ブックキュレーターhonto編集員
登場人物なし、ストーリーなし、変な制約あり・・・奇妙すぎる実験的小説
読みながら「おもしろい・・・でも、なんでこんな書き方なの?」という疑問が頭の中をグルグルめぐって止まらなくなるような小説を集めました。登場人物がいなかったり、ストーリーがなかったり、奇妙な制約を設けて書かれていたり。どれも実験的な企みに満ちていながら、どこかチャーミングで堅苦しくなく読めるのも魅力です。
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煙滅
ジョルジュ・ペレック(著) , 塩塚 秀一郎(訳)
原著はフランス人作家による、フランス語でもっとも使用頻度の高い「e」を使わずに書かれたミステリー。それを「き」「ち」など、「い」段にあたる文字(音)を省いて翻訳された日本語版です。謎を残して次々と姿を消してゆく登場人物たち。背景に浮かび上がるある民族消滅の歴史。手法と同様にストーリーも過激で荒唐無稽です。
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あなたまかせのお話
レーモン・クノー(著) , 塩塚 秀一郎(訳)
『三つの元気なお豆さんの話を聞きたいかい?』そんな著者の問いに対する答え(「はい」「いいえ」)によってストーリー展開が変わっていく「あなたまかせのお話」は、元祖ゲームブックともいえる短編小説です。他にも、ほぼ同一内容の2幕で構成される戯曲「通りすがりに」など、どこか人を食ったような短編が並んでいます。
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中二階
ニコルソン・ベイカー(著) , 岸本 佐知子(訳)
ストーリーは単純です。若い男性が、昼休みにビルの中二階にあるオフィスへ戻るためにエスカレーターに乗って降りる、それだけ・・・なのに内容は複雑。靴ひもにまつわる記憶、牛乳パックの注ぎ口のすばらしさなど、わずか数十秒の間に彼の意識に浮かぶ些細な事柄が、本文を凌駕しそうなほど膨大な注釈を用いて語られます。
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これは小説ではない
デイヴィッド・マークソン(著) , 木原 善彦(訳)
著者いわく、『物語なし。登場人物なし』の小説。実際ページには、数々の作家・芸術家たちのエピソードや死因、作品の引用などが並んでいるだけです。ところが読み進めると、あら不思議。無関係に見えたそれぞれの断片がしだいに結びつき、響き合い、まるで通常の小説を読んでいるかのように惹き込まれてゆきます。
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