ホラーで有名な小説家・山田悠介が描く、ちょっと変わった感動物語

ある日、悟は別居中の妻子が事故に巻き込まれたことを知ります。息子だけが奇跡的に助かるも、悟は仕事の邪魔になるとして義理の両親に押しつけようとします。そんな時、亡くなった妻の親友という女性が現れて、悟の生活が変わってゆきます。最後に語られる真実は、涙なくしては読み切ることができないでしょう。

これは名のない少年少女「シシャ」のお話。彼らは人間の寿命を見ることができ、自分の時間を人間に与えることができます。シシャたちは人間と心通わせることなく生きていましたが、偶然出会った人間に名前を付けてもらったことで物語が動き始めます。シシャたちがそれぞれの大切な存在を見つけ、変わっていく姿を描いています。

自殺抑制のための国家プロジェクトでは、多数の子どもの心臓に爆弾を埋め込み監禁していました。その起爆スイッチを持たせ、自殺までの様子を観察するためです。ほとんどの子どもが自殺するなか、7年も生き続けた少年少女は若い看守・南とある計画を試みます。彼らを待ち受ける運命に涙がこぼれるでしょう。命の大切さを伝えた物語です。

天才精子バンクで購入された精子から誕生した兄弟は、母親の期待を一身に背負っていました。ところが背中にシミが現れ成長が止まった弟・麒麟は母親と兄に見捨てられます。それでも前を向き続ける麒麟。人の汚い部分を凝縮したような母親と純粋な麒麟を対比し、優生思想を痛烈に批判した小説です。

舞台は近未来の日本。東と西が巨大な壁により分断され、恋人同士が引き裂かれてしまいます。博文は彼女と再会するため徴兵制を利用して、ひどい階級制の敷かれる西日本に潜入します。奇想天外な設定のなかに、人情味を感じさせる登場人物が読み手を魅了していきます。自分ならどうするか？と、ぜひ考えながら読んでみてください。