先人たちから思考法を学ぶ！人生の苦難を希望に変えるための術をまとめた本

フランス文学者であり、池澤夏樹の父として知られる福永武彦。本書は、世に生まれ落ちたときから人間に宿命づけられる「孤独」という問題を、愛と関連づけて説き起こす哲学エッセイです。人間は孤独だからこそ愛を求めることが、硬質で詩的な美しい文体によって強調されています。若い方にこそ読んでほしい一冊です。

19世紀に発表された宗教色の強い哲学書です。しかし、絶望の考察は現代でも目を見張るものがあります。著者によると、個々の人間は神と自己との関係に置かれた存在であり、その関係に置かれた人間が絶望することは罪であると説いています。「絶望」という負のワードを、真理を導くために用いた思考法が非常に印象的です。

昭和30年代に発表された、人生の諸問題にまつわるエッセイ集です。本書の特徴は「人間はそれぞれが不平等である」という認識のもとに話を展開しているところにあります。特に「美醜について」の章では、人間は他の人々との差異のなかで生きるしかないと書き切っています。耳ざわりの良い幸福論に飽きた方にオススメです。

無頼派作家である坂口安吾の評論集。注目すべきは、敗戦後の混迷する日本社会に希望を与えた「堕落論」です。著者によると、人間が道を踏み外し堕落するのは、社会や時代に左右されない人間の本質であり、生きているからこそであるというのです。人間の本質をめぐって鋭い考察を続けた著者らしい主張が記されています。

芥川賞作家の平野啓一郎が新しい人間観を提示している新書です。著者は「本当の私」という従来の考え方に異を唱え、新たに「分人」という概念を提唱します。人間の内には自己同一的な「私」は存在せず、状況に応じて多様な人間が同居しているというのです。職場や友人といった人間関係などに悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。