ブックキュレーターhonto編集員
アーシュラ・K・ル=グウィンが織りなす重厚かつ繊細な世界が堪能できる本
人類学や社会学的なアプローチで知られ、「SF界の女王」とも称されたアーシュラ・K・ル=グウィン(1929-2018)。彼女が手掛けた物語は重厚かつ繊細な独特の世界観をもち、多くの読者の心をとらえてきました。SFもファンタジーも空想の物語でありながら、リアルな重みを感じさせるのです。そんな著者の代表的な作品を紹介します。
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両性具有人類の惑星ゲセンに使節として派遣された主人公ゲンリー・アイが、定期的に性が変わるゲセン人特有の異文化と厳しい自然のなかで陥った危機から逃れようと苦闘する様子が描かれた長編です。緻密に構成されたゲセンの文化や歴史、奥深い心理描写などは著者ならでは。読者はあたかも実在する世界を旅するような錯覚を覚えることでしょう。
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舞台は同じ恒星をめぐる二重惑星で、ウラスは自然豊かであり、一方のアナレスは自然環境が厳しく、ウラスでの迫害を逃れて移住した無政府主義者が暮らしています。過去100年で初めて、アナレスの理論物理学者シェヴェックがウラスの大学から招かれ・・・。ウラスとアナレス、それぞれの政治・思想・社会制度を描いた骨太かつ重厚な傑作SFです。
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本書は『オズの魔法使い』や『指輪物語』とともにファンタジーの古典と称されている長編シリーズの第1作です。幼い頃から優れた魔法を使うゲドは、自らの力を超えた呪文で死霊「影」を呼び出してしまいます。その後、「影」から逃げ続けたゲドは逆に「影」を追って向き合います。ジブリ映画の原作にもなった傑作ファンタジーです。
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「ギフト」とは同性の血族に伝えられる超常能力のことであり、主人公オレックのギフトは自分で制御できないほどの破壊する力でした。オレックの力を期待する父との葛藤、母の愛情と死、幼馴染みの少女グライとの友情が描かれます。『ゲド戦記』以来38年ぶりとなる著者のファンタジー・シリーズで、重厚かつ繊細な世界観を満喫できます。
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空飛び猫
アーシュラ・K・ル=グウィン(著) , 村上 春樹(訳) , S.D.シンドラー(絵)
都会生まれの4匹の兄弟猫たちには翼があります。翼のない母猫は、別の世界に飛び立つために翼があるのだと田舎に子猫たちを送り出します。美しいイラスト、村上春樹の「さすが」とうならせる翻訳、あとがき・訳注にいたるまでのすべてがハイレベルなハートウォーミング・ファンタジー。幸せな読後感を残す、何度も読み返したくなる童話です。
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