ブックキュレーター文化人類学者 松村圭一郎
大地に足をふんばり、感じ、学び、考える
古今東西の哲学者の思考だけが考えるための教科書ではない。考えるヒントは、すぐ身近な場所にある。時代の「いま」を注意深く見つめ、地に足をつけ、身の回りの出来事に感覚を研ぎ澄ませながら、腹の底から思考する。そんな感性と知性にあふれる本にふれると、読者もいつしか哲学する身体へと変容していくはずだ。
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モヤモヤの正体 迷惑とワガママの呪いを解く
尹 雄大(著)
「迷惑をかけてはいけない」「やればできる」「協調性が大事」「でも個性も大切」・・・。世の中にあふれるいろんな言葉に、もやもやする。その違和感に目を向け、丁寧にときほぐしてくれる本。難解な学説はひとつも出てこない。でもそのやさしい語り口の底に、粘り強い思考と時代の空気をとらえる鋭い感性が光る。
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偶然の装丁家
矢萩 多聞(著)
学校の授業をまじめに受けて、いい成績をおさめ、いい大学や会社に入る。そんな「あたりまえ」とされる道をはずれるのは、怖い。でもこの本を読めば、その外側にほがらかに働き、豊かに生きる可能性が広がっていることに気づかされる。日本社会の息苦しさに押しつぶされそうなとき、その殻を軽やかに打ち破ってくれる一冊。
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ふと手にとった詩集、心に残る歌、政治家の発言・・・。さまざまな言葉に向き合い、自分なりの「ことば」を練りあげる思考の軌跡がつづられる。本を読んだり、映画を観たり、親の介護をしたり。そんな毎日を送るなかに考えるヒントがある。言葉のわからなさ、伝わらなさを見つめ、身体を通して考える姿勢に胸を打たれる。
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立ち止まって学び、考える最良の道具箱は、やっぱり本だ。そう実感させられる。世界中で、いろんな出来事や思いや考えが、本につづられてきた。そのどれもが、ちっぽけな視野を一変させてくれる。本がどうつくられ、そこにどんなエピソードがあったのか。本が自由に読める時代に生まれたことに心から感謝したくなる一冊。
ブックキュレーター
文化人類学者 松村圭一郎1975年生まれ。岡山大学文学部准教授。専攻は、文化人類学。エチオピアの農村や中東の都市でフィールドワークを続け、富の所有と分配、貧困や開発援助、海外出稼ぎなどについて研究している。著書に、『所有と分配の人類学』(世界思想社)、『文化人類学 ブックガイドシリーズ基本の30冊』(人文書院)、『うしろめたさの人類学』(ミシマ社、第72回毎日出版文化賞〈特別賞〉受賞)、『これからの大学』(春秋社)、編著に『文化人類学の思考法』(世界思想社、共編)がある。
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