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「歴史」、といえば、入試の暗記科目・・・と思っていた理科系出身の私。本書は、そんな無知蒙昧にも優しく、しかも、面白おかしく入試を解きながら歴史を解説してくれます。なにせ、著者の片山さんも入試問題に挑戦するのは初体験のため、読者と一緒に説き進めるライブ感も共有できます。
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「元号」と戦後日本
鈴木 洋仁(著)
「平成」や「昭和」、「大正」「明治」といった「元号」は、日本において、どのように作用してきたのか。それは、「戦後」という時代区分と並行していたからこそ有効だったのではないか。そんな仮説に基づいて、戦後日本社会における「歴史」について考察したのが本書です。
ブックキュレーター
歴史社会学者 鈴木洋仁1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送、ドワンゴ、国際交流基金、東京大学を経て現職。専門は、歴史社会学。著書に、 『「元号」と戦後日本』(青土社、2017年)、『「平成」論』(青弓社、2014年)。共著(分担執筆)として、『映像文化の社会学』(長谷正人編著、有斐閣、2016年)、『作田啓一vs.見田宗介』(奥村隆編、弘文堂、2016年)、『21世紀の若者論』(小谷敏編著、世界思想社、2017年)、『海賊史観から見た世界史の再構築』(稲賀繁美編著、思文閣出版、2017年)がある。
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