ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
センス・オブ・ワンダー~夏に読みたい「自然」を描いた絵本
都会の中でもちょっと目を凝らせば、また耳をすませば、身の周りに確かに息づいている自然の営みを感じ取ることができます。そこに必要なのは、一見すると見にくい自然の営みをしっかりと感じ取り、その美しさに目を見張る感性―センス・オブ・ワンダー―を養うこと。その一助になるであろう、夏に読むのにうってつけの5冊の絵本を紹介します。
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すばらしいとき
ロバート・マックロスキー(ぶんとえ) , わたなべ しげお(やく)
原題は『Time of Wonder』。作者自身も暮らしていた、メイン州のペノブスコット湾にある小島の豊かな自然と、そこでひと夏を過ごす一家の姿が描かれます。様々な表情を見せる自然の、あくまで抑制のきいた描写が五感を刺激し、この絵本を開く時間そのものがまさに「すばらしいとき」になることでしょう。
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かわせみのマルタン
リダ・フォシェ(文) , フェードル・ロジャンコフスキー(絵) , いしい ももこ(訳編)
森の静かな川のほとりに住む、一羽のカワセミ。そのくらしや結婚、子育て、死を追いつつ、川岸の生き物たちの生態描写を織り交ぜながら、時をこえて受け継がれる生命の営みを詩情豊かに描き出します。正確な自然観察に基づき、生命の美しさを静かに語る絵本。たっぷりと時間をとって読むのがおすすめ。
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よあけ
ユリー・シュルヴィッツ(作・画) , 瀬田 貞二(訳)
夜明け前の湖畔。徐々に靄が立ち始め、カエルの飛び込む音や鳥の鳴き声が聞こえてきます。湖畔で眠っていた老人は孫を起こし、ボートで湖へと漕ぎ出します。するとあたりに光が満ちていき・・・。自然の美しさと神秘、移りゆく時間の流れを見事に表現したロングセラー絵本。唐の詩人、柳宗元による漢詩『漁翁』がモチーフ。
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わたしとあそんで
マリー・ホール・エッツ(ぶん え) , よだ じゅんいち(やく)
朝露が光る野原。「わたし」はバッタに「あそびましょ」と声をかけますが、バッタは逃げてしまいます。その後カエル、カメ、リスなどにも逃げられ、わたしは仕方なく池のそばに腰を下ろします。するとだんだん動物たちが集まってきて・・・。子どもと自然の交感を描いた、「ぞっとするほどの美しさ」を感じさせる絵本。
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おじいちゃんは水のにおいがした
今森 光彦(著)
琵琶湖沿岸で60年以上にわたって漁師をしている、田中三五郎さんの日々をとらえた写真絵本。毎日の生活に必要なだけの魚をとり、湧水を飲み、野菜や果物を冷やす。自然とともに生きる里山での生活を伝える写真絵本。本書の映像版であるNHKスペシャル『映像詩 里山~命めぐる水辺』は各国で数々の賞を受賞しました。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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