ブックキュレーター花まる学習会 平沼純
物語が生まれる場所・・・街
「街を歩きながら、物語のなかを歩いている」とは、長田弘氏の詩『少女と指』に出てくる言葉です。街を歩くことは、言いかえればその街の記憶を辿る旅。その場所のかつての姿やそこにいた名もなき人々の思いを想像することで、魅力的な物語が次々と立ち現れてきます。主に小学校高学年以上向けの、「街」を印象的に描いた5冊を選びました。
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地理歴史部、通称「チレキ」に所属する健吾は、熱血の新顧問のもと、ひょんなことから「100年前の渋谷」を再現するジオラマ作成に乗りだすことに。「100年に一度」の再開発真っただ中である渋谷を舞台に、街の知られざる歴史、そこに住んでいた人々の記憶や思いをたどる主人公たちの姿が爽やかに描かれます。
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街角には物語が…
高楼方子(著) , 出久根育(イラスト)
ヨーロッパの旧市街を思わせる、とある町が舞台。美しい石畳の通りのあるその町に住む、別々の人たちの視点から8つの物語が描かれます。おかしい話やミステリアスな話、心温まる話―。自分の住む町でも素敵な物語が日々生まれていると思えてくる、不思議な短編集。プラハ在住の画家による、異国情緒あふれる鉛筆画も魅力。
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まつりちゃん
岩瀬 成子(作)
コンビニ、公園、商店街・・・。街の至るところで出会う不思議な女の子。やがて明らかになるその少女「まつりちゃん」の境遇と、彼女に出会った人たちの心情が、短編形式で印象的に描かれます。児童文学研究者の清水真砂子氏が、「過酷な現実を描きながらも《ただそのまま在る》ことの美しさを表現した」と絶賛する一冊。
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中学二年生の空良(そら)は、帰宅途中にふと新大久保駅で降りたことからさまざまな国籍の人たちと知り合うことに。やがてその街に暮らすクラスメートの翔(かける)とともに、自分自身の生き方と向き合います。章ごとに空良と翔の二人の視点から描かれる物語。ヘイトスピーチや外国人差別なども真正面から描いた作品。
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トーキョー・クロスロード
濱野 京子(著)
高校生の栞は、ダーツで当たった山手線の駅で降り、当てもなく歩き回ることを密かな楽しみとしていました。目白、五反田、日暮里、神田・・・。東京の様々な場所を舞台に描かれる、少年少女たちの揺れる心情の繊細さと危うさ。誰もが経験する青春時代の煌めきと痛みが胸に迫ります。巻末の新海誠監督による解説も興味深い。
ブックキュレーター
花まる学習会 平沼純1982年生まれ。慶応義塾大学文学部卒、同大学院社会学研究科修士課程修了。花まるグループの受験部門であるスクールFCで、国語や公立中高一貫コース授業のほか、総合的な学習の時間である「合科授業」などを担当。多数の受験生を合格へ導くとともに、豊かな物語世界の楽しさ、奥深さを味わえる授業を展開し続けている。各種メディアで紹介された『子どもを本好きにする10の秘訣』(実務教育出版)のほか、書籍、雑誌・新聞記事などを多数執筆。読書をテーマにした講演会や連続講座も精力的に行い、本を読む楽しさ、物語を味わう大切さを訴え続けている。2016年よりほぼ毎月開催している連続講座「旅する読書」は、全国から参加者が集まる人気イベント。
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