ブックキュレーター東京書籍株式会社編集制作部 山本浩史
「くすり」と「依存症」について考える
有名人の薬物逮捕が相次いで、過熱する報道についても問題となってもいる昨今。しかし、酒や煙草は言うまでもなく、我々の日常では風邪をひいたと言ってはすぐに風邪薬を飲み、どこかが痛めば鎮痛剤を、眠れなければ睡眠導入剤を、血圧がちょっと高ければ血圧の薬、と、安易に「くすり」に頼りすぎてはいないだろうか。そこで今回は「くすり」と「依存症」について考えさせられる一冊を紹介したい。
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アル中地獄 アルコール依存症の不思議なデフォルメ世界 増補
邦山 照彦(著)
入院36回で「自称・史上最多記録」のアルコール依存症の当事者の著者が語る、依存症の体験記。当事者ならではの依存症そのもののや、離脱症状の描写は鬼気迫るものがあり、依存症というものを知るための克明で具体的かつ実用的な記録ともなっている。依存症を知るための秀逸なノンフィクションとしても読める作品。
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『失踪日記』の吾妻ひでお先生による、『失踪日記』の後にアルコール依存症で担ぎ込まれることになる通称「アル中病棟」の日々の描写。辛い現実のはずなのに、ギャグマンガならではのほのぼのとした視点で読んでいて全く辛くならない。しかし、依存症を知るには入門書としても最適な作品ではないか。
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元NHKアナウンサーの著者が、そもそもなんで薬物に手を出したのか、依存するようになったのかなどを事細かに記したもの。薬物事件を起こした元NHKアナウンサーの著者の事件は、過去に大々的に報道されたので記憶にある方もいるかもしれないが、依存、そして薬物報道のあり方について、きわめて深く考えさせられる一冊である。
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古来から使われてきた身近な「くすり」は生薬であり、漢方である。漢方では「くすり」を、体を丈夫にして長期に投与しても害がないものを「上品(じょうぼん)」、毒性は弱いが作用はやや強いものを「中品(ちゅうぼん)」、激しい作用があって長く用いるべきではないものを「下品(げぼん)」の3つに分けて考えたという。その考え方からすると、現代人が安易に飲んでいる薬はすべて「下品」ということになる。本来の「くすり」とは何かを考えさせられる。
ブックキュレーター
東京書籍株式会社編集制作部 山本浩史東京都北区にある創業110年の出版社・東京書籍で単行本を編集しています。おもに料理など実用、文房具・自転車などの趣味、働き方・暮らし方などの社会一般のジャンルを担当しています。ももクロはピンクを、エビ中はりななんを、ukkaはりじゅちゃんと空ちゃんを推しています。http://www.tokyo-shoseki.co.jp/books/
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