読めば感性が磨かれる!?画家が登場するアートの魅力が詰まった小説

恋をすることを遠ざけて生きてきた32歳独身の夏目。しかし彼女は、ある男性の絵を見た瞬間にすべてを持っていかれてしまいます。とめどなくあふれる想いに自分を見失いそうになる夏目と、対照的につかみどころのない画家の間島。その描写がなんとももどかしく、それでいて儚い美しさに満ちた恋愛小説です。

やさしく美しい妻、安定した名誉ある仕事、そんなすべてを突然投げ捨て行方をくらませたストリックランド。40歳を過ぎた彼が人生をかけて情熱を注いだのは「絵を描くこと」でした。天才画家ポール・ゴーギャンをモデルに描かれた、ひとりの非凡な男が放つ情熱と狂気に身震いさえする一冊です。

モネ、セザンヌ、ドガらが、現在も傑作として讃えられている数々の有名絵画を描いた時の、画家当人の心の機微を描いた一冊です。傑作を生み出した時、どんな状況だったのか？生前の日常生活を覗いているかのような気持ちで読むことができます。読後、巻末に収録されている見知った絵画が、今までとは違ったように見えるはずです。

2017年にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロによる長編小説です。戦時中の時流をとらえ、日本的な精神を鼓舞する絵を生み出し続けていた画家の小野。しかし、終戦を迎えて時代は変わり、国民の思想も大きく変わります。その変化に揺られ、自身の価値観を自問しながら生きる姿に色んなことを考えさせられる小説です。

北斎の娘として生まれた女絵師の生涯を描いた小説です。『筆さえ握ればどこでだって生きていける』と絵に情熱を傾けるお栄。その日々の暮らしや感情が事細かに描かれていて、その世界観に引きずり込まれることでしょう。随所に見られる色彩表現は、まるで絵巻物を見ているかのような気持ちにさせてくれます。