何から読んだらわからない方へ！はじめてのアガサ・クリスティー

小柄なベルギー人が神業ともいうべき推理を見せる「名探偵ポアロ」シリーズの代表作です。オリエント急行に乗ったポアロはアメリカの富豪が殺される事件に遭遇し、捜査を開始。出身国も職業もさまざまな乗客から聴取した結果、それぞれのアリバイが成立するのですが・・・。読後には、ポアロものすべてを読破したくなっているかもしれません。

イギリスの小さな村に住むミス・マープルは、一見するとおよそ名探偵とはほど遠い小柄で穏やかな老夫人ですが、鋭い人間観察眼を武器に難事件を解決してしまいます。富豪の友人からの遺言で「復讐と正義の執行」を依頼された彼女は、庭園巡りツアーに参加して・・・。マープルの謎解きの見事さのみならず、イギリスの風土や文化も楽しめるシリーズです。

地道な捜査で謎の核心に迫る「バトル警視」シリーズです。スポーツマンのネヴィルとその妻、さらに彼の前妻がある富豪の邸宅で顔を合わせ、客の弁護士や金持ちの老婦人が殺されてしまいます。重要なキーワードである「ゼロ時間」に向かっての畳みかけるような展開から驚きの終章まで、読者をミスリードする筆者の手腕に思わずうなります。

語り手であり探偵役を務めるサタースウェイトは老練の人間観察者。事件の謎解きに行き詰まるとヒントを与え事件解決後に姿を消す謎めいたクィン氏とともに、恋愛がからむ事件を解決していきます。クリスティーが「書きたいときに楽しみながら書いた」という、深い心理描写が魅力的な12のストーリーが連なる短編集です。

孤島という「巨大な密室」に招かれた10人の客が過去に犯した殺人が暴かれた後、ひとり、またひとりと殺されていきます。客を招いたU.N.オーウェン（Unknown＝未知・不明）は、10人の中の誰なのか？探偵不在の本書ですべての謎を明かす手法も見事のひと言で、クリスティーの最高傑作と称されています。