昭和を代表する国民的日本画家・東山魁夷の世界に触れることができる本

東山絵画の代表的なモチーフの一つである「白い馬」を題材にした、絵本仕立ての画集です。幻想的な名画の数々をともに追いながら、いわさきちひろの長男・松本猛が綴る、謎めいた旅路の物語に同行してみましょう。絵画に関する知識がなくとも、眺めているだけで世界観に浸れる、大人のための絵本です。

東山魁夷の随想録と講演会の記録をまとめた随筆集です。次第に失われゆく日本の美しい風景を追い続けた著者の精神的遍歴と、その芸術観が語られています。東山が作品に込めた祈りにも似た自然讃美と、日本特有の美の神髄。作品同様、詩的で繊細な文章表現に唸らされます。

日本画において、青は伝統的な色彩の一つです。この本は「青の画家」という異名で呼ばれるほど青色の表現にこだわった東山魁夷の、青の風景画を集めた画文集。深い色合いの中に透き通るような奥行きのある、神秘的な青の世界。「東山ブルー」が放つ、独特の美しさを堪能してください。

東山魁夷のもう一つの故郷と言われる、ドイツ・オーストリアの風景画を収録した小画集です。文庫サイズとあなどるなかれ。かの地方の古風な街並みや、森と湖の静寂など、東山がとらえたヨーロッパの情景の抒情的で柔らかな雰囲気に包み込まれます。彼自身の随想も添えられていて、その世界観に改めて感じ入ります。

作家兼キュレーターとして活躍する、原田マハによるアート小説短編集です。東山を含め古今東西20人の芸術家たちに時空を超えてインタビューを試みる、ファンタジックな構成となっています。信州の森の湖で、著者が出逢った東山魁夷の「ともし火のような微笑」に、巨匠と呼ばれた故人のやさしい人柄が偲ばれます。