日本ミステリーの源流がここに！今なお輝くクラシックミステリーの世界

日本の探偵小説業界に多大な影響を与えた江戸川乱歩の初期代表作を集めた短編集です。複雑な暗号表を駆使したトリックで、鮮やかなデビューを遂げた『二銭銅貨』や、怪奇風のトーンがにじみ出た恐怖小説ともいえる『芋虫』や『鏡地獄』など、バラエティ豊かな作品が収められた乱歩ワールドを存分に堪能できる一冊です。

日本のミステリー界で忘れてはならないのが横溝正史です。1970年代には映画化もされて一大ブームを巻き起こしました。横溝といえば『八つ墓村』や『犬神家の一族』が広く知られていますが、小説の完成度の高さでは『獄門島』も負けていません。怪しい人物たちがうごめく、怪奇風の小説世界を満喫してください。

本書は、東京のオフィス街に停車した車内から遺体が発見されることから事件が展開する怪奇探偵小説。著者の甲賀三郎は戦前に活躍した人気探偵小説作家です。彼は謎とトリックにこそ探偵小説の神髄があるとした「本格派」の作風で知られています。横溝正史を思わせる小説の世界観が印象的な一冊です。

本書は、1930年代に発表された犯人のアリバイ崩しが主眼に置かれた探偵小説です。著者の森下雨村は『新青年』の初代編集長を務めた「日本探偵小説の父」とも評される人物。スリリングで小気味いいストーリー展開は、戦前に執筆された小説とは思えないほど、今の時代でも十分に楽しめます。

生前に江戸川乱歩との交流があったことで知られる小酒井不木。乱歩の『二銭銅貨』の推薦文を書いたことでも知られる人物です。本書は、会社経営者が生前葬を執り行うさなかに事件が起こります。生前葬というユニークな題材を作品に盛り込み、最後には思いもよらぬ犯人が明らかになる、推理小説の傑作です。