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カフカだけじゃない!奇妙な想像力と暗いユーモアがクセになる中東欧文学
歴史の荒波にもまれ、さまざまな民族や宗教、言語、文化が混じりあう中東欧。この地の文学といえばチェコ出身のカフカが有名ですが、もちろんほかにも魅力的な作家は存在します。ここでは特に不気味なほど奇妙な想像力や、暗いユーモアが味わえる作家の物語を集めました。一度読むと、普通の小説では物足りなくなってしまうかもしれません。
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消去 新装版
トーマス・ベルンハルト(著) , 池田 信雄(訳)
ローマに住む主人公のもとに、ある日、家族の死の報せが届きます。すると、突然始まる家族への罵倒。いわく、「度しがたい馬鹿」「欲の塊」「下品で卑劣」。やがてその対象は、教養と美的感覚を欠如した故郷の村の人々、さらにオーストリアの政治や文化へと広がります。全編続く激烈な憎悪に、ただただ圧倒されます。
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シュルツ全小説
ブルーノ・シュルツ(著) , 工藤 幸雄(訳)
著者独特の不気味な想像力が堪能できる短編集です。なかでも強烈な印象を残すのが、ほぼ全編に登場する主人公「私」の父の奇行。夜中に大声で神と対話する、屋根裏部屋で世界中の鳥を飼い始める、仕事中に怒りで一瞬だけハエに変身する。そんな父をかまうでもなく気まずそうに眺める家族の姿に、独特なユーモアを感じます。
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地球の人口問題についての会議に参加するため、コスタリカのホテルを訪れた泰平ヨン。しかし彼が出会うのは法王暗殺計画者をはじめ、怪しい人間ばかり。やがてホテルの外では反政府集団によるテロが勃発。ドタバタ劇のような展開と登場人物たちが口にする意味不明な言葉に、ヨンと一緒に読者も振り回されてしまいます。
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エウロペアナ 二〇世紀史概説
パトリク・オウジェドニーク(著) , 阿部 賢一(訳) , 篠原 琢(訳)
本書には主人公もストーリーも存在しません。描かれているのは二度の世界大戦、民族虐殺、ブラジャーの発明、共産主義、若さの崇拝、インターネットの登場など、20世紀に起こった事件や出来事だけ。しかし、その淡々と客観的に記された文章から世界の不条理と人間の滑稽な姿が、影絵のように浮かび上がってきます。
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ディブック
S.アン=スキ(著) , 西 成彦(編) , 赤尾 光春(訳) , ヴィトルト・ゴンブローヴィチ(著) , 関口 時正(訳)
戯曲2作を収録した一冊です。恋人に裏切られ、失意で死んだ青年の魂が生者に憑依するアン=スキ「ディブック」。王子が衝動的に婚約した女性の存在によって、王室の面々の卑劣な内面がむきだしになるゴンブローヴィチ「ブルグント公女イヴォナ」。ユダヤ民間伝承をもとにした悲劇とグロテスクな悲喜劇、その独特な世界観に魅了されます。
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