不器用な友愛に普遍的な魅力がある。男性コンビが主人公の友愛小説

騎士道物語を読みすぎたばかりに自分を騎士だと思い込んでしまったドン・キホーテと、その従士サンチョ・パンサのあまりに有名な物語です。半ば気が狂っている主人をそれと知りながら狡猾に利用する一方で、次々と騒動を起こす主人にどこまでも付き従うその一見不可解な友愛が、読み進むうちにじわりじわりと効いてきます。

たいてい一度は教科書で部分的に通過する本作ですが、「先生と私」「Kと先生」という二つの友情に注目して読むこともできます。とりわけ後者の悲劇的な友情とそれが引き起こす事件は、まるで優れたBL小説のよう。その筋で本書を読み通してみてください。先生の謎の自殺も、妙に腑に落ちるところがあります。

シャーロック・ホームズのシリーズ第1作。ホームズとワトソンの出会いと友情の始まりが描かれています。どこか死のにおいが漂う天才探偵ホームズと、ちょっと間が抜けて楽天的なワトソン博士という絶妙の凸凹コンビはここから始まります。シリーズを一通り読んだ上でもう一度本書に戻ってみると、味わう感慨もまたひとしおです。

なんと、伊坂幸太郎と阿部和重の共著による豪華エンターテインメント小説です。長じて映画館で再会した中学の悪友たち。いずれもいくらかうらぶれた大人になっています。いつの間にか2人は世界の存亡を揺るがしかねない事件に巻き込まれ・・・。めくるめく展開のアクション映画を観ているかのような、息を呑む逃亡劇です。

生後コインロッカーに置き去りにされた、キクとハシという少年。境遇を同じくする双子のような関係で、悲しい友愛が2人を繋ぎ止めています。ある日、ハシは母を探すために養父母の家から姿を消します。あとを追って東京へ向かうキク。彼はやがて世界を破壊したいという欲望に囚われるのですが、その容赦ない破滅の描写が圧巻です。