ブックキュレーター哲学読書室
信仰について考える。ベルクソンとドゥルーズと共に
信仰と聞くと、どうしても普段の暮らしぶりとはかけ離れたものを想ってしまう。けれど人は、何かや誰かを信じることで、なんとか日々を生きている。この〈信〉にはしかし、はるか信仰の問題にまで通じる萌が含まれてはいないだろうか。今一度「信仰」について考えてみるための本を紹介します。【選者:築地正明(つきじ・まさあき:1981-:批評家)】
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道徳と宗教の二つの源泉
アンリ・ベルクソン(著) , 合田 正人(訳) , 小野 浩太郎(訳)
哲学者ベルクソンの最後の主著。この本の中で著者は、後に「文学」と呼ばれる創作が、人間社会に発生したその本質的な理由と役割を、解き明かすことを試みている。人類史の中に出現した様々な宗教を比較研究し、世界と人間の創造的な意義を見つめ、それを未来のために信じようとする、深いまなざしがそこにはある。
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神秘の人びと
古井 由吉(著)
主に中世ヨーロッパのキリスト教徒たちの神秘体験の記録を、著者が丁寧に訳しつつ紹介した本。だがいわゆる研究書とは違い、この作家ならではの濃厚な文学を体験できるものとなっている。最後は中世ペルシャの詩人(イスラム教)が紹介されているが、眩暈のするような時間の中に読者は拐われていくことになる。
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シネマ 2 時間イメージ
ジル・ドゥルーズ(著) , 宇野 邦一(訳) , 石原 陽一郎(訳) , 江澤 健一郎(訳) , 大原 理志(訳) , 岡村 民夫(訳)
哲学者が映画について纏まった本を書くなど、ドゥルーズ以前にはまずなかった。そんななか、著者は心血を注いで二巻にわたる『シネマ』を完成させた。この第二巻は、もちろん映画についての研究書だが、実はそれ以上に、ドゥルーズが「信仰」を巡って真っ向から書いた、ほとんど唯一の著作でもある。ぜひお勧めします。
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わたしたちがこの世界を信じる理由 『シネマ』からのドゥルーズ入門
築地 正明(著)
映画など娯楽や趣味の類でしかない。こうした世の通念から逃れることは、そんなに易しくない。だがドゥルーズは『シネマ』の中で、映画にはこの世界と人間の絆を映し出す力がある、だからこそ映画は、この世界への〈信〉を撮影しなければならないと語った。私は胸を打たれた。だからこの「信仰」の問題を巡って、全力で本書を書いた。
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哲学読書室知の更新へと向かう終わりなき対話のための、人文書編集者と若手研究者の連携による開放アカウント。コーディネーターは小林浩(月曜社取締役)が務めます。アイコンはエティエンヌ・ルイ・ブレ(1728-1799)による有名な「ニュートン記念堂」より。
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