ブックキュレーターhonto編集員
モデルはラテンアメリカの独裁政権!恐怖政治を敷いた独裁者たちの物語
ラテンアメリカ文学を語る上で欠かせない、独裁者小説の傑作を選書。20世紀中期以降のラテンアメリカ諸国は、独裁政権が成立するなど混乱の渦中にありました。そうした状況で文豪たちは、独裁政権下に暮らす人々の姿をリアルに描き、恐怖政治の実態を暴いています。克明に綴られた独裁者の肖像は、フィクションと侮ることはできません。
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族長の秋 改訂新版
ガブリエル・ガルシア=マルケス(著) , 鼓 直(訳)
大統領府に住む族長の日常を綴ったガルシア=マルケスの快作。巨大な睾丸を持ち、200歳を超えると言われる族長は権力を欲しいままにしていました。しかし、不安と強欲に駆られて策謀に明け暮れるうちに、彼は孤立の道を歩むことに・・・。残酷であり滑稽でもある族長の姿を、複数の視点と多声的な文体で描いています。
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方法異説
アレホ・カルペンティエール(著) , 寺尾 隆吉(訳)
舞台は太平洋と大西洋に挟まれた架空の国。フランスの政策に影響されるままに独裁体制を強化し、啓蒙的暴君として専横を極める「第一執政官」を通して、独裁国家の腐敗を描き出した小説です。残忍でありながら芸術文化に理解を示し、知識人を気取ろうとする一面も覗かせる独裁者。その見栄を張る滑稽な姿が印象に残ります。
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チボの狂宴
マリオ・バルガス=リョサ(著) , 八重樫 克彦(訳) , 八重樫 由貴子(訳)
本書には、実在した独裁者が登場します。ドミニカ共和国の政治家トゥルヒーリョは、31年間にわたって独裁体制を敷き、弾圧を繰り返してきました。政権転覆を狙い、暗殺計画を進める反乱分子。そして左遷された上院議員とその娘。複数の時代と視点を交錯させる巧みな構成で、独裁政権の実像を浮き彫りする珠玉の長編です。
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ライオンを殺せ
ホルヘ・イバルグエンゴイティア(著) , 寺尾 隆吉(訳)
架空の国家「アレパ」を舞台とする政治喜劇。88年間の独立戦争の後、同国はベラウンサラン大統領による独裁制が敷かれていました。対立する党は暗殺を企て、ブルジョアは大統領を批判するものの、保身に走りことごとく頓挫。本書は独裁者の非道ぶりと、独裁者に対する人間の卑しさをシニカルに表現した著者の出世作です。
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襲撃
レイナルド・アレナス(著) , 山辺 弦(訳)
舞台は「超厳師」が治める独裁国家。人間としての尊厳を奪われ、強制労働に従事させられる国民。主人公は取締員であり、粛清を重ねながら出世していきます。しかし彼には「憎き母親を抹殺する」という目的がありました。暴力的な監視社会と動物化した国民の姿を、罵詈雑言に満ちた文体で描き出した衝撃作です。
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