ブックキュレーター港の人 編集者 井上有紀
南方熊楠の森を歩いてみたいフィールドワーク初心者のためのガイドブック
その名前からして異界からの使者のような雰囲気を放つミナカタクマグス。熊楠の森は、目に見えるものと見えないもの、常識と非常識、そして過去と未来もがうごめく不思議な森。壮大な知の世界を探求し続けた空前絶後の才人、熊楠の多面的な魅力を、とくに知の土台を築いている真っ最中の学生たちにもぜひ知ってほしいと思います。
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他の本では婉曲な言い方をしているような熊楠のアクの強い個性や奇行が容赦なく描かれています。巻末の中沢新一との対談で「熊楠の妖力の凄さを、今、漫画で甦らそうとしているんです」と気炎を上げる怪人・水木しげるの熊楠は、逆にとっても人間くさい。時代背景や熊楠の苦労も伝わってきます。
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熊楠と猫
南方 熊楠(編) , 杉山 和也(編) , 志村 真幸(編) , 岸本 昌也(編) , 伊藤 慎吾(編)
留学先で出会った猫、飼っていた猫、俳句に詠んだ猫、ノートや手紙に書き添えられた猫など、熊楠の生涯のあちこちで姿を見せる猫を拾い集めると、そこに見えてくるのは?比較文化史、日本近代史、日本文学という専門の違う四人の研究者の論考が巧みに織り上げられ、他の本とは少し違う熊楠に出会える好著。
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クマグスの森 南方熊楠の見た宇宙
松居 竜五(著) , ワタリウム美術館(編)
数々のポートレイトはもちろん、ノートや手紙などたくさんの写真で、熊楠の生涯、研究生活、興味や思想が手際よく紹介されていくビジュアルブック。夢や男色、人肉食などについてのノートも興味深い。そして熊楠オリジナルの知の宇宙「南方マンダラ」など、その存在は古びるどころか、ますます新しいものに感じられます。
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南方熊楠菌類図譜
南方 熊楠(著) , 萩原 博光(解説) , ワタリウム美術館(編集)
熊のような風体のポートレイトで熊楠を知った人は、この本の美しく繊細な絵を見たら印象が一変するでしょう。横に書き込まれた英語のメモの字も美しい。ときどき紙に包まれた標本も貼り付けてあり、学術的価値は一級品だと言います。自然が生み出すものの美しさ、その向こうにある何かを熊楠は確かに見ていたのでしょう。
ブックキュレーター
港の人 編集者 井上有紀鎌倉の由比ガ浜にある出版社「港の人」勤務の編集者。手がけた本は、『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』(マーシャ・ブラウン)、『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)、『胞子文学名作選』(田中美穂編)、『世界 ポエマ・ナイヴネ』(チェスワフ・ミウォシュ)、『90度のまなざし』(合田佐和子)など。海を見ながら自転車で通勤する時間が、毎日のいちばんの贅沢です。本棚の隅っこにあるような本もふくめて、一冊一冊大切に紹介します。ホームページhttps://www.minatonohito.jp
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