共感・嫉妬・羨望・失望・・・さまざまな感情が渦巻く女同士の物語

幼なじみ同士のロス紀行「ランドセル」、大家と借主の触れ合いを描いた「灰皿」、恋人の娘を預かった1日の様子を描いた「木蓮」、対人関係に傷ついた女が旅先で出会った不思議な女と交流する「影」、一緒に暮らす雌猫たちの日々「しずく」、可愛い母と可愛げのない娘の物語「シャワーキャップ」。女ふたりの6つ物語を収録した短編集です。

ボロアパートで同居するふたりの女の物語です。自分の臭さと手記の書けなさはゴミ処理場から出るダイオキシンのせいだという23歳処女・日田。そんな彼女を見て『あの子の考えることは変』と思っている巡谷は、おっぱい至上主義を豪語し、時々神経が剥き出しになってしまいます。ふたりの強烈なガールズトークに笑わずにはいられません。

既婚／未婚、子持ち／子なし、専業主婦／社長、あらゆる面で真逆の立場にいる上、性格も真逆のふたりの女性の人生がある1点で交わります。芽生えた友情、そしてわかり合えなさがもたらす亀裂。『ひとりぼっち恐怖症』の女性に前に進む勇気を与えてくれる物語です。

物語の主人公である商社で働くキャリアウーマンと主婦ブロガーのふたりには、同性の友だちがいません。そんなふたりが意気投合して憧れの女子会をするとき、どちらが凶暴な「ナイルパーチ」になるのでしょう。人との距離感や友情について考えさせられるお話です。

無駄なものにこそ価値があると考える雪子ちゃんと、無駄なことを次々と切り捨ててく薫ちゃん。小学生から社会に出るまで親友として互いになんでも話し、共有してきたつもりでしたが、すれ違う価値観がふたりに決定的な摩擦をもたらします。その「ままならなさ」に胸が苦しくなるでしょう。そんな表題作のほか1編を収録した一冊です。