ドラマはバスで起こっている!?エピソード豊富なバス小説

路線バスを舞台にしたトラベルミステリーです。定年退職した元刑事が新たな趣味としたのは、シルバーパスによる東京散策。かつて捜査で訪れた場所をたどりながら、日常の不思議な出来事や、過去の未解決事件を解き明かします。バスの経路や位置関係が細かく説明されていて、気ままな小旅行に出てみたくなるでしょう。

失恋した者が集う異色のバスツアーをめぐる、ハートフルな物語です。経営危機の旅行会社に勤める添乗員の天草龍太郎は、同乗するカウンセラーの元カノとぎこちないまま、個性的な参加者をとりまとめ、アクシデントにも奮闘します。バスツアーというささやかな非日常を共有する人々が影響し合い、読後には前向きな気分になれる一冊です。

地方都市を巡回する移動図書館を舞台とした、「日常の謎」を描いた連作短編集です。還暦を過ぎて再就職した新人運転手と若き女性司書のユニークなコンビが、行く先々の住人たちと触れ合い、本にまつわるちょっとした謎を解いていきます。ほのぼのとしたタッチで描かれる街の風景がやさしく、読後は和やかな気持ちになれます。

被災地で援助活動に従事する、ボランティアバスを題材とした連作小説です。主催者や参加者たちの背景と想いが交錯し、一つのストーリーとしてまとまる構成が見事。「恩送り」という概念のもと、どんな出来事も出逢いも、命も祈りも、輪廻の環となって繋がっていきます。そんな実感と感動に浸れる一冊です。

東京の観光スポットを案内するバスガイド視点で描かれた、ユーモアあふれるお仕事小説です。わがままな乗客に振り回され、先輩に説教され、後輩になめられつつもガッツで乗り切る高松秀子が、同僚とともに少しずつ会社に変革をもたらしていきます。働く女子へのエールも込めた、熱い青春小説でもあります。