ブックキュレーター作家 篠たまき
人の世に混じり棲んだ「異形」の、密やかな生き様に触れてみたい方に
世の中には、人に紛れて人外の生き物がひっそりと棲息しているのかも知れません。人の側に見え隠れする異形の生き物、あるいは人の形をしていながら変種の精神を持つ者。彼らの不気味さに触れると同時に、生物としてのしたたかさや、異形ゆえの哀しさを感じてみたい方におすすめの本を取り上げてみました。
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児童虐待はなぜ起こるのでしょうか?器質的に虐待せざるを得ない人々が存在し、彼らが人類の存続における必然だったら?動物行動学に裏づけられたモチーフは恐ろしくてスリリング。圧倒的な「かわいらしさ」に怖気を纏わせた本作はホラーとしてもSFとしてもずっしりとした読み応えを与えてくれます。
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若い頃のお釈迦様が大きな樹を登って行くと、そこには化け物の国がありました。お釈迦様たちを襲い、生きたまま人を喰う者どもの姿は異様で、生態はうなされるほどに奇怪です。彼らの中に異形の悲しさを感じ、人と化け物の境目について考え始めると、抜けられない別の悪夢にはまり込んでしまうのです。
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主人公の姿は人、職業は医者、社会的には常識人。けれども彼の精神は人肉食を好む異形でしかないのです。犯罪者の目線で滔々と語られる快楽殺人は耽美的でエロティック。純粋にグロテシズムに陶酔させてくれると同時に、人に課せられたタブーとは何なのかを考えさせる一作でもあるのです。
ブックキュレーター
作家 篠たまき作家。秋田県出身。2015年『やみ窓』で第十回「幽」文学賞短編部門大賞を受賞。著書に『人喰観音』(早川書房)がある。
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