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犯罪者にして作家、男娼にして政治運動家。ジャン・ジュネの軌跡を知る本
私生児として生まれ、早くから泥棒や売淫に手を染め、獄中で詩人・小説家として出発したジャン・ジュネ(1910-1986)。悪や犯罪を礼賛する過激な作風で知られていますが、後年は黒人や難民の解放闘争に同伴するなど、その活動はつねに社会の偏見や疎外に対して闘う人々への愛と共感に貫かれていました。そんな彼の軌跡を知ることができる本を紹介します。
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泥棒日記 改版
ジャン・ジュネ(著) , 朝吹 三吉(訳)
監獄から脱走し、盗みや物乞い、売淫をしながらヨーロッパ中を放浪する語り手の「私」。その「私」が各地で出会う、片手の男や元・ナチス親衛隊員ら、一切良心の呵責なしに罪を犯し、仲間を売るやくざ者たち。極悪非道で粗暴、社会の最底辺で生きる彼らを、美しく崇高な存在として描く言葉の力に圧倒されるでしょう。
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薔薇の奇跡
ジュネ(著) , 宇野 邦一(訳)
ジュネ自身が少・青年期を過ごした少年院と刑務所を舞台とした小説です。語り手の「僕」によって薔薇の美しさにたとえられる若く荒々しい囚人たち。そんな彼らとの、看守の目を盗んで階段の影でかさねる情交。社会から隔絶された場所で、短くも危険な生を生きた男たちと過ごした日々が詩的かつ幻想的に描かれています。
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シャティーラの四時間
ジャン・ジュネ(著) , 鵜飼 哲(訳) , 梅木 達郎(訳)
1982年9月、レバノンの難民キャンプで起きたパレスチナ人集団虐殺。その翌日に現場を訪れた際のルポルタージュが収められています。街中に遺棄されたままの死体を克明に描写しながら、かつてともに過ごした日々を想起するジュネ。彼らを失った絶望と怒りが、一歩一歩深淵を越えるような張りつめた文章で綴られています。
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アルベルト・ジャコメッティのアトリエ
ジャン・ジュネ(著) , 鵜飼 哲(編訳)
3編の芸術論のほか、演劇論、綱渡り芸人の友人に捧げたエッセイ、あまりの過激さから放送を拒否されたラジオ番組の原稿を収録。「芸術は死者に捧げるものである」という特異な芸術観、犯罪者の更生を支援する人々に「彼らはあなたたちの善意など求めていない」と語る挑発的姿勢。ジュネのエッセンスが凝縮された一冊です。
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ジャン・ジュネ詩集 改訂版
ジャン・ジュネ(著) , 中島 登(訳)
刑務所生活をともにした20歳の死刑囚に捧げた「死刑囚」をはじめ、6編の詩が収められた詩集です。目に飛び込んでくるのは、ポケットに隠した宝石、ワルツを踊るペニス、断頭台からほとばしる薔薇の花といった、罪と死と男色のめくるめくイメージ。危険で倒錯的な生き方への讃歌が全編にわたって響きわたっています。
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